尿もれやちょびもれなど、なかなか人には言えない体の悩み。そんなデリケートな悩みを解決するために、女性医療スペシャリストの関口由紀先生にお話を伺いました。
Q.最近尿もれするようになりました。どうすればいい?
A.まずは、骨盤底筋を鍛える「セルフケア」を
せき・くしゃみなどでおなかに力が入ったときに“ちょびもれ”したり、急に強い尿意があってもれたり。40歳以上の女性の3人に1人が悩んでいるといわれる尿もれ。これらは、骨盤の底でハンモックのように子宮や膀胱を支える「骨盤底筋群」が加齢などで緩むことが原因です。骨盤底筋群は尿道を締める役割も担っているので、鍛えることで尿もれの改善につながります。
ピフィラティスで骨盤を鍛える! 尿もれは筋肉の衰えが原因だった【泌尿器科医監修】Q.簡単で続けられる骨盤底筋トレーニングを教えてください
A.いつでもどこでもできる「骨盤底筋の筋トレ」を
女性は妊娠や出産で骨盤底筋群が傷ついたり、加齢で筋肉が落ちたりするため、だれにでも尿もれは起こりえます。症状がある人はもちろん、今は症状がない人も予防のためにも今から骨盤底筋の筋トレを。おしっこを我慢する感覚で、膣をギュッと締めたり緩めたりを1日30〜50回。骨盤底筋全体を体のなかに引き込むイメージです。
“テレビのCM中に”“電車で移動中に”など、ちょっとした合間に、だれにも気づかれずにできるので、習慣づけて。
Q.病院に行くべき尿もれは?
A.運動や外出を「我慢する場合」は泌尿器科へ
必ず受診すべきなのは、血尿や痛みを伴う尿もれ。それ以外でも「尿もれのために、外出や趣味の運動を控えるようになった」「頻繁過ぎて困る」「量が多くて着替えが大変」など、日常生活に支障が出る場合は病院やクリニックで相談するといいでしょう。紹介した筋トレを3か月続けても思うように改善されない場合も、医療機関の理学療法士に正しいやり方を教わったほうが◎。
Q.水分摂取を我慢しています
A.飲みすぎも、「飲まないのも✕」
水分のとりすぎは尿もれの原因のひとつですが、制限しすぎると脱水症状に。1日1L〜1.5L程度(運動時は別途水分補給が必要)が摂取量の目安です。逆にトイレに気軽に行ける環境で、トイレを少しガマンすると、膀胱に尿を貯めるトレーニングになり、ちょびもれが改善することも。そのほか、おなかに力を入れて排尿するのはNG。骨盤底筋がうまく使えなくなることもあるので、尿はゆっくり出すように心がけて。
Q.安心してお出かけするには?
A.「尿もれしにくいファッション」はコレ!
尿もれする人の多くは、“冷え”の悩みを抱えています。「首」が付く部位は特に体を冷やしやすいので首・手首・足首が出ない服装を選びましょう。そのほか、下のイラストを参考にして。
・三首(首・手首・足首)を温める
・「尿もれパッド、下着、ジッパー付きビニール袋、消臭剤」を入れたポーチを持参
・ガードルなど締め付けの強い下着はNG。コットンのパンツが◎
・濃い色のボトムスなら、万が一もれても目立たない
・土踏まずをサポートする靴なら、膀胱に圧がかかりにくい姿勢に
Q.尿もれに効く食品はありますか?
A.アンチエイジングに効く食材や、「ネバネバ系」を
加齢によって筋肉が硬くなるように、骨盤底筋群もしなやかさを失い、尿もれしやすくなります。そのため予防には、長ネギ、ニラ、卵などのアンチエイジング効果のある食材や長芋など“精が付く”といわれるネバネバ系の食材がおすすめ。体を温める冬が旬の食材も◎です。逆に外出時は、膀胱刺激作用のあるカフェイン含有飲料、アルコール飲料、柑橘系飲料、炭酸飲料等は控えましょう。
デリケートゾーンの恥ずかしい悩みも薬いらず! かゆみ、むずむずが収まる方法|皮膚科医が解説Q.生理用ナプキンやおりものシートで代用してもよい?
A.「専用の尿もれパッド」のほうが、かぶれやニオイに悩まされない
おりものや経血には粘りがありますが、尿はサラサラな液体。また量も異なります。代用品では尿を吸収しきれなかったりして、下着の中の環境が不衛生になり、肌がかぶれたり、ニオイが発生する恐れがありますが、専用のものなら安心。同じ程度のサイズでも吸収量が多く、アンモニア臭も抑えてくれます。
【“ちょびもれ”の人のための尿もれパッド選びの目安】
くしゃみやせきなどでおなかに力が入ったときにもれてしまう人の選び方の目安です。
●自宅など、すぐにトイレに行ける環境
今使っている代用品:おりものシート
製品(吸収量の目安):3〜10cc程度の少量用タイプ
今使っている代用品:生理用ナプキン
製品(吸収量の目安):15〜80cc程度の少〜中量用タイプ
●外出・移動でトイレに行きづらい環境
製品(吸収量の目安):80〜180cc程度の中量用タイプ
(編集部調べ)
●おすすめ尿もれ専用パッド
(上)ちょびもれしても即吸収してさらさらに。消臭効果が高く、ニオイを瞬時に閉じ込め、外出先でも安心。
(下)天然コットンのシートで肌にやさしく、尿吸収ポリマーがニオイ分子を閉じ込めます。
教えてくれたのは……
PROFILE/女性泌尿器科専門医 関口由紀さん
2005年横浜元町女性医療クリニック・LUNAを開設。女性医療クリニックLUNAグループの総帥として3つの女性医療専門クリニックを展開。著書も多数。
https://www.luna-clinic.jp
デリケートゾーンのかゆみの正しい解消法! 薬剤師のおすすめ対策5選
photograph:Aya Sunahara
styling:Ritsuko Hirai
illustration:Kana Nakajima
text:Mizuki Sakaguchi
thanks:AWABEES
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
Web edit:FASHION BOX