吉田羊が語る「ディスタンスは大切な人を思うためのもの」|インタビュー

ジェーン・スー原作ドラマ出演中の吉田羊 「ファザコンだった」父子関係を告白

【吉田 羊】距離は「思い」で埋められる。

この春は2本のドラマに出演した吉田羊さん。多忙な日々の中、作品に向き合いながら、その先に大切な人の姿を重ねていたといいます。離れていても、心は傍に――そう、一途に信じて。

 

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人も、関係も、年を経て変化する。それでも寄り添い、笑い合うために

吉田羊が語る「ディスタンスは大切な人を思うためのもの」|インタビュー
コート¥139,700、ニット¥53,900、パンツ¥82,500/すべてフォルテ フォルテ(コロネット)、シューズ¥60,500/ペリーコ(アマン)、ピアス¥165,000、人差し指リング¥220,000、中指リング¥209,000/すべてベルシオラ

ディスタンス(距離)を保っての表紙撮影が始まって、早くも一年。新型コロナウイルスを巡る状況がなかなかクリアにならずストレスが募る中でも、俳優・吉田羊さんは爽やかに初夏のコーディネートを着こなし、快活な笑顔を見せてくれました。
「服の色がピンクとか、淡い色になってくると、やっぱりウキウキしますね。去年の秋から春先までずっとドラマの撮影が続いていたので、今、少しだけゆっくりできているところです。いい季節になってきたし」

秋冬に取り組んだ撮影の成果が続々と放送され始めたのが、この春。なかでも、4月9日にスタートして話題を呼んでいるのが、テレビ東京系列の『生きるとか死ぬとか父親とか』です。ラジオパーソナリティー、エッセイストとして絶大な人気を誇るジェーン・スーさんが、自身の父娘関係をペーソスたっぷりに綴った同名エッセイをドラマ化した作品で、吉田さんが扮するのは、スーさんをモデルにした主人公・蒲原(かんばら)トキコ。毎週の放送を見ると、スーさんと吉田さんのそっくり具合に驚かされます。
「『スーさんに寄せたね!』と言われたりもしたんですが、もともと顔立ちが似ているんですよ。ドラマのポスターを撮影する際、スーさんがお父さまと一緒にスタジオにいらしたんですが、一緒に写真を撮ったらスーさんと私、双子みたいにそっくりで(笑)。お父さまも私の父と似ておられるので、完全に血のつながりを感じましたね」

チャーミングで女性に愛され、奔放な人生を送ってきた父と、その姿を傍で見つめ続ける娘。母を失い、歳を重ねるにつれてのそれぞれの変化に戸惑いながら心の波立ちに向き合う様子は、ユニークでありつつも実に等身大です。原作を読んだ際、吉田さんは「この作品は、スーさんからお父さまへのラブレターなのだ」と感じたとか。
「憎しみは、いつだって愛情と背中合わせです。父親らしく振る舞ってほしかった、という娘から父への切実な心の叫びは、スーさんらしいユーモラスさでつい面白く読んでしまうけれど、生身で演じるドラマでは、それを真正面から、子ども心を失わず表現したいと思いました。親子として、当然寄せられるはずの『甘え』の不在……本当は大好きなお父さまに甘え切れない日々を送ってきたスーさんの思いを、トキコという別人格に重ねて、思いきり曝け出しています。家族の正解なんてないし、普通もないけど願いはある。視聴者の皆様には、家族だからこその愛しくて憎らしい瞬間を、『あるある!』と笑ったり頷いたりしながら楽しんでいただけたらと」

演じるトキコがひとりっ子なのと対照的に、吉田さんは5人きょうだいの末っ子。そして、やはり「“お父さん子”で、ファザコン」だったと、自身を振り返ります。
「子どもの頃、父が出かける時、バイクの後ろに乗せてもらってついていくのはいつも私。そんな父と私との関係に、母は本気で嫉妬して、上の姉にたしなめられたりしていましたね(笑)。その母も4年前に亡くなりました。してやれなかったことへのたくさんの後悔を、父に対してはしたくないな、と……。そういう思いは、スーさんやトキコと重なるところがありますね」

いつまでも変わらず、元気でいてくれる――子どもの側はついついそう思ってしまうものの、時間は流れ、人は変化することを実感するのも、大人年代。吉田さんも、そのことに気づき始めたひとりです。
「これまで父とは何でも話せる間柄だと思ってきたんですが、最近、父が自らの老いを自覚して、私を含めて子どもたちに遠慮していることもわかってきたりして……。今まで通りにはいかないんだなということを、やっと私も受け入れ始めたところです。親離れは、たぶん一生できないかもしれないけれど、この先はそれぞれの人生は別物だということを理解しつつ、父の人生と時間になるべく寄り添って、毎日笑って過ごしてもらえるようにするのが、育ててもらった娘としての務めなのかな」

東京と故郷に離れて暮らす娘と父。加えてのコロナ禍で、身近で親しい間柄でも物理的な距離を隔てなければならない昨今です。距離とともに人と人の心が離れてしまいそうな不安をふと感じる時、吉田さんはその距離を「大切な人を思うためのもの」と、自らに言い聞かせているといいます。
「ソーシャルディスタンスも、咳エチケットも手指消毒も、一見自分のためにやっているようで、実は大切な人のためにやっているんですよね。ひとりひとりの感染対策の向こうに、たくさんの人がいる。そう思うと、『こんなに人を思って何かをすることが、今まであっただろうか?』って。しかもこれ、世界規模でのことでしょう? 人との距離が離れているようで、実はお互いのことを思う機会が増えているのかなと思うと、少し前向きになれますよね」

遠くから気持ちを寄せ合う日々がいつか明けたら、吉田さんは故郷に、そして世界のあちこちに、再び足を運ぶことでしょう。「旅行、行きたいですねぇ! 死ぬまでにひとつでも多くの世界遺産を見るのが夢です。そして、外国に行ったら『あなたの国ではどうしてたの?』って聞いてみたい。そうやって世界中の人とわかり合うきっかけに、この体験がなればいいと思うんです」

そんな輪を広げる年にしたいものです。

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吉田羊が語る「ディスタンスは大切な人を思うためのもの」|インタビュー

原作:ジェーン・スー(新潮文庫)
出演:吉田 羊 國村 隼 田中みな実 松岡茉優 富田靖子 ほか
監督:山戸結希 菊地健雄
毎週金曜深夜0時12分より放送中

理知的な娘・トキコと自由奔放な父・哲也。それぞれに年を重ね、老いや孤独を感じる中でお互いへの思いを不器用に差し出し合う二人の、おかしくも切ない父娘愛の物語。トキコが出演するラジオ番組『トッキーとヒトトキ』の場面はドラマオリジナルで、人生相談の台本はジェーン・スーさんが監修。「淀みなくしゃべることが最低条件!」と自らに課した吉田さんのハートフルな話術は必聴。

 

PROFILE/吉田 羊(よしだ・よう)

福岡県生まれ。近年の出演作にドラマ『ペペロンチーノ』『コールドケース3~真実の扉~』『恋する母たち』NHKよるドラ『きれいのくに』など。この春は『生きるとか死ぬとか父親とか』と『きれいのくに』、夜時間帯の二本立てで活躍。

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photograph:Kayoko Asai
styling:Kuniko Sakamoto
hair & make-up:Masako Ide
text:Michiko Otani

大人のおしゃれ手帖 2021年6月号

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web edit:FASHION BOX

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