体の「冷え」は夏こそ恐ろしい!? 自律神経失調症になりかねない理由と対策を医師が解説

今年も、暑い夏がやってきました。暑いとなるべく外出せず、冷房の効いた部屋の中で過ごしたくなるものです。冷たい飲み物やアイスクリームが欲しくなる方もいることでしょう。
でも実は、夏に見落としがちな体調不良の原因として「冷え」があります。知らないうちにからだが冷え続けてしまうと、さまざまな問題が起こってしまうのです。
今回は知っておきたい夏の冷えとその対策について、医師が解説します。

便秘と冷えを同時に退治! 「腸もみ半身浴」を専門家が解説

 

油断大敵! 冷えは夏こそ恐ろしい

クーラーや冷蔵庫といった文明の利器ができたおかげで過ごしやすくなった半面、夏でも冷えを感じる方が増えているかもしれません。

夏の冷えは油断大敵です。からだが冷えると、全身の血管が収縮して血液の流れが悪くなります。
さらに、夏に外気温との差が大きい環境で過ごしていると、体温を一定にするためにはたらく自律神経が刺激され続けて、「自律神経失調症」と呼ばれる状態になることもあります。自律神経失調症とは、自律神経のバランスが乱れて「何となく体調が悪い状態」のことを指します。

そして、困ったことに、こうした状態で検査をしても、病院では「異常なし」といわれてしまうことも多いのです。そのため、誰にも気づかれないまま体調不良が続いてしまうかもしれません。
さらに、冷えによる体調不良を放っておくと、いずれは病気につながる可能性も考えられます。
そこで、夏の冷えへの対策をご紹介していきます。

 

健康をキープする、夏の冷え対策

夏の冷え対策の基本的な考え方は2つです。ひとつは「冷える原因をとりのぞくこと」、もうひとつは「冷えに負けないからだをつくる」です。

冷房の設定温度を下げすぎない

外が暑いと部屋の中をキンキンに冷やしたくなるかもしれませんが、冷やしすぎはNGです。
まず、急激な温度差にさらされると、自律神経に大きな負担がかかります。それを何度も繰り返していると「自律神経失調症」の原因になる可能性があります。
さらに、冷房の設定温度が低すぎると、最初は涼しくて気持ちがよくても、時間が長くなるにつれて、いつの間にかからだが冷えを感じるようになります。
こうした冷えは知らないうちに体調不良の原因となるため、冷房の温度は下げすぎないようにしましょう。

 

冷たい飲み物はなるべく控える

内側からからだを冷やさないために、食べ物と飲み物にも注意しましょう。暑い日に冷たいものが欲しくなるのは当然です。それでも、なるべくからだを冷やさないために工夫しましょう。

たとえば、以下の方法は簡単に実践できるため、おすすめです。

水やお茶は冷蔵庫で冷やさずに常温で飲む

冷たい飲み物を摂り過ぎると内臓が冷えて、からだを冷やす原因になってしまいます。
胃が冷えると胃腸の不調につながってしまうかもしれません。
お水やお茶は常温で飲むことを習慣にしたほうが、からだの冷えを防げます。

どうしても冷たい飲み物が欲しいときは、一気飲みせず、ひと口ずつゆっくりと飲むのがおすすめです。

 

冷えに負けない健康的なからだをつくる

冷えにくいからだをつくるポイントは、「筋肉」と「自律神経」です。

筋肉があればあるほど、からだの中で熱を作る能力が高まります。また自律神経がうまく働けば、冷えたとしても温度変化にうまく対応できるからです。

筋肉をつくるために大切なことは、以下の2つ。

・タンパク質を積極的に摂取
・ややきついと感じるくらいの運動習慣

肉、魚、卵、大豆製品などタンパク質の豊富な食品をしっかり摂りましょう。そこに運動を組み合わせることで筋肉はついていきます。

筋肉がしっかりつけば体調がよくなり、快適さも増します。自律神経はストレスによって乱れる場合が多いですが、筋肉がつけば毎日を快適に過ごせるためストレスが少なくなり、結果的に自律神経も安定してきます。

 

冷えやすい体質の改善には「漢方薬」もおすすめ

そうは言っても「暑がりの家族にあわせているから、部屋はいつもキンキン……」「生活習慣を変えるのは大変……」という方もいるかもしれません。そんな方におすすめしたいもうひとつの対策が「漢方薬」を飲むことです。

漢方薬は自然の生薬を組み合わせた薬で、全身が冷える、手足が冷える、下半身が冷えるなど、さまざまなタイプの冷えに効果が認められています。
心とからだ全体を整え、体質から改善してくれます。

<「夏の冷え」を改善するおすすめの漢方薬>

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
比較的、体力が低下した、冷え性がある方向けの漢方薬です。
貧血になりやすく、生理周期に伴って軽度のむくみ、腹痛などがある場合に用います。倦怠感、月経不順、月経困難、動悸などにも効果があります。

・四物湯(しもつとう)
比較的体力が低下していて、手足が冷え、出血や貧血の徴候があり、皮膚が乾燥しがちな方向けの漢方薬です。
自律神経失調症、産後の疲労回復、月経不順、冷え性、しもやけ、しみなどにも効果があります。

・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
普段から冷え性で虚弱体質な方が、寒さによって手足が冷えて痛み、下腹部痛や腰痛を訴えるような場合におすすめの漢方薬です。しもやけ、頭痛にも効果があります。

 

ただし、効果が認められている漢方薬でも、その方に合っているか否かが重要なポイントです。合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方に詳しい医師や薬剤師等に相談するようにしましょう。

最近では、オンラインで症状と体質に合った漢方薬を選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」というサービスも登場しています。漢方薬局よりも手軽に相談できるので、利用してみるのもいいでしょう。
スマホから、漢方に精通した薬剤師への個別相談を気軽に申し込むことができますよ。

「あんしん漢方」はコチラ

 

「夏の冷え」対策をして、暑さにも冷えにも負けないからだをつくろう

今回は夏の体調不良の原因として見落としがちな冷えとその対策を解説しました。
冷え対策は、健康的なからだづくりにつながります。
夏の体調不良で悩む方に、今回の記事が少しでも役に立つことを心から願っています。

 

教えてくれたのは……あんしん漢方 田頭秀悟(たがしら しゅうご)

【Profile】
日本神経学会専門医、日本東洋医学会専門医
内科全般、脳神経内科、漢方内科
オンライン診療専門クリニック「たがしゅうオンラインクリニック」院長
西洋医学の枠に捉われず、東洋医学は勿論、ホメオパシー、アロマテラピー、サプリメントなどの代替医療も駆使して患者さんの健康管理を遠方からサポートする。
理念は「『医者が患者を治す』から『患者が病気を治すの医者が手伝う』」。
根本的治療を施すことができる唯一の存在である患者本人が病気を克服するのを支える「主体的医療」の普及を目指している。
ブログ、ツイッター、YouTube、メルマガ、noteなど様々な媒体で患者自らが病気を治すために役立つ知識について情報発信中!

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/

 

更年期でのぼせても冷えている!? コロナ対策にもなる温活の重要性[医師 監修]

「冷え」でがんのリスクが上がる!? 特に冷えている人の特徴とは?[医師 監修]

夏バテ対策に! 冷えや紫外線に負けないセルフケアのコツ

 

※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
Web編集/FASHION BOX

RELATED CONTENTS

関連コンテンツ