林遣都|30歳の節目を迎え「いろんな人と触れて、有意義な時間を過ごしたい」インタビュー

林遣都|30歳の節目を迎え「今の自分をさらけ出したい」 安部公房 作の舞台『友達』への意気込みを語る|インタビュー

だから、応援したい人

『大人のおしゃれ手帖』で連載中の「だから、応援したい人」。今年はじめに出演した舞台では、公演の延期を体験し、舞台への思いにも変化があったと語る林遣都さん。人生の節目とも言える30歳になったことも、心境の変化に少なからず影響しているよう。舞台『友達』への出演を控えた林さんに、舞台のこと、今感じていること、伺いました。

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「30代の課題は、もっと広く物事の本質を知ること」

林遣都|30歳の節目を迎え「いろんな人と触れて、有意義な時間を過ごしたい」インタビュー
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今の自分をさらけ出すことが成長に繋がると思っています

17歳の俳優デビューから14年。昨年、30歳の節目を迎えた林遣都さんは、「20代をどう過ごしたかが、30代では如実に表れると実感した」と話す。
「10代、20代のときは度胸が大事だと思っていましたし、野心がむき出しだったことも。もっとこう過ごせばよかったな、と反省はあるけど、後悔はないです。刺激的な20代を過ごせたという自負はあります。30代の課題は、もっと広く物事の本質を知ること。あらゆることに目を向けて有意義な時間を過ごしたいです。そうした習慣を怠っていたときに、ある人にずばっと見抜かれて『喫茶店に行って周りの人を眺めてきなさい』と言われたことがあって。そういう時間も大切にしたいと思っています」

もともとは「人に話しかけるのが苦手」で、決して社交的ではない。だからこそ、現場では意識的に人とコミュニケーションを取る。
「20代半ばまでは、周囲と交わることよりも、しっかり自分のお芝居を見せればいいと思っていたんです。でも勇気を出して話しかけることで、いい出来事がたくさん起こる。信頼する先輩に救ってもらったことも何度もありました。だから30代はいろんな人と触れて、有意義な時間を過ごしたいです」

今年1月に出演した舞台『フェードル』でも、共演した大竹しのぶさん、キムラ緑子さんから多くの影響を受けた。
「自分だけではたどり着かないような発想や発見がたくさんありました。しのぶさん、ドリ(キムラ緑子)さんの凄さは、やるたびに新鮮味が更新されていくこと。同じ日が一度もなくて、毎回、相手との呼吸で感情が変化していくんです。それをおふたりとも楽しんでいて。自分もなんとか食らいつこうと必死でしたが、あと1年くらいやっていたいと思えるほど楽しかったですし、幸せな時間でした」

同作が緊急事態宣言の影響による公演の一部延期を経たことで、舞台への思いも変化した。
「カーテンコールでは、客席からすすり泣きの声も毎日のように聞こえてきて。今までに出た舞台とはまた違う不思議な空気でした。みなさんがそれぞれの生活の中でエンターテインメントに解放や喜び、救いを求めて来てくださっているんだと実感しましたし、そういった仕事に関われていることは誇らしいとも思えました。こんなに幸せな仕事に就けているのだから、僕も憧れの先輩方のように誰かを元気づけたり、感動させられるように経験を積み重ねたいです」

そうした思いを抱きながら次に挑むのは、舞台『友達』。安部公房の戯曲を、27歳にして演劇、映像と多くの分野で注目を集める劇作家の加藤拓也氏が演出する。
「最初に戯曲を読んだ印象は……。正直なところ、今の自分には難しすぎて。いったん本を閉じて、時間が経つのを待ってみようという状態でした(笑)。その後、加藤さんが書かれた上演台本を読んで。オリジナル版の本質は変わらないまま、幅広い層の方が楽しめるものになりそうだと期待が高まっています」

ストーリーは、主人公の男が暮らす部屋へある日突然、9人の家族が入り込んできて、じわじわと生活を侵食されていく……という不条理な恐ろしさを感じさせるもの。林さんは謎の家族のひとり、長男役を演じる。
「家族が主人公の男を翻弄していくなかでも、長男は最も攻撃的なポジション。家族全員が得体の知れない人ばかりで。この家族はどういう関係なのか、果たして本当に家族なのか……。自分なりに想像しつつ、この難解な戯曲をみなさんがどう捉えているのか、意見を交わすのが楽しみになりました」

共演したばかりのキムラ緑子さんをはじめ、鈴木浩介さん、山崎一さん、浅野和之さんと、キャストは舞台経験の豊富なベテランぞろい。
「ここは絶対に浅野さんに相談するだろうな……という場面がすでにあります(笑)。時間をたっぷり取って、演出家や共演者の方々とひとつの方向へ向かって掘り下げていけるのが、僕にとっての舞台の魅力。考えてきたものを提示して、自分に足りない部分を細かく指摘してもらえる時間が楽しいんです。だから稽古場ではなるべく今の自分をさらけ出して、共演者に知ってもらいたい。本来はそんな気質じゃないのですが(笑)、向き合い、それが必ず成長につながると思っています」

前回の舞台では、ベストなパフォーマンスをするための体づくりも必要だと実感。
「昼夜2回公演のときにドリさんから『あなた、昼と夜で全然違う。もっと早く体を温めなさい!』と叱られたんです。いかに万全の状態でお客様の前に立つかも、プロとしての責任だと教わりました」

そのために取り入れた習慣のひとつが、ボイストレーニングを通じて身につけた呼吸法。
「僕はわりと考え込みやすくて、ひとつのことに没頭すると周りが見えなくなるタイプ。だからこそ、気持ちを切り替えたり、心を穏やかにする手段を持つことが大切なんだと発見しました。深く呼吸することで、お芝居に限らず、普段の生活も変わった気がします」

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INFORMATION/舞台『友達』

林遣都|30歳の節目を迎え「いろんな人と触れて、有意義な時間を過ごしたい」インタビュー

作:安部公房 演出・上演台本:加藤拓也
出演:鈴木浩介、浅野和之、山崎一、キムラ緑子、林遣都、岩男海史、大窪人衛、富山えり子、有村架純、伊原六花、西尾まり、内藤裕志、長友郁真、手塚祐介、鷲尾真知子

安部公房の戯曲を気鋭の劇作家・加藤拓也氏が演出。ある夜、ひとりの男(鈴木浩介)の日常に見知らぬ家族の足音が忍び寄る。祖母(浅野和之)、父母(山崎一・キムラ緑子)、3人兄弟(林遣都・岩男海史・大窪人衛)、3人姉妹(富山えり子・有村架純・伊原六花)の9人家族は隣人愛を唱えながら、瞬く間に男の部屋を占拠し……。

【東京公演】9月3日(金)~26日(日)新国立劇場 小劇場
【大阪公演】10月2日(土)~10日(日)サンケイホールブリーゼ

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PROFILE/林 遣都(はやし・けんと)さん

1990年生まれ、滋賀県出身。2007年、映画『バッテリー』で主演デビュー。第31回日本アカデミー賞ほか多くの新人賞を受賞。近年の出演作に映画『しゃぼん玉』『チェリーボーイズ』『私をくいとめて』『犬部!』、ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」「スカーレット」「世界は3で出来ている」「姉ちゃんの恋人」「ドラゴン桜(第2シリーズ)」など。公開待機作に映画『護られなかった者たちへ』『恋する寄生虫』(2021年公開予定)がある。

 

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photograph:Yusuke Shirai
styling:Yonosuke Kikuchi
hair & make-up:Miki Nushiro(GUILD MANAGEMENT)
text:Hanae Kudo
edit:Kaori Suzuki
大人のおしゃれ手帖 2021年9月号

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web edit:FASHION BOX

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