現在の紛争や難民問題のきっかけになったといわれるパレスチナ分割決議案。その決議案が採択されるにいたった背景を、河合塾世界史講師の神野正史さんが監修した書籍『その日何があったかがわかる 1日1話5分で身につく歴史の教養365』から解説します。
書籍『その日何があったかがわかる 1日1話5分で身につく歴史の教養365』
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【1日1話365日】
歴史を見る目が変わる！
1月1日から12月31日まで
その日起こった歴史の大事件がすぐわかる
1日1話読み進めていくだけで、その日世界で何が起きていたのかをインプット。自分の幅を広げる教養としてはもちろん、今日会う人との会話の切り口にしても。今日その日に起こった出来事だから、より身近に感じて覚えやすくなります。歴史に生きる偉人たちや大事件を知り、その生き方・動きを知れば、これから自分が進む方向に影響する可能性も。1日5分、1年間で広く深い教養を身につけましょう。
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【1947年】11月29日 国連のパレスチナ分割決議案が採択される
1920年のサンレモ会議でパレスチナはイギリスの委任統治領と認められ、1922年に委任統治が正式に始まった。ここからイギリスは第一次世界大戦中に行なった、みずからの「3枚舌外交」のつけを払わされることになる。イギリスの統治下、過去の約束に従って、アラブ人は「アラブ国家の独立」、ユダヤ人は「ユダヤ人国家の独立」を主張。激しい衝突を伴う対立となり、ときにはイギリスの機関もテロの標的となるなど対応に苦しんだ。
第二次世界大戦後、紛争の処理に手を焼いたイギリスは、ついに事実上のパレスチナ放棄を決意。成立したばかりの国際連合にパレスチナ問題解決を委ねた。
1947年11月29日、パレスチナ分割決議案が国際連合総会で採択される。これは経済同盟を伴う分割案とされ、パレスチナに対するイギリスの委任統治を廃止。パレスチナをアラブ国家、ユダヤ国家、国連管理下の国際都市イェルサレムの3つに分割するもので、その内容は、パレスチナの全人口197万人中の約3分の1に過ぎないユダヤ人に、パレスチナの土地の約56％を与えるというユダヤ側に有利なものだ。アラブ諸国から反対はあったが、ユダヤ民族主義者シオニストにとって、かつてのバルフォア宣言が不完全ながらも実現されたとして大変望ましい案だった。投票を前に、シオニスト側、アラブ側の双方が国連加盟国に融資の申し出や援助の削減などを提案。脅迫めいたものも含めさまざまな工作を行なった。
アメリカやロシア、欧州各国など、複雑な思惑が絡む状況で行なわれた加盟国57カ国による採決の結果は賛成33、反対13、棄権10、欠席1。棄権と欠席を除く3分の2の賛成を得て可決された。反対に回ると思われた12の国が当日になって賛成に回るなど波乱に終わったこの投票は、「レークサクセスの奇蹟」と呼ばれる。レークサクセスは1946〜51年まで国連安全保障理事会本部が置かれたニューヨーク州南東部、ロング・アイランド島にある村の名だ。
「もし1947年にアラブ側が国連のパレスチナ分割案を受け入れていたら、現在の紛争、難民問題も起こっていなかった」というのは、ユダヤ側支持者の声だが、事実はアラブ側が分割案に同意せず、問題は解決できずに今日に至る。1977年の国連総会では、11月29日が「パレスチナ人民連帯国際デー」と定められた。
11/29に起こった、その他の出来事
1780年・マリア=テレジア、死去
1890年・大日本帝国憲法、施行
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このコンテンツの監修者は……神野正史 （じんの・まさふみ）
【PROFILE】
河合塾世界史講師。1965年名古屋市生まれ。立命館大学文学部史学科西洋史学専攻卒。世界史ドットコム（http://sekaisi.com）主宰。学びエイド世界史鉄人講師。ブロードバンド予備校世界史講師。ネットゼミ世界史編集顧問。歴史エヴァンジェリスト。河合塾で長年にわたって教壇に立ち、圧倒的な支持を受け続けてきたベテラン世界史講師。また、TV出演、講演、雑誌取材、ゲーム監修なども多彩にこなし、著作家としても活躍している。おもな著書・監修書に『「世界史」で読み解けば日本史がわかる』（祥伝社）、『世界史劇場』シリーズ（ベレ出版）、『現代への教訓！ 世界史』（PHP研究所）、『イラスト図解 感染症と世界史 人類はパンデミックとどう戦ってきたか』（宝島社）などがある。
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（抜粋）
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編集／株式会社クリエイティブ・スイート
執筆／奈落一騎、佐藤賢二、つるたちかこ、目片雅絵、倉田 楽
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