この冬の風邪・インフルエンザ対策
風邪やインフルエンザが気になる時季になりました。感染しないためには、ウイルスや菌が体の中に入らないようバリアをしつつ、免疫力を高めて撃退するための、健やかな体づくりが大切です。内科医の工藤孝文先生にお話を伺いました。
乾燥&低温の冬は、感染のリスクがすぐそこに
「例年、年末から年明けは、風邪やインフルエンザが増えるシーズンです。この冬は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、都市部などでは風邪や発熱での病院の受診に時間がかかる可能性もあります。いつも以上に自衛して予防を」と、工藤先生。
この時季に風邪が増える理由のひとつが、のどや口の粘膜の乾燥。寝ている間に口呼吸になったり、鼻炎などで鼻が詰まるとのどが乾燥し、そこから感染しやすくなるので要注意。
また、長時間屋外にいる、汗をかいたあとそのままにする、寝冷えする……などの行動で体温が下がると、免疫力が低下して風邪をひきやすくなります。ちなみに、体が冷えている状態というのは、もともと低体温の人も同様です。
「マスクや手洗いなどの、定着した予防策にくわえて、免疫力を上げる生活習慣で、風邪や感染症にかかりにくい体をつくりましょう」
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改めておさらいしておきましょう
風邪・インフルエンザの感染経路は主に……
●飛沫感染
感染者のせきやくしゃみ、会話や呼吸のときに排出されるつばを通して、ウイルスが体内に入って起こる感染。感染した側がマスクなどで飛沫が拡散しないように気をつければ、ある程度防ぐことが可能です。自分だけでなく周りの人を守ることにつながるマスクは、必需品といえます。
●接触感染
病原体がついた手すりやドアノブなどに触った手で、目や口に触れることで起こります。家族が感染した場合は、ドアノブや電気のスイッチ、トイレなどをこまめに消毒しましょう。外出先では、電車のつり革や手すり、エレベーターのボタンに触れた後に、顔を触らないように。
感染しやすいのはこんなときが多い!
●睡眠不足
睡眠は体や脳を休めて疲れをとり、細胞の修復や再生をはかるために大切な時間。同時に、睡眠不足が続く状態は免疫力の低下につながり風邪をひきやすくなります。多忙だからといって、寝不足にならないよう注意。
●疲れやストレスがたまったとき
私たちの体に異物が入ると、それを攻撃して退治するのが自然免疫。自然免疫の中でもナチュラルキラー細胞は、疲れやストレスに弱い特徴が。ストレスをためたり、激しい運動をして体が疲れると免疫力が下がってしまいます。
●口・鼻の粘膜の乾燥
口やのどの粘膜は、ウイルスや細菌をキャッチして感染から身を守りますが、空気が乾燥すると粘膜も乾燥して働きが弱くなります。加湿器の使用やまめな水分補給で防いで。
●腸内環境が悪いとき
免疫細胞の70%は腸に集まっています。なので、腸内環境が悪化すると、免疫力も低下。腸の動きは自律神経に左右されるため、食生活にくわえストレスをためないことも大切。
もしも風邪をひいてしまったら……
自宅でもマスクを着用
家族に感染させないためには、家の中でもマスクの着用を。新型コロナウイルス対策としては、感染者以外も全員がマスクをするといいでしょう。高齢者がいる場合は、食事の時間を分けるなども有効です。
葛根湯・人参養栄湯などの漢方を飲む
市販の風邪薬は対症療法なので、長期間飲み続けたり、薬を飲んで無理に外出するのはNG。全身の状態を改善する人参養栄湯や、風邪のひき初めに有効な葛根湯などを飲み、安静にしているのが感染を広げないために有効。
ビタミン・ミネラル・良質なタンパク質で体力消耗を補う
風邪やインフルエンザに感染している状態は、ビタミン・ミネラル・タンパク質などが消費されてしまいます。消化に負担をかけないように、脂肪分の少ない鶏むね肉のポトフや、卵と野菜の粥などの温かいメニューが◎。
\編集部のおすすめアイテム/
胸、のど、背中に塗り、鼻づまりやくしゃみなどの風邪の症状をやわらげる塗り薬。血行をよくして、体を温める効果も。
教えてくれたのは……工藤孝文先生 プロフィール
内科医。福岡県みやま市の工藤内科医院で地域医療にあたる。「ほんまでっか!?TV」などメディア出演でも活躍。『親子の免疫アップ生活術』(主婦と生活社)ほか、著書多数。
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illustration_Rena Yamanaka
text_Ema Tanaka
(リンネル 2021年2月号)
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