[仲野太賀]30代を迎えるまでにやりたいことは“自立”? 勝地涼らと共演の舞台『いのち知らず』は「最高のミッドフィルダーの集まり」

舞台『いのち知らず』出演中の仲野太賀「もがいている自分が好き」[インタビュー]

だから、応援したい人

『大人のおしゃれ手帖』で連載中の「だから、応援したい人」。個性豊かな実力派俳優5人が名を連ねた注目の舞台『いのち知らず』に出演する仲野太賀さんに、舞台に向けての現在の心境、そして、28歳の今、感じていることを伺いました。

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「“置きにいかず”自分をさらしていきたい」

[仲野太賀]30代を迎えるまでにやりたいことは“自立”? 勝地涼らと共演の舞台『いのち知らず』は「最高のミッドフィルダーの集まり」

岩松作品に出ているときの自分が、けっこう好きです

どの問いに対しても、熟慮の末に自分の言葉で話してくれる落ち着きぶりからは意外に思えるが、実はまだ28歳。30代を迎える前にやっておきたいことは?と尋ねると、仲野太賀さんからは、こんな答えが返ってきた。
「この仕事をしていると、どうしても人から何かしてもらうことが多くなる。でも与えてもらうだけじゃなく、そろそろ与える側に回る準備をしないといけないかなあと。自分でできることは、なるべく自分でしたいと思っています。いわば“自立”というか」

日常生活における、料理や掃除もその一部。
「といっても、できるだけウーバーイーツに頼らない……という程度ですけど(笑)。今は生活を便利にする術がたくさんあるけど、テクノロジーに頼りすぎると、生活がつるっとしちゃっておもしろみがないじゃないですか。当たり前のことを当たり前にやることで、生活が凸凹して、手ざわりが出てくる。その方が、心も豊かになるんじゃないかな、と」

もう一つ、20代のうちにしておきたいのが、「たくさん挑戦して、失敗する」こと。
「挑戦するのは勇気が要るし、体力も使うけど……。放っておくとどうしても楽なほうへ行きがちな性格なので、自分を律して、枠に収まらないようにしたいですね」

その姿勢は、この秋に挑む舞台『いのち知らず』でも同じ。
「何度もトライアンドエラーができるのは、失敗してもいい稽古場ならでは。タイトルも“いのち知らず”ですし、とにかく守りに入らずに、自分をさらしていきたい。“置きにいかない”のが今回の課題です」

舞台は、劇作家・演出家の岩松了氏の新作。とある山間の研究所で、門番として働く二人の若者と、同じくその施設に雇われている年配の男の交流を通し、命の意味と男同士の友情が描かれる。2012年に出演した『シダの群れ 純情巡礼編』を皮切りに、岩松作品は今回が5度目の出演となる。
「岩松さんの書く美しい台詞を言えること自体も喜びだし、それをお客さんの前で演じられる喜びは格別。ひと言で劇場の空気が変わっていくのは、演劇ならではだと思います。映像とは違って、演劇は劇場の中だけで生まれて、人の記憶に残っていくもの。そういう刹那的なところがあるからこそ、観ていてうっとりするし、情緒を感じるんだと思います」

多くの現場を経験するなかでも、「岩松さんの作品に出ているときの自分が好き」と話す。
「以前、岩松さんが『わからないことはいいことだ』と言っていて。自分のキャパにないものを、必死でわかろうとして追いかけているうちに、新しい自分を発見できる気がするんですよね。そうやってガムシャラにもがいている自分が好きなのかもしれません」

仲野さんはじめ、勝地涼さん、光石研さん……と、男性ばかりのキャストも話題に。
「岩松作品は女性を美しく魅力的に描いた作品が多い印象ですけど、今回は男性5人だけ。どの作品にも存在感を残してくる、素晴らしい方々がそろっていますよね。この例えが合っているかはわからないけど、サッカーで言うと最高のミッドフィルダーが集まった、みたいな(笑)。どの角度からも攻められる少数精鋭のメンバーだと思っています。勝地さんとは、過去にドラマで共演して以来、定期的に会っていますが、男気があって、人を敬う気持ちが強い方。年齢は6歳離れていますけど、いろんなことを共有できる数少ない先輩ですね。演じてきた役も近いし、お互いにシンパシーを感じているのかもしれません」

今年に限っても、ドラマ「コントが始まる」「#家族募集します」、映画『すばらしき世界』『あの頃。』と、話題作への出演が続く。多忙な日々を過ごす中、少しでも時間ができたときは映画館へ足を運ぶのが習慣だ。
「1本映画を観るだけでも、自分の心が潤うのを感じて。あらためて映画が好きなんだな、と思います。意識しているのは、“好きかどうかは別として、トレンドは知っておく”こと。なかにはそれほどおもしろいとは思わないな……と感じるものもあるけど、興味がなくても話題の作品には触れるようにしています。去年は、配信ドラマにすごくハマりましたね。HBO(アメリカの有料ケーブルテレビ局)が作ったドラマがすごくおもしろくて。特に『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』と『僕らのままで/WE ARE WHO WE ARE』が素晴らしかったです」

特に最近刺激を受けたものは……?と聞くと、考えた末に「一昨日観たフジロックの配信」と、一転して顔をほころばせた。
「ナンバーガールのライブが最高で! その日、ドラマの撮影が終わったのが21時20分で、ライブは21時半からだったんです。すぐ車に乗ってYouTubeを開いて、聴きながら1時間半ドライブしました。今、苗場で演奏されている音が、俺の車で爆音で鳴っていると思うと、めちゃめちゃ興奮したし、感動して。そういう意味では、テクノロジーの恩恵もちゃんと受けてますね(笑)」

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[仲野太賀]30代を迎えるまでにやりたいことは“自立”? 勝地涼らと共演の舞台『いのち知らず』は「最高のミッドフィルダーの集まり」

作・演出:岩松 了
出演:勝地 涼、仲野太賀、新名基浩、岩松 了、光石 研
東京公演:10月22日(金)~11月14日(日) 本多劇場
※仙台、大阪、島根、山口、熊本、広島、名古屋にて地方公演も
公式ホームページ:http://mo-plays.com/inochishirazu/

劇作家、演出家、俳優と幅広く活躍する岩松了氏の新作。山間の施設の門番を務めるロク(勝地涼)とシド(仲野太賀)。2人には、お金を貯めて街で車の修理工場を立ち上げるという夢があった。あるとき彼らは、もう一人の門番・モオリ(光石研)から、施設では「死んだ人間を生き返らせる研究が行われている」と聞かされる。

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PROFILE/仲野太賀(なかの・たいが)さん

1993年生まれ、東京都出身。2006年に俳優デビュー。2016年、ドラマ『ゆとりですがなにか』の山岸役で注目を集める。近年の出演作に映画『生きちゃった』『僕の好きな女の子』『すばらしき世界』『あの頃。』、ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』『#家族募集します』など。2019年6月より芸名を「太賀」から「仲野太賀」に改める。映画『ONODA一万夜を越えて』が10月8日(金)より公開中。2022年の公開待機作に『ある男』など。

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photograph:Yusuke Shirai
styling:Dai Ishii
hair & make-up:Masaki Takahashi
text:Hanae Kudo
edit:Kaori Suzuki
大人のおしゃれ手帖 2021年11月号

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web edit:FASHION BOX

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