東大生の約半数は「リビング学習」! ファミレスで勉強がはかどる理由を医学博士が明かす

東大生の約半数は「リビング学習」! ファミレスで勉強がはかどる理由を医学博士が明かす

勉強は個室で、と思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、以前テレビ番組で、東大生の約半数が子どもの頃、リビングで勉強していたというアンケート結果がありました。静かな場所で勉強するよりも、物音がする場所のほうが勉強ははかどるのでしょうか!? 医学博士の柿木隆介先生にうかがいました。

≪目次≫
●東大生の約半数がリビングで勉強していた
●グループ学習も長期記憶に役立つ
●記憶のポイント
●教えてくれたのは……

東大生の約半数がリビングで勉強していた

静かな自宅の勉強部屋と、周りで物音がする喫茶店では、どちらのほうが勉強がはかどるでしょうか? もちろん人によって学習に適した環境は違うので一概にはいえませんが、じつは記憶に残りやすいという点から見れば、「静か」で「1人」でないほうが定着しやすい場合があります。

ある民放のテレビ番組で東大生に子どもの頃の勉強の環境についてアンケートを取りました。すると、48.6%の東大生が子どもの頃に個室ではなく、リビングルーム(居間)で勉強していたと回答し、「リビング学習」として話題になりました。

親とすれば、子どもに集中して勉強をさせるために個室を与えがちですが、「静か」で「1人」の環境が必ずしも効果があるとは限らないわけです。人間はもともと集団で暮らしてきたため、壁に囲まれた狭い空間に1人でいることに、本能は慣れていないのです。

リビング学習は、集中力だけでなく、記憶力の向上という点でも効果が期待できます。

情報は、何かと関連づけて覚えると長期記憶になりやすくなります。また、何かと結びつけて覚えたほうが、思い出しやすくなるという特徴もあります。

なので、周囲に印象に残るようなことが起こりにくい静かな自分の勉強部屋よりも、ほどよい距離に人がいて、周囲の音や匂いがするリビングやファミリーレストランなどのほうが、印象に残って長期記憶になる人もいます。

たとえば自宅のリビングで英単語を覚えていたときに、キッチンから母親が調理していたカレーの匂いがしてきた、とします。このときカレーの匂いとともに覚えた英単語は、1人で静かな勉強部屋で覚えるよりも長期記憶として定着しやすいといえます。実際、ファミリーレストランやカフェのような、ほどよい距離で話し声や雑音などの物音がする場所のほうが勉強がはかどる、という人は少なくないでしょう。

東大生の約半数は「リビング学習」! ファミレスで勉強がはかどる理由を医学博士が明かす

記憶力はオランウータン並!? 猫の不思議行動の理由に迫る!

グループ学習も長期記憶に役立つ

同じ環境という点からいえば、友人たちと一緒に勉強する「グループ学習」も、効果はあります。一見すると、1人で黙々と勉強したほうが頭に入ると思いがちですが、たとえばお互いに問題を出し合って解答したり、教え合ったりなどすることで、1人で勉強するよりも学習内容の印象が強くなるという効果があります。
「ああ、この単語は○○ちゃんと△△で覚えたな」など、そのときの会話や出来事とともに長期記憶として思い出しやすくもなります。もちろん、ずっとしゃべっていただけであれば効果がないのは、いうまでもありません。

どういう学習環境が最適かは人によって違います。個人差が大きいので、勉強がはかどらないときなどは違った環境で試してみて、自分に合った学習環境を見つけるといいでしょう。

記憶は外部環境と結びつく

図1. 記憶する場所による脳の働き

東大生の約半数は「リビング学習」! ファミレスで勉強がはかどる理由を医学博士が明かす

勉強部屋→印象<弱>

静かで落ち着いた場所ほど、海馬へのインパクトは薄いので長期記憶になりにくい

リビング、公園、カフェなど→印象<強>

・キッチンから漂うカレーの匂い
・子どもが駆け回る声
・コップを片づけるカチャカチャという音

音、景色、匂いといった周りの環境や出来事が記憶に結びつくことでインパクトが強くなる

記憶を定着させたい! 効果的な復習のタイミングを医学博士が解説[社会人の勉強法]

記憶のポイント

1. 静かで落ち着いた場所が最適とは限らない

2. 生活音などが記憶を印象づける可能性がある(リビング、公園、トイレなど場所を変えてみる)

3. 重要な情報と、重要でない情報の区別を意識する

4. 覚えやすいものを優先させる

やる気が出ない。やる気を出すための方法や、どうしても出ないときのおすすめの過ごし方まとめ

便利な収納グッズ7選【無印良品ほか】|キッチン・衣類・文房具もすっきり!

教えてくれたのは……

東大生の約半数は「リビング学習」! ファミレスで勉強がはかどる理由を医学博士が明かす

柿木隆介先生

【PROFILE】
自然科学研究機構生理学研究所名誉教授、順天堂大学医学部客員教授、国立大学法人総合研究大学院大学名誉教授。九州大学医学部卒、医学博士。佐賀医科大学助手、ロンドン大学医学部研究員など経て2004年より現職。著書に『記憶力の脳科学』(大和書房)など多数。

<“記憶力”を高める脳トレ>運転脳力を鍛える!

(抜粋)

東大生の約半数は「リビング学習」! ファミレスで勉強がはかどる理由を医学博士が明かす

TJ MOOK『最新科学でわかった! 最強の勉強法』

☆TJ MOOK『最新科学でわかった! 最強の勉強法』をAmazonでチェック

編集協力:金丸信丈、榎元彰信、中野祐也、本宮鈴子(Loops Production)
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
WEB編集:FASHION BOX

RELATED CONTENTS

関連コンテンツ