湯山玲子と新川帆立が女性の社会進出をメインにスペシャルトーク!「女を理由に逃げないでほしい」

湯山玲子が『元彼の遺言状』麗子と小池百合子の共通点を分析! 出世できない原因は…[新川帆立 対談]

ジェンダーギャップとミステリーヒロイン

デビュー作『元彼の遺言状』が累計40万部突破と大ヒットした作家・新川帆立さんの新刊『倒産続きの彼女』が、2021年10月に刊行。現在、アメリカ・シカゴに居を構えている新川さんだが、新刊刊行に合わせて緊急帰国。『女装する女』を愛読しており、対面を心待ちにしていたという著述家・湯山玲子さんとのスペシャルトークが実現しました。

書籍『元彼の遺言状』

著者:新川帆立

≪2021年 第19回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作≫

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」
奇妙な遺言状をめぐって、おカネ好きの凄腕女性弁護士が活躍!
前代未聞の遺産相続ミステリー

書籍『倒産続きの彼女』

著者:新川帆立

≪『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作&累計40万部突破、『元彼の遺言状』続編!≫

彼女が転職するたび、その企業は必ず倒産する―― 婚活に励むぶりっ子弁護士・美馬玉子と、高飛車な弁護士・剣持麗子がタッグを組み、謎の連続殺「法人」事件に挑む!

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先輩女性たちの努力と闘いで今、女性たちの社会進出がある

湯山玲子と新川帆立が女性の社会進出をメインにスペシャルトーク!「女を理由に逃げないでほしい」
左:湯山玲子さん 右:新川帆立さん

湯山:私が就職した年は雇用機会均等法の3年前なんですよ。「読者モデル」を知らしめた『JJ』という雑誌があって、日本でいちばんえらいのは女子大生という呆れた時代です。上の世代のフェミニストたちが闘って、理想を主張しても、当時の男社会はテッパンで聞く耳を持たなかった。そんな中で、「自分の自由になるお金を稼ぎ、自分のために使う」という現実は、当時の自分にとってひとつの突破口に見えたのは事実ですね。『元彼の遺言状』でも主人公の麗子は哲学が金銭の人。お金って共通ルールの中でフェアだから、「男だから」といってマウントする輩に対して、「私は女ですがあなたより収入は多い」と黙らせる武器がお金でもあるわけです。

新川:ある作家が「昔は男と寝ないのがフェミニズムだったけど、今は男と寝るのがフェミニズムだ」と言っていたのですが、湯山さんより上の世代は「男と寝ないのがフェミニズム」で、下の世代からはそれがちょっとダサく見えた。湯山さんが女子大生の頃には、「お金と女を使って楽しもうよ。それが自由というものよね」という時代だったと思うんですよね。

湯山:女を使ってというのは、主体的なセックスというのと、目的を達成するための手段として「女らしさ」を確信犯で使ってもいいという両輪ですね。森喜朗発言の「わきまえる女」のわきまえは、そういったテクのひとつ。新川さんの世代だと、案外、女を使わなくてもいけるんじゃない?

新川今は揺り戻しの揺り戻しみたいなものが来ているんです。湯山さんの世代の次にバブル期が来て、そこまでは華やかで強い女がイケてたと思うのですが、そのあとの失われた10年は就職氷河期とも重なるので、かなり厳しい世代で……。まさにそれがGLOW世代ですよね?

湯山:そうそう、GLOW世代はぼやきがち(笑)。こじらせ世代ともいうかな。

新川:その失われた10年のGLOW世代は、清貧というのか、やりくり上手がいい奥さんというのを刷り込まれている世代だと思うんですよ。「社会に出ていいよ」と言われてるのに、そこまでは活躍できない。活躍できる土壌もまだ整いきっていない。その揺り戻しで、私たちの世代は「女子ってもうちょっと強い方がいいよね。場所も用意してるんだから、活躍して、ほら!」って強い女性が推奨されたんです。でも、求められる強さが強すぎて、「どんどん仕事して、どんどん出世して、役員になってください。でも、結婚して、子どもも産んでください。家庭も守ってください」となって、それに重圧を感じて、「私はやっぱり専業主婦でいいや」という人も逆に出てきている世代なんですよね。

湯山:新川さんは事実婚を実践されているけど、パートナーと話し合って決めたこと?

新川:あまり議論はしていなくて。私が名前を変えたくなかったからで、今後、夫婦別姓が導入されたら籍を入れるかもしれないですが、今は一緒にいたくているというだけなので、比較的に自然体といいますか……。

湯山:世代が違う親たちは納得してるの?

新川:チクチクは言ってきますよね(笑)。あと、弁護士の同僚だった男性に「僕は自分の名前になってくれる女の子の方がモテると思う」って言われて。

湯山:男の意識はまだまだオヤジの伝統を受け継いでいますな。

新川:言うんですよ、チクッと(笑)。逆にそのくらいの攻撃だと、キレるのも大人げないというか。「ははは、別にモテたいわけじゃないしね」と言って流す。でもそれはそれでちょっと消化不良で……。

湯山1チクくらいだったらいいけど、5チクになったらドーンと怒ることも重要。そういう女の我慢がモロに「わきまえている」という身勝手な男社会にとっての都合のよさを増長してきたわけだからさ。

新川:そうですよね。逆に夫は全然言われないんです。「私のわがままをかなえているいい夫」という構図になってるんですよ。

湯山:うちもそう! ヤツからの内助の功なんてまったくないのに、「旦那さんの支えがあるからこそよ」なんて言われちゃってさー(笑)。新川さんはアメリカで暮らしていて、日本とアメリカのジェンダーギャップの差は感じてる?

新川:アメリカは、自信がある女性がイケてるというのがはっきりとした規範としてあるので、なよなよした女性はモテないです。

湯山:ヨーロッパもそう。ドイツの芸術大学で教えている友人は「日本人の女子学生は、ニコニコしていて討論に加わらないからバカにされている」って怒っていたし。

新川:海外では麗子(『元彼の遺言状』の主人公)の方がモテると思います。日本では玉子(『倒産続きの彼女』の主人公)ですけどね。日本のライトノベルって海外にもたくさん輸出されているんですけど、ラブコメ要素が入っているとまったく受けないんですって。それは、日本の男性が好きな女性ヒロインは海外では受けないということなんです。

湯山:とはいえ、男も実はバカじゃない。デキる男は、自分の言葉を持っている女が好きで、パートナーにはそういうタイプを選ぶ。

新川:「頭が切れる賢い女にリスペクトされる俺」っていうのが必要なんですよ、男性は。

湯山:確かに!「あのハードコアな女がオレだけに見せてくれる弱み」っていうヤツね。

「プロ」として仕事をする そこから逃げないことが大切

湯山:2作品を読ませていただいたけど、法廷もののミステリーっていうのは常におもしろいよね。ふたつの作品に共通しているのが、「プロの女を描いている」ということ。私は仕事とアイデンティティが表裏一体の「仕事好き」ですが、そういうタイプは今、男も女もちょっと旗色が悪い時代なので、うれしかったですよ。プロって何かといったら、それは「結果を出す」ってことです。でも、ほとんどの人がプロまで行かない。もうすぐAIに仕事を取って代わられる時代が来るじゃない? AIに取って代わられない仕事を見つけること―それはクッキー作りでもいいんだけど、クッキーを10年焼き続けてお金になったら、それはプロってことだからね。2作目の玉子ちゃんは、最初はふわふわしてテキトーに仕事こなしてるんだけど、途中からビシッと芯棒が入って、プロの意地と責任感で行動する。その変化が細かく書かれていて、GLOW読者には特に2作目を読んでいただきたい。

新川:あぁ、よかったです~! 本気で働く女性の小説って、意外と少ないんです。お仕事小説というと、がんばって働いて、イケメンの上司もいて、みたいな感じでふわふわしてるんですよね。でも、実際の仕事ってもっとヒリヒリ感がある。ガチンコで働く女ってそんなんじゃないよねっていうのが、自分の弁護士時代の実感としてあるので、そこはもっとリアルに描きたかったんです。

湯山:それ、成功してますよ。ちなみに1作目の麗子は、ケンカができて、敵をつくることを恐れない女。これ実は小池百合子なんですよ。日本の働く女の多くはこれができないの。だから日本の女は出世しない。自分のことを引きずり下ろそうとするヤツがまわりにいて当たり前というのがトップの争いだから。

新川:トップを目指すとそうなるというのはわかります。プロは本来、男・女は関係ないはず。だから楽しい

湯山:そのとおり。

新川:女もプロであれという圧はある。ありつつも、女を理由に圧から逃げることもできる。でも、逃げないでほしいという気持ちがあるんです。それを小説の中で描きたかった。

湯山:じゃあ趣味でもいいじゃないかと思うんだけど、趣味じゃダメなんだよね。そこにお金が介在するからこその葛藤やシビアさは確実に人間を鍛えてくれる

新川:趣味はいろいろあるけど、やっぱり仕事がいちばんおもしろいと思うんです。シビアなところも含めて。

湯山玲子と新川帆立が女性の社会進出をメインにスペシャルトーク!「女を理由に逃げないでほしい」

「仕事とは“プロである”ということ。そして、プロとは“結果を出す”ってこと」
(湯山玲子)

湯山玲子と新川帆立が女性の社会進出をメインにスペシャルトーク!「女を理由に逃げないでほしい」

「女を理由に圧から逃げることもできる。でも、逃げないでほしいというのを描きたかった」
(新川帆立)

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弁護士→作家へ! 新川帆立の転機は“血尿&めまい”「このまま死んだら一生後悔する」

PROFILE

著述家
湯山玲子(ゆやま・れいこ)

(有)ホウ71代表。日本大学藝術学部文芸学科非常勤講師。株式会社ぴあ勤務を経て独立し、編集、執筆、広告ディレクション、商品プロデュースなど幅広く活動。著書は『女装する女』(新潮社)、『四十路越え!』(角川書店)、『ベルばら手帖 マンガの金字塔をオトナ読み!』(マガジンハウス)など多数。

作家
新川帆立(しんかわ・ほたて)

1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年、『元彼の遺言状』(宝島社)でデビュー。2021年1月より弁護士を休職し、作家業に専念。アメリカに渡り、現在はシカゴに在住。

「このミステリーがすごい!」大賞受賞作 書籍『元彼の遺言状』

書籍『元彼の遺言状』

著者:新川帆立

≪2021年 第19回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作≫

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」
奇妙な遺言状をめぐって、おカネ好きの凄腕女性弁護士が活躍!
前代未聞の遺産相続ミステリー

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」―元彼が残した奇妙な遺言に導かれ、弁護士・剣持麗子は「犯人選考会」なるものに代理人として参加することに。数百億円もの遺産を勝ち取るべく、依頼人を犯人に仕立て上げようとする麗子だが、遺言状が保管されていた金庫が何者かに盗まれるという事件が起き、さらに元彼の顧問弁護士が殺害され、事件は大きな謎に包まれることに……。

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待望の新刊 好評発売中! 書籍『倒産続きの彼女』

書籍『倒産続きの彼女』

著者:新川帆立

≪『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作&累計40万部突破、『元彼の遺言状』続編!≫

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「彼女が過去に勤務した会社はすべて、倒産しています」―とある企業からの内部告発を受け、弁護士・美馬玉子が調査に乗り出す。調査を進めるうちに関係者の死体が発見され、事態はあらぬ方向に転がり出し……。1年先輩の弁護士で『元彼の遺言状』の主人公・剣持麗子と嫌々ながらもタッグを組むことになった玉子は、真相に近づく中で、予想外の事件に巻き込まれていく。

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撮影=村松巨規
ヘア&メイク=久保りえ〈プラスナイン〉(新川さん)、冨沢ノボル〈CUBE Management Office〉(湯山さん)
取材・文=北村祐子〈ART NEXT〉
GLOW 2022年1月号

※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください

WEB編集=FASHION BOX

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