taraさんと考える|私と地球に心地よい暮らし
地球と私たち生物のサステナブルな未来のために、今何ができるのか。モデルのtaraさんと一緒に学び、実践していきます。今回のキーワードは「生物多様性」です。
キーワード → 生物多様性
ニュースなどで耳にする生物多様性の危機。生物多様性とは、地球上のさまざまな生き物たちには違いがあり、それぞれがかかわりあって命を支え合っているということ。私たち人間もそのメンバーで、多くの恵みを受け取って生きているのです。
生物多様性について学ぼう!
生物多様性に関わる研究をしている竹内やよい先生にお話を伺いました。
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──地球上に人間もふくめ約1億もの多種多様な生物が存在し、支え合って生きている生物多様性。なぜ、大切なのでしょうか?
日本は緯度方向に長い島で、北海道から沖縄まで気温も降水量も多様なため、環境のバラエティが豊富。環境それぞれに適応した生物が存在することから、生物多様性が高いと言われています。
たとえば森林なら、猿や鹿などの哺乳類から、鳥や昆虫、カエデなどの樹木や植物まで。さらにカエデひとつとってもたくさんの種類があって……。また、京野菜、加賀野菜などの地域それぞれで採れる伝統野菜も色や形が多様な品種があります。長い歴史を経てその場所だけの「固有性」を持った種類が存在することに生物多様性の価値があります。
生物多様性はこれらの種の異なる生物たちが「食う、食われる」を通してお互い影響し合いながら命を支え合っていることを指します。人間もその中にいて、果物や魚などを「食べる」という直接的な恩恵を受けているのはもちろん、植物を使ってかごを編んだり、漢方薬にしたり。それだけでなく、紅葉を観て癒やされるなどの文化的な面でも多くの恵みを生き物からもらっています。
──生物多様性が失われつつあると聞きますが……。
2020年秋、温暖化によってサンマが不漁だったというニュースはご存じですか? 温暖化で潮流が変わったことによるものですが、1種のバランスが崩れることで、ほかの種にも影響を与え、ひいては生態系も変化していきます。
温暖化だけでなく、開発による森林伐採、山間地での耕作放棄地、農薬や化学肥料などによる土壌汚染は、もともといた生物の生息地を変えてしまっていると問題になっています。生物多様性が消失することで、今までのような恩恵が受けられなくなりつつあるのです。
生物多様性は、食べ物や道具、周りの環境など、人間の暮らしに密接に関係しています。自然あふれる公園へ出かけたり、地方の特産物を食べたり、家庭菜園をするなど、多様性に触れ、考える機会をつくってみてください。
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tara プロフィール
5歳よりバレエを始め、15歳で単身渡米。ヒューストンバレエⅡの研修を経て、チェコ、クロアチアの国立劇場でソリストとして踊る。2016年拠点を日本に移し、モデルとしての活動をスタート。認定トレーナーであるジャイロトニックジャイロキネシス(R)の指導、バレエ講師、ヴィーガン・グルテンフリー料理のレシピ開発、ケータリング、イベント等にも出店している。
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竹内やよい先生 プロフィール
国立環境研究所・生物・生態系環境研究センター主任研究員。東南アジアの熱帯林や日本の森林の生物多様性について、維持されるしくみ、生態系サービス(自然の恵み)とのかかわり、人為的な活動や気候変動の影響などについて研究している。
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model_tara
photograph_Miho Kakuta
text_Nao Yoshida
(リンネル 2021年2月号)
web edit_FASHION BOX, Satomi Kubota[vivace]