天海祐希『緊急取調室』の新シーズンについてインタビュー「今、このタイミングでお届けできるということに意味がある」

天海祐希が出演中のドラマ『緊急取調室』の撮影秘話を語る「明日からも頑張ろう!と思っていただけたら」

【天海祐希】奇跡のような「今」を愛すべき人たちと精一杯楽しみたい。

困難なときも、閉塞感のある世の中も、私たちはきっと乗り越えていける――天海祐希さんも、そう信じるひとりです。心を自由にすること。そして、人と向き合い連帯すること。頼もしい先達から大人として教わる日々が、また始まります。

 

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逆境でも変わらないものはきっとこの先もあり続けるべきもの

まぶしい白。鮮やかなキャンディーカラー。強い日差しを受けて、色という色が皆、生き生きと輝く季節がやってきました。お仕事ではパリッとしたダークスーツ姿が定番の天海祐希さんも、この日は揺れるシルエットのフェミニンな装いに身を包み、くつろいだ表情を見せてくれます。
「白、普段はあまり着ないですね。黒もそうですが、白っていちばんおしゃれな色でしょう? 上級者でないとなかなか着こなせないような……。でも、やっぱりこういう気持ちのいいお洋服を着て外に出たい!と思いますよ。この1年、どうしても季節を感じる機会が減ってしまっていますから」

うち続くステイホーム期間の楽しみといえば、やはり家で楽しめるエンタテインメント。7月からはついに、あの『緊急取調室』の新シーズンが始まります。天海さん演じる刑事・真壁有希子をはじめとした警視庁捜査一課緊急事案対応取調班(=キントリ)が、取調室という密室で容疑者と対峙し言葉のみを武器に繰り広げる緊迫の心理戦を描いた人気シリーズは、今回で4作目。「今、このタイミングでお届けできるということに意味があると思っています」と天海さん、噛みしめるように語ります。
「誰かと正面から、至近距離で向き合うということが実はいかに難しく、貴重な機会だったのかということに、私たち、この1年で気づかされたじゃないですか。鬱々としがちな毎日ですが、せめて物語の中でだけでも人と人が目を見て話し、お互いの感情をぶつけ合う様子にスカッとして、明日からも頑張ろう!と思っていただけたら……。私たち、これしかできないですからね。お医者さまでも、日常生活を直接支える仕事でもないけれど、今こうして作品をお届けできるチャンスをいただけたことは、本当にありがたいことだと感じています」

特殊空間の臨場感を余すところなく伝える熟練のスタッフは、前シリーズから引き続き。そしてキントリのメンバーを演じる田中哲司さん、でんでんさん、小日向文世さんほか、レギュラーの俳優陣も勢揃いします。個性豊かな面々を束ねる座長として、重圧も大きいのでは?と尋ねると、いやいやいや、と天海さん。現場は、意外にも緩やかな空気が流れているのだとか。
「おじさまたちはだいたいデヘッとしてますね(笑)。本番ですって声がかかっているのにトイレに行っちゃうとか、メイクルームで似顔絵を描いてるとか。朝早い撮影でものすごくたくさん台詞があるときなんかに緊張していると、『アマミちゃん、なんかピリピリしてる』とか言われて。皆さん、それぞれに本当に可愛らしいところがあって、チャーミング。自由なんですよね」

思い出すたび、頰に笑みが浮かびます。しかし、ただただ緩いだけに終わらないのが、つわものたちの現場。スタンスの取り方、作品への向き合い方から教わることが多々あると、天海さんは言います。
「皆さん、数え切れないほどの作品に参加し、現場を引っ張ったり支えたりしてこられた方々ですから、経験の蓄積が半端じゃないんですよね。『どこどこの撮影、すごくいい雰囲気だったよ』と教えてくだされば、なるほどそんなやり方もあるのかと参考になるし、逆に何か問題が発生したときは、不満を言うだけでなく経験からその原因を探し出して解決することもできる。お芝居だけでなく、そうしたことにも秀でた先輩方に、毎日助けていただいています」

〈私だってぜんぜん幸せじゃない。もうすぐ45歳の誕生日だっていうのに、祝ってくれる旦那はいない、恋人もいない、友達もいない。どこに行っても人に嫌われる〉

7年前のシーズン1、第1話の冒頭で犯人にそう心情を吐露していた有希子。しかし事件をひとつ、またひとつ解決するたびに周囲との絆を深め、人間として成長した様子を見せてきました。ときを重ねて絆を深めながら、現実の厳しさを乗り越え前へ進む。物語さながらの現場の連帯は、天海さんにとっても大きな財産なのでしょう。
「最初の頃は、責任のある立場にも毎回ゲストをお迎えすることにもいっぱいいっぱいで、頑張らなきゃいけない!と肩に力を入れていた面もあったと思います。それでも、現場で先輩方を見ていて『今できることを精一杯やればいいんだな』と……。それに皆、もういい年齢の大人ですからね(笑)。自分自身にも他者に対しても折り合いをつけられるし、物事にも対処できる。だから私としては、キントリを愛し、大事にしてくださる方々に、この時間を楽しんでいただきたいと思うばかりで」

連帯が生み出す空気は、見る側にとっても馴染みの店に通うような安心感を醸し出すもの。今しばらく緊張の続く日々も、明るく乗り越えていけそうな予感がします。
「この間、当たり前だったことが覆されて、思いもよらないことが次々に起こりましたよね。何かがずっと続くなんてことは、本当に奇跡だったんだと……。でも、私は人間の強さを信じているし、いつか絶対に『あんなこともあったよね』と振り返る日が来ることも信じています。いろいろなことが変わってしまったけれど、でも変わらないものも確かにあって、それはきっとこれからもあり続けるべきもの。そのひとつに私たちの仕事を入れていただけるのなら、本当に、それ以上の喜びはないんです」

天海祐希『緊急取調室』の新シーズンについてインタビュー「今、このタイミングでお届けできるということに意味がある」
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INFORMATION/木曜ドラマ『緊急取調室』

脚本:井上由美子
出演:天海祐希、田中哲司、速水もこみち、鈴木浩介、工藤阿須加、塚地武雅、池田成志、でんでん、小日向文世ほか
毎週木曜夜9時〜テレビ朝日系列で放送中

100日後に「キントリ」解散!? メンバーが直面する、シリーズ史上最大の危機とは……。今シリーズも豪華ゲスト陣が登場、第1話では桃井かおりさんが天海さん扮する有希子と対峙する。「素晴らしいキャリアを築かれた先輩と向き合うことは、その方の歴史を共有させていただくこと。思い切りドーンといって、バーンと打ち返されたいと思います!」と天海さん。密室のやり取りを全方向から映し出す卓越したカメラワークにも注目したい。

 

PROFILE/天海祐希(あまみ・ゆうき)

1967年東京生まれ。近年の出演作に、ドラマ『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』『昔話法廷〜「桃太郎」〜裁判』、舞台『スジナシBLIZシアターvol.10』、映画『最高の人生の見つけ方』など。今年10月30日には、主演映画『老後の資金がありません!』が公開予定。

 

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photograph:Takashi Noguchi(San Dorago)
styling:Kozue Onuma(eleven.)
hair & make-up:Fumi Takeshita
text:Michiko Otani

大人のおしゃれ手帖 2021年8月号

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web edit:FASHION BOX

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