再現性の高いデザインカットに定評のある『ABBEY(アビー)』と常にヘアシーンのトレンドをリードし続ける『ɡrico(グリコ)』。令和を駆け抜ける2つのサロンのオーナーがシニア世代の最新ヘアスタイルについて対談。長崎という同郷出身でもある2人だからこそ語り合える本音トークは、大人の女性を輝かせるためのエッセンスで溢れていました。
≪目次≫
●自分の心の赴くままにヘアスタイルを楽しんで
●白髪との向き合い方も人それぞれでいいんです
●スキンケアをする感覚でヘアもメンテナンスを!
●都会の真ん中で両手を広げてお待ちしています
●対談をしてくれたのは……
自分の心の赴くままにヘアスタイルを楽しんで
松永(ABBEY):ひと昔前って、僕たちの母親くらいの年齢の人はみんな同じような髪形をしてませんでした?
エザキ(ɡrico):してました、してました(笑)。50代に差し掛かったくらいから、大多数がショートヘアにしてましたよね。
松永:それに比べて今のシニアのヘアスタイルはかなり多様化したよね。年齢にとらわれずにそのとき自分がしたい髪形をオーダーしてくれるお客様が増えて、50代以降でもミディアムやロングを選ぶ方も全然珍しくなくなった。もはや、ご本人たちの感性自体が実年齢マイナス10歳になってるよね。それってとても素敵なことだと思うんです。
エザキ:僕もまったく同感です。そもそも、新しいヘアスタイルにチャレンジするときって「何歳になったからこういう髪形をしなきゃ」とか、年齢をマイナスに捉えて消極的になる必要はないじゃないですか。お子様からご高齢の方まで、どの世代の方がいらしても、その方が一番輝けるヘアスタイルをご提案させていただくのがモットーですから。年齢に縛られずその人らしいきれいや可愛いを追求するのが一番いいと思うんですよね。
松永:僕も右に同じく! かつてシニア世代がショートを好んでいた理由の大きなものに「大人になると髪が痩せてくるからカットしないといけない」という発想があったと思うんだけど、最近はあまりその心配をしなくていいじゃない。パーマ剤やカラーリング剤、トリートメントがかなり進化していてダメージが軽減できるようになったから、年齢による髪の悩みがかなり解消できるようになった。
エザキ:年齢による髪の変化って必ずしもネガティブなものではないと思いませんか? 例えば、日本人の髪って大抵がかたいじゃないですか。でも、40代を過ぎた頃から髪が少しずつ細くなってきて、ちょうどいいやわらかさになるから、お洒落な抜け感が出しやすくなる。40代以降ってファッションに対してもマイスタイルを確立できている方が多いから、ヘアスタイルがいいカンジにハマるとめちゃくちゃ雰囲気出るんですよ。それって経験値のある大人だからこそなし得ることなのかなって思うと、女性が本当に輝けるのはシニア世代からなのかもしれないって思います。
<失敗しない前髪セルフカットの方法>誰でも簡単にできるコツを美容師が伝授
白髪との向き合い方も人それぞれでいいんです
エザキ:レングスと同じくらい、カラーリングについての選択肢も広がっていますよね。近藤サトさんのようにグレーヘアを育てていく選択肢もあるし、白髪染めを活用しながらファッションカラーを楽しむというチョイスもある。
松永:最近のカラー剤はアルカリが少ないものも多いから、選び方次第で頭皮へのダメージが軽減できるのもいいよね。デザインカラーと同じくらい、グレーヘアにも注目が集まっているよね。始めどきはご自身で決められたらいいと思うんですけど、あれってただ伸ばせばいいわけじゃないところが難しいと思うんだよね。仮にグレーヘアを育てている最中だとしても、白髪が伸びっぱなしでメンテナンスしてないだらしのない人みたいに見えちゃうよね。
エザキ:そうなんです。白髪と言いながらも実際は黄みが出てきちゃったりするので、ヘアサロンできちんと相談してきれいに伸ばしていく必要があるんですよね。
松永:ナチュラルに身を委ねる人はもちろん素敵だと思うけど、まだそこまで年齢を重ねていないのにグレーヘアを選ぶと、友達に会ったときにひとりだけおばあちゃんが交じっているように見えたりするじゃないですか。もしそうなるんだとしたら、時期尚早なのかなって思うな。だから、グレーヘアに関しては周囲と足並みを揃えるのがいいんじゃないかというのが持論。
エザキ:僕もそう思います。
<頭皮のストレス解消法4つ>抜け毛・細毛・白髪を防ぐ方法を専門家が解説
スキンケアをする感覚でヘアもメンテナンスを!
松永:ヘアサロンでメンテナンスの頻度はショートなら5週間に1回、ボブより長い方は2ヶ月に1回くらいがベストなんじゃないかな。
エザキ:ちょうど白髪が伸びて気になってくるタイミングでもありますもんね。カラーのついでにカットやトリートメントをしてあげると、お手入れの行き届いた髪がキープできると思います。
松永:そういう意味では、サロンに行かない359日のセルフメンテナンスも大切になってくるよね。ヘアケアとスキンケアは同じ、肌年齢と髪年齢も同じ。全身は一枚の皮膚でできているから、肌の毛穴がたるめば頭皮の毛穴も変形しているはずなんだよね。そう思うと、お手入れの必然性を感じざるを得ないでしょ。
白髪の原因は菌だった!? 正しい対処法や予防策を専門家が解説
都会の真ん中で両手を広げてお待ちしています
エザキ:そういえばミセスの方から「原宿のヘアサロンに行くのはハードルが高い」って言われることが結構あるんですけど、実際は全然そんなことないですよね?
松永:ないない。ちっともない(笑)。人生は一度しかないんだから、行ってみたいっていう気持ちがほんのちょっとでもあるなら、勇気を出して足を運んでほしいと思います! 僕なんて「もう、ぜひいらしてください」っていつでも両手を広げて待ってるからね。都会に限らず、ご自身が無理なく足をのばせる範囲で気になるヘアサロンを見つけたら、一度は予約を入れてみてほしいですね。実際に切ってもらって、もし「ちょっと違うな」って思ったら、別のサロンに変えればいいわけだし。
エザキ:でも、その決断をするまでに最低2回はいらしていただきたいですよね。オーダーの仕方が難しいって声もよく耳にしますが、それなら全部委ねてもらってもいいですし。
松永:とにもかくにも、人生は一度きり。毎日、表情を輝かせていられるように、ヘアサロンに来たらぜひ自分の理想のスタイルをわがままにオーダーしてほしい。それでこそ僕たちもスタイリスト冥利につきるというものです(笑)。
薄毛・抜け毛はなぜ起こる? 解決策は? いますぐボリュームが欲しいならエクステが吉?
対談をしてくれたのは……
【右】ABBEYオーナー・松永英樹さん
【PROFILE】
長崎県出身。2007年に立ち上げた『ABBEY』は今や都内3店舗に成長。サロンワークの傍ら、美容商品の開発や講師など幅広く活躍。
【左】grico代表・エザキヨシタカさん
【PROFILE】
長崎県出身。2009年『grico』をオープン。エザキカットを求めて全国からラブコールが殺到するカリスマ。経営者としても手腕を発揮。
(抜粋)
TJ MOOK『素敵なあの人特別編集 大人のきれい髪スタイル』
☆TJ MOOK『素敵なあの人特別編集 大人のきれい髪スタイル』をAmazonでチェック
対談撮影/嶌原佑矢
取材・文/石橋里奈
編集/萬代悦子
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
WEB編集/FASHION BOX