趣味の人
趣味を大切にする著名人を訪ね、その魅力を語っていただく『MonoMaster』連載の「趣味の人」。今回はクラシックカーをレストアしながら日常の足として乗り続けている俳優の光石研さんにお話を伺いました。
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俳優・光石 研と旧車。
映画のワンシーンを観ているように、優雅な雰囲気をまとったクラシックカーが待ち合わせ場所に滑り込んで来た。静かに車から降り立ったのは、映画やドラマに欠かせない名バイプレーヤーとして活躍する俳優の光石研さん。愛車は車好きの間でハネベン、フィンテールの愛称で呼ばれるW110型のメルセデス・ベンツ190。1963年式ということだから、もうすぐ還暦を迎えようとしている歴史的なクラシックカーだ。
「音楽やファッション、インテリアなど古いものが好きなんですよ。特に、1950年代のアメリカンカルチャーの影響を受けて育ったので、クラシックなアメ車にずっと憧れがあったんです。でも、いざ自分が乗るとなると、シェビーやキャデラックなどはちょっと派手すぎる感じがして、ボクのキャラクターじゃないかなって。アメ車の影響を受けながらも、ヨーロッパのフィルターを通すことで上品さが加わった、この車がちょうどよかったんです。テールの羽根なんて、アメ車と違ってずいぶん控えめでしょ。この普段着で乗れるカジュアルな感じが気に入っているんです」。なるほど、静かに街の景色に溶け込みながら、大人の渋さと上品さを持った姿は、光石さんのキャラクターととてもよくマッチしているように思えた。
ボルボ122S(アマゾン)やメルセデス・ベンツW114にも乗っていたという光石さんが、今の愛車と出会ったのは12年前。それは運命といってもいいような、不思議な縁を感じるものだったそう。「40代の頃に友人が程度のいいハネベンを見つけたと教えてくれたんですよ。でもそのときはW114を買ってすぐだから、泣く泣く断ったんですね。それから2年くらい経った頃、今度は雑誌でハネベンが売りに出されている記事を見つけて、すぐにお店に見に行ったところ、それが友人が紹介してくれて買えなかったハネベンだったんです。しかも、お店をたたむことになっていたみたいで、日がずれていたら出会うことができなかったんですよ。偶然、買えなかった車にもう一度出会えて、偶然、閉店前に足を運ぶことができた。二つの偶然が重なって、運命的というか、感じるものはありましたね。本音を言うと欲しかったのは同じハネベンでも縦目のW111だったんですけど、丸目もかわいく見えてきて(笑)」。
そうして、手に入れたハネベンだけれど、初めから今のようなコンクールコンディションだったわけではないという。「まずはエンジンのオーバーホールからですね。冬の暖気がつらかったのでキャブをインジェクションに、エアコンが付いていなかったため新たに付けました。ボディカラーは元々の純正カラーが気に入っていたので、同じ色でオールペン。一番のお気に入りは赤いレザーシート。レストアする際にどうしようか一番迷った部分なんですけど、シックなボディカラーに映える挿し色の赤にしました。それに合わせて内装も赤で統一しました。キーレスエントリーも追加しましたが、窓はハンドルをぐるぐる回す手動式に慣れてしまったのでそのままにしています(笑)」。少しずつ手を加え、自分好みの一台に仕上げていくのはクラシックカー好きの醍醐味だけれど、旧車につきもののトラブルも多々あったという。それでも、12年かけてじっくり愛情を注いできた光石さんは、「そんなものは何でもない。振り返ったときにお話しできる思い出の一部です」と、少年のような笑顔を見せてくれた。
「僕は古いものが好きだけれど、コレクターではないんです。どんなに稀少なものでも、モノは使ってこそ。年輪を重ねた経年変化やかっこ悪さも愛しく思います。もちろん、新しいものの方が便利で安心ということも知っています。でも、やっぱり落ち着くのは自分の車なんですよ」
古いからこそ手を加えながら気長に付き合っていきたい。
「普段着のままカジュアルに乗れるのが好き」という光石さん。今でも撮影現場やスタジオに自分で運転しながら向かうことも多いそう。
白ハンドルや縦型アナログメーターは当時の純正品。シートはボディカラーに近いグレーのファブリックから、光石さんが選んだ赤い革張りにレストア。「今では珍しいマニュアルのコラムシフトは自分で操っている感じがあって好き。便利さに負けて導入したキーレスエントリーは快適そのものです」
50年代のアメ車の影響を受けたボディデザインは本来、縦目のヘッドライトを探していたそう。「今ではこの丸目の方がかわいく思えます。呼び名の由来になったテールのフィンもアメ車と比べると控えめ。このヨーロッパ的な洗練さも好きなんですよ」
「新しいものにあまり興味がなくて、古いものばかりに心が動く」という光石さん。ドライブ中のBGMもマンハッタンやモーメンツなど、60~70年代のソウルミュージックがお気に入り。
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PROFILE/光石 研(みついし・けん)
1961年、福岡県生まれ。俳優。癖のある役からおっとりした役までこなし、多くの作品で独特の存在感を放つ名脇役。10月22日より下北沢・本多劇場を皮切りに上演されるM&Oplays プロデュース舞台『いのち知らず』に出演中。
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撮影/山仲竜也(STANFORD)
取材・文/岡藤充泰(ライトアウェイ)
スタイリング/上野健太郎(KENOFFICE)
ヘア&メイク/山田久美子
(MonoMaster 2021年11月号)
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WEB編集/FASHION BOX