「便秘ではないのに、おなかが張る……」
「おなかが圧迫されている感じがする……」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?
おなかの張りは腸内にガスがたまっている証拠です。ガスがたまる原因はさまざまですが、これを放っておくと腸内環境の悪化など、ほかの不調がでてくる恐れもあります。
そこで今回は、おなかが張る原因やメカニズム、自分でできる解消法をご紹介します。
つらいおなかの張り・痛みの原因は「ガスだまり」だった!?
おなかの張り・痛みの原因は「ガスだまり」かもしれません。
「ガスだまり」とは、腸内に入ったり腸内で発生したりするガスと、腸内から出て行くガスのバランスが崩れて、腸内にガスが異常発生した状態を指します。
では、どのようにして、ガスが腸内に発生したり、出て行ったりするのでしょうか。ガスだまりの原因を踏まえてみていきましょう。
ガスが腸内に入る・発生するメカニズム
腸内のガスは、次のようなときに腸内に入ったり、発生したりするといわれています。
(1)呼吸時に吸い込んだ空気が腸内に入る
緊張やストレス、早食いなどが原因で空気を異常に飲み込んでしまうと、腸内にガスがたまりやすくなります。
(2)胃酸が膵液と反応しガスが発生する
強い酸性の胃酸は、消化器官内で膵液中の重炭酸イオンと反応すると、中和されて炭酸ガスがつくられます。
(3)食事を腸内細菌が分解するときにガスが発生する
腸内フローラのバランスが崩れて悪玉菌が多くなると、異常発酵により腸内にガスがたまりやすくなります。悪玉菌が増える原因として、高脂肪の食生活が挙げられます。
おなかの張りの原因となるガスを発生しにくくするには、胃や膵臓などの消化器の機能を整えることが大切です。そのために、なるべくストレスをためないようにし、野菜を多く摂るなどバランスよい食事を心がけましょう。
ガスが腸内から出ていくメカニズム
ガスが腸内から出ていくのは、次のようなときです。
(1)吐く息とともに排出
腸内に入ったガスのほとんどは、血液中に吸収されて全身を巡り、吐く息と一緒に排出されています。
(2)げっぷやおならとして排出
腸内に入ったガスの10%は、げっぷやおならとして排出されるといわれます。
ストレスや暴飲暴食などが原因で消化機能が低下すると、腸内にたまったガスがうまく排出されず、ガスだまりを引き起こします。たまったガスは、ストレッチなどで腸を刺激することで、排出しやすくなります。
おなかの張りをスッキリ解消! 自分でできる「ガス抜き術」
つらいおなかの張りはすぐに解消したいものです。
そこで、今回はガス抜きポーズやツボ押し、ストレッチなど自分でできる「ガス抜き術」をご紹介します。
ガス抜きのポーズ
「ガス抜きのポーズ」は、横になってできる簡単なガス抜き術です。
(1)仰向けになり、両ひざを抱えます。
(2)両ひざを抱えたまま、息を吸っておなかをふくらませ、息を吐きながら太ももを胸に抱き寄せます。
ひざを抱き寄せることでおなかが圧迫され、腸を刺激することができますよ。
おなかのツボ押しでガス抜き
「おなかのツボ押し」は、おなかが張ってつらいときにすぐできるガス抜き術です。立ち姿勢でも座り姿勢でもできるのでおすすめです。
(1)親指が後ろ、ほかの4本の指が前にくるように腰に手を当てます。
(2)4本の指がおへその斜め下にくるようにセットし、大きく息を吸います。
(3)息を吐きながら、おじぎをするように上半身を倒します。
※このとき、おなかの動きを感じない場合は、上半身を倒した状態のまま、両手でおなかをもみほぐすようにマッサージしてもいいでしょう
(4)この流れを5回繰り返します。
うつ伏せストレッチでガス抜き
うつ伏せになると、おなか全体に自然と圧がかかるため、たまったガスをスムーズに移動させる効果が期待できます。さらに、うつ伏せにストレッチを加えることで、より腸を刺激し、動きを活発にできますよ。
(1)脚をそろえてうつ伏せになり、脇を締めた状態で手のひらを肩の横に置きます。
(2)息を吸いながら、腕と背筋の力を使い、ゆっくりと胸を反らします。気持ちよく感じるところで止めましょう。
(3)息を吐きながら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
(4)この流れを5回繰り返します。
おなかの張りや腸の不調には「漢方」もおすすめ
「おなかの張りを根本的に解消したい」「腸の不調をからだの内側から改善したい」
そんなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、漢方薬です。
漢方薬は腹部膨満感(おなかの張り)の治療にも活用されています。
漢方薬で根本的に体質を改善していけば、からだの内側からおなかが張る原因にアプローチすることができ、理想の健康を目指せます。
マッサージなどのセルフケアに漢方薬を加えることで、ガスだまり知らずのからだに近づけることでしょう。
漢方薬が得意なのは、もともとからだに備わっている「内なる治癒力」を高めること。からだの内側からアプローチすることで、気・血・水(き・けつ・すい)の流れを整え、心もからだも健やかな状態を目指せます。これらの巡りを改善することが、おなかの張りや腸の不調の改善にもつながるのです。
また、「健康のために規則正しい生活や運動を毎日続けるのは大変……」という方でも、漢方薬なら自分の症状や体質に合うものを毎日飲み続けるだけなので、継続しやすい健康法といえます。
さらに、漢方薬は自然の生薬を組み合わせているため、一般的には西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。体質に合っていれば高い効果を得られますので、自分に合った漢方薬をとり入れていきましょう。
<おなかが張りやすい方におすすめの漢方薬>
・桂枝加芍薬湯(けいしかしょくやくとう)
胃腸が弱く、腹部膨満感や腹痛、下痢をしやすい方におすすめの漢方薬です。
からだを温めて、腸の緊張をほぐします。また、おなかの痛みを抑える効果も期待できます。
・四逆散(しぎゃくさん)
脇腹からみぞおちにかけて張りやすく、ストレスを感じている方に効果のある漢方薬です。
気の巡りを改善し、不足した血を補います。ストレスで滞った気を巡らせることで、おなかの張りを緩和することが期待できます。
漢方薬は、その人に合っているか否かが重要なポイントです。合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
最近では、オンライン上で症状と体質に合った漢方薬を選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」というサービスも登場しています。漢方薬局よりも手軽に相談できるので、利用してみるのもいいでしょう。
スマホから、漢方に精通した薬剤師への個別相談を気軽に申し込むことができますよ。
セルフケアでおなかの張りを解消しよう
つらいおなかの張り。その原因としては、ストレスや食生活、消化機能の低下などが挙げられます。自分の生活習慣を見直して、直せるところからアプローチしていきましょう。
また、簡単なガス抜き術を行うことで、一時的なおなかの張りを解消することが期待できます。今回ご紹介した方法を、ぜひ参考にしてみてくださいね。
教えてくれたのは……あんしん漢方 杉岡弥幸
【Profile】
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
北里大学で生薬学を学び、卒業後は大手漢方専門店にて漢方薬剤師として勤務。現在は自身のダイエット経験や健康に関する知識を活かして、漢方や養生による体質改善方法をWebなどで発信している。
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