趣味の人
趣味を大切にする著名人を訪ね、その魅力を語っていただく『MonoMaster』連載の「趣味の人」。今回は、学生時代から麻雀にのめり込み、プロ雀士資格まで取得したミステリー作家の新川帆立さんにお話をうかがいました。
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ミステリー作家 新川帆立と麻雀。
雀卓に座ると、流れるような手さばきで牌をツモり、返す刀で牌を切っていく。その無駄のない所作が、経験の豊富さを物語っていた。それまでにこやかに話していた姿とは違う、プロ雀士としての顔があった。作家・新川帆立さんは、第19回『このミステリーがすごい!』大賞で大賞を受賞し作家デビュー。受賞作『元彼の遺言状』は各メディアで絶賛され、それとともに新川さんの弁護士・プロ雀士という経歴も注目された。プロ雀士資格を取得したのは、新川さんが大の麻雀好きだったからだ。
「高校で入った囲碁部で、友達にルールを教わったのが麻雀との出会いです。やってみると囲碁より麻雀のほうが自分に向いているなと思いました。囲碁はコツコツ準備すると報われる競技なんですが、逆に言うとしっかり研究をしている上級者と対局すると、どうやっても勝てない状況になりやすいんです。でも、麻雀は偶発性というか理不尽な面があって、自分より強い人にも場合によっては勝てるし、自分より弱い人に負けることもあるんです。強い人に当たっても、工夫すれば勝てたりするところが、自分に向いていると思ったんです」
大学からはどっぷりと麻雀にハマり、週5日ペースで雀荘でアルバイトをしていたという。それほどまでに麻雀が好きなのに、他人に麻雀愛が伝わらないことに歯がゆさを感じていた。
「麻雀が好きなんですって言っても、『点数計算できるの?』とか『恋人に教えてもらったの?』とか、ちょっと好きな女の子ぐらいに思われることが多くて。こっちは学生時代に週5で雀荘でバイトしてたのに(笑)。じゃあ、本気で麻雀を愛していることの表明っていうと大げさですけど、これだったら麻雀愛が伝わるかなと思って、プロ資格を取ったんです。その一方で、純粋に公式戦に出てみたいという気持ちもありました」
プロになって、望み通り麻雀への愛が伝わりやすくなったという新川さん。麻雀の腕もきっと確かなのだろう。
「いや全然。平均的でしたね。雀荘でバイトをしていたメンバーの中では真ん中ぐらいだったと思います。プロとしては弱い方だと思いますけど。勝ちたい気持ちはありますよ。私、勝てなくて悲しいと思う時はあるけど、イライラしたりはしないんですよ。麻雀はメンタルゲームなので、役満を振り込むとか、すごい重たい一撃を食らったりしても、心がぶれない・折れないのが大事なんです。運が良い時も悪い時もあるけど、自分のスタンスを崩さずに打ち続けることが、結果として平均的に勝てる道かなと思っているんです」
司法修習生時代にプロ雀士の資格を取得。その数年後、新川さんは本格的に小説の執筆を始めた。麻雀と小説に共通点があることに気づいたそう。
「小説もすごくいい作品なのに売れなかったり、これはどうかなっていう作品が売れたり、運の要素があるんです。社会状況やブームなどが売れる売れないに影響することもあるので、そういう点で、麻雀と同じで理不尽だなあと思うところがあります」
勝てそうもない相手に勝てることがある点も、小説と麻雀は似ている。
「例えば、大御所の先生と作品のクオリティで勝負したら、もちろん負けます。でも、若い人が好きな題材を入れたり女性に向けた内容にしたり、いろいろな工夫をすることで大御所の先生より売れることができるかもしれないとも思っているんです。そういう意味で、偶発性が味方することも願いつつ、どうやって自分より上級者を倒せるかを考えられるところが、麻雀と似ていると思います。もちろん自分の実力や作品の力をもっと上げていかないといけないので、今はほんのわずかだけど倒せる可能性があるかも……というぐらいです。先輩作家さんが見たら『何を偉そうに語ってるの?』って言われそうですけど(笑)」
現在、新川さんは日本推理作家協会に加入しているが、その理由が面白い。
「日本推理作家協会内に麻雀部があって、麻雀大会があるんですよ。それに参加したくて加入しました。今の状況が落ち着いたら大会を再開するらしいので、それに参加して、小説ではとても勝てない先輩方に麻雀で勝ちたいなと(笑)。それが直近の目標です」
新川さんは小説家デビューした際、二足のわらじは難しいということで協会と相談し、一旦、最高位戦日本プロ麻雀協会を退会している。ただ、今後もイベントへの出演や、何らかの形で麻雀に関わっていきたいという。
「麻雀を題材とした小説は、阿佐田哲也さんの『麻雀放浪記』以来ヒット作が少ないので、私もいつか書きたいという思いはあります。麻雀小説は厳しいと言われるんですけど、それがヒットすれば麻雀業界が盛り上がる一助になると思うんです」
強い人に勝てたり弱い人に負けたり麻雀の理不尽な一面が好きです
勝負事は験担ぎをする人が多いが、新川さんはまったくやらないそう。「プロでも、洗牌するときに、牌の回し方にこだわりを持っている人がいたり、いろんな験がありますが、私はまったくこだわりがなくて。『勝てばええやん』みたいに思ってます(笑)」
最近、印象に残った上がりを再現してもらった。「これはすごい役になるんじゃないかと思いながら進めていたんです。いざ上がって点数計算をしてみたら、対々和・發のみで、それほど高くなくて、見掛け倒しでした(笑)」
新川さんが好きな牌は赤牌。赤牌とは持っているだけで1翻が追加される牌のこと。「持っているとお得ですよね」
新川さんの打ち方について聞いてみた。「私はオーソドックスな打ち方だと思います。好きな上がりはリーチとツモですし。他人の手牌はあまり深く考えません。理論的に詰めても相手の手牌は特定できないんですよ。だったら、自分の手牌をどうしたいかに脳のリソースを使おうと思ってます」
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PROFILE/新川帆立(しんかわ・ほたて)
1991年、アメリカ合衆国テキサス州ダラス生まれ。宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。プロ雀士としての活動経験あり。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞したデビュー作『元彼の遺言状』(宝島社)は、累計48万部を突破し大ヒット中。
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撮影/関 竜太
取材・文/金山 靖
ヘア&メイク/中間愛梨(TUNE)
(MonoMaster 2021年12月号)
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WEB編集/FASHION BOX