気温が高くなるこの季節、目に見えないダニや気づかない場所のカビは、健康被害につながるほど増加してしまうことも。部屋のいたるところに存在にしているダニ・カビですが今回はキッチンとお風呂の対策を住まいアドバイザーの藤原千秋さんに教えていただきました。
≪目次≫
●対策はどうしたらいいの?
●カビとダニのWパンチ! キッチン
〇キッチン対策1:粉もの、常温保存しているタンパク質は冷蔵庫へ
〇キッチン対策2:冷蔵庫の在庫を確認
〇キッチン対策3:消毒用エタノールで拭き取り掃除
〇キッチン対策4:土付きの野菜は必ず洗って野菜室へ
〇実は盲点!? 自動製氷機、クリーニングしていますか?
●実はカビを広げてる!? お風呂場
〇お風呂場対策1:目より上の位置はエタノールを
〇お風呂場対策2:壁の下のほうや床はカビ取り剤で
〇実は盲点!? 洗濯機も梅雨から夏にかけてカビ取りを実施!
●教えてくれたのは……
対策はどうしたらいいの?
換気が大前提! アレルゲンを追い出しきれいな空気を入れる
「カビ・ダニ対策の9割を占めるのが実は、換気。エアコンの冷房は心地よいですが換気にはなりません。冷気が逃げるからと閉めきっていると、アレルゲンに加え、部屋の空気は人の呼気から出る二酸化炭素や水分、汗の湿気などで汚染指数が高まります」
換気をすることによって、カビの胞子やダニの死骸やふんを外に出し、新鮮な空気を入れ、さらに湿気を逃すことができます。少なくとも朝と晩の2回は、2カ所以上窓を開けて15分ほど換気を。窓を開ける幅は、15cmくらいでOK。暴風雨でなければ多少の雨でも、窓を開けて問題ありません。さらに住宅の換気システムの活用を。24時間換気を回しっぱなしにし、各部屋についている吸気口は開けたままにしておきます。24時間換気のない住宅の場合も、お風呂とトイレの換気扇をつけっぱなしにすると、換気できます。
また、カビ・ダニは湿度50%以下になると生きづらく、繁殖が抑えられます。この時期は、湿度50%を目指し、部屋内を乾燥させることも大切です。
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カビとダニのWパンチ! キッチン
野菜についたカビや粉もののダニを警戒して!
キッチンで見逃しがちなのが、食品そのものについている、カビの胞子や、ダニです。「土付きの野菜は、表面にカビがついていることがあり、そのまま冷蔵庫に入れると、野菜室でカビが繁殖する原因に。また、開封済みの小麦粉などを常温保存していると、ダニが発生しやすくなります。直接口に入れるものなので、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあり危険です」
粉ものの食品、かつおぶしや干しえびなど開封した乾物も、冷蔵保存をしてダニ除けを心がけましょう。
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キッチン対策1:粉もの、常温保存しているタンパク質は冷蔵庫へ
開封済みの粉ものは、袋を閉じて冷蔵庫で保存を。ビーフジャーキーや干しえびなどのタンパク質系の乾物も同様に、開封後は冷蔵庫へ。
キッチン対策2:冷蔵庫の在庫を確認
せっかく庫内を除菌しても、カビの生えた食品や調味料が入れっぱなしでは台なし。奥のものまで取り出して、在庫の整理をしましょう。
キッチン対策3:消毒用エタノールで拭き取り掃除
冷蔵庫内の外せるパーツは外し、中性洗剤などで水洗い。壁や外せないゴムパッキンは、アルコールスプレーで拭き取って除菌しましょう。
エタノールが冷蔵庫のカビ掃除には◎。
消毒用エタノール500mL ¥1,330/健栄製薬
キッチン対策4:土付きの野菜は必ず洗って野菜室へ
野菜室は、実はカビの温床になりやすい場所。買ってきた野菜は洗ってきれいに泥を落とし、保存袋に入れてしまいましょう。
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実は盲点!? 自動製氷機、クリーニングしていますか?
冷蔵庫の自動製氷機を、給水タンクを洗わずに使い続けていると、内部の製氷機がカビて、カビ入りの氷になっているかも! 必ず2週に1回は給水タンクを洗うこと。古い冷蔵庫の場合は、自動製氷を使わないほうが無難です。
実はカビを広げてる!? お風呂場
見つけたカビにはカビ取り剤をプシュッ!
お風呂場のカビ、スポンジなどでこすって落とそうとしていませんか? これが実は危険。「カビはまず“殺す”ことが優先。こするとカビの胞子が空中に飛んで広がる原因になります。普通の掃除でまずこすって、落ちない部分にカビ取り剤を使うという掃除もカビを広げる行為です。まず、目につくカビにはカビ取り剤をかけましょう」。それから時間をおいて、洗剤でお風呂掃除するのが正しい順番です。水あか取りのクエン酸と混ぜないように、カビ掃除とは日を別にしましょう。
お風呂場対策1:目より上の位置はエタノールを
カビ取り剤が目や肌につくと危険なので、壁の上部や天井はエタノールを。キッチンペーパーに吹きつけ、フロアワイパーなどで拭き取るのが◎。
アルコールもカビの細胞膜を変性して退治する効果が。70~80%濃度が◎。
500mL ¥1,330/健栄製薬
お風呂場対策2:壁の下のほうや床はカビ取り剤で
お風呂用洗剤がカビの栄養になってしまうので、掃除はまずカビ取りから。壁の下のほうや床は、カビ取り剤をのばしてから、洗い流します。
黒カビ予備軍にも効く。
カビキラー400mL ¥298/SCジョンソン お問い合わせ窓口
実は盲点!? 洗濯機も梅雨から夏にかけてカビ取りを実施!
洗濯槽はカビや雑菌が繁殖しやすく、それが生乾き臭の原因に。市販のクリーナーで掃除を。乾燥機能がついてるものなら、週に1回程度乾燥コースを使用。普段からふたは開けておくこと。
ドラム式には……
ドラム式OKと記載のある、塩素系の洗濯槽クリーナーを使用しましょう。
雑菌もしっかり消臭。
洗たく槽カビキラー(塩素系)550g ¥278/SCジョンソン お問い合わせ窓口
タテ型式には……
注水できるタテ型洗濯機は、酸素系漂白剤のクリーナーで。
洗たく槽クリーナー500g(1回使い切り)¥450/シャボン玉石けん お客様相談室
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教えてくれたのは……
住まいアドバイザー
藤原千秋さん
【Profile】
大手住宅メーカー勤務を経て、All Aboutの『住まいを考える』ガイドに。家事サービスや商品開発にも携わる。
カビや細菌、ウイルス、ダニを防ぐ! 病原菌を寄せつけない健康部屋のつくり方
取材・文/田中絵真
イラスト/小迎裕美子
(素敵なあの人 2020年9月号)
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WEB編集/FASHION BOX