更年期の不調をつるの剛士と政井マヤがカウンセラーの吉川千明と語る! 上手に向き合うコツは?[インタビュー]

つるの剛士「‟イクメン“という言葉が大嫌い」 女性の更年期(メノポーズ)を政井マヤ、吉川千明と鼎談

もっと話そう! メノポーズ

フェムテックという言葉が少しずつ浸透してきましたが、GLOW世代が直面するメノポーズ(=更年期)についてはまだまだ話しにくいと感じませんか? メノポーズで起きる問題は人によって生じる年齢も、症状も深刻度もまちまちなうえに仕事や子育て、親の問題も重なって複雑で根深い……。なのにひとりで思い悩んでいると自分を追い込むことに。メノポーズの話はタブーという思い込みを捨てて、明るく話したら体も心も軽くなれるはず!! 女性が抱える様ざまな困りごとを共有してみんながハッピーになるためにできることを、タレントのつるの剛士さん、フリーアナウンサーの政井マヤさん、メノポーズカウンセラーの吉川千明さんの3人に語り合っていただきました。

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更年期の不調をつるの剛士と政井マヤがカウンセラーの吉川千明と語る! 上手に向き合うコツは?[インタビュー]
右から:タレント つるの剛士さん、フリーアナウンサー 政井マヤさん、メノポーズカウンセラー 吉川千明さん

更年期の症状は人によって全然違います

つるの:更年期についてはほぼ何も知らないんです。そういう年齢になった時に女性のホルモンが減ってきて、いろいろ弊害が出てくるということくらいしか。

吉川:そうですよね。男性は知らなくてふつうだし、女性でも若い頃は知りませんから。ちょっと説明させてください。まず閉経のこと。閉経は完全に生理がなくなって1年経った時、最後にきた生理(月経)を閉経とみなします。で、閉経の前5年と後5年を足した10年を更年期としています。更年期がない女性はいません。閉経する平均年齢は51才です。

つるの:なるほど。

吉川:更年期には様ざまな不調が出ますが、細かいものまで入れると200〜300もあるといわれています。症状をほとんど感じない人もいれば仕事ができなくなるほど辛い人もいるし、期間もまちまち。30才で閉経する人も、60才で閉経する人もいます。それ以前に女性ホルモンは40代に入ると急激に減り、60才頃にはほぼゼロに近づきます。女性ホルモンは急な坂道を転げ落ちるように急激に減っていくので、女性ホルモンが支えていた体──頭のてっぺんからつま先まで全身!!──に影響が出てきます。自律神経や免疫、心の動きにも影響は及びます。

政井:わかります。私は30代の後半から不調続きでした。疲れやすい、睡眠が浅くなる。めまいも。ずっと二日酔いの中にいるような感じで気分がしゃんとしなくて。どこかがすごく痛いとかはっきりしたものがあるわけではないんだけど、地味な不調がずーっとあって。ほんと、おばあちゃんになったような気分になっちゃって。体を動かすのも億劫だし。ちょっと動くとすぐに息が上がったりして。私はホットフラッシュが出なかったので、更年期だと気づくまでに時間がかかったんですけど。家族に「怠けてる」と思われているんじゃないかと不安に感じたり。

吉川:そう思っちゃうのね。だけど怠けてるわけじゃなくて今までにない辛さなんですよ。婦人科には行きました?

自覚できる不調の他にも体の老化は進んでいます

政井:はい。医師に疲れていることを一生懸命に訴えたら「女性ホルモン値を測ってみましょう」となって血液検査を。結果が出たら「まあ、おばあちゃんみたいなホルモン値」とケラケラ笑われて。その時38才だったのでびっくりしましたけど、私はそれで自分の不調の理由がわかったのでようやくほっとしました。それまで内科などで診てもらってもどこも悪くない。それが血液検査という数字で客観的にわかったのがうれしくて。

吉川:数値が下がっていてよかったというか。言い方が変ですけど症状がひどくてホルモン値を測っても、下がってないと帰されることもよくあるので。

政井:そういうこともあるんですね。

吉川:38才は少し若いですけど、心身ともにハードに働いて体にも、卵巣にも負担だったのかもしれませんね。

政井:その頃は仕事と育児で睡眠不足の日々でした。

吉川:少し早めの時期から更年期症状が出ることがあるので、私はプレ更年期からケアをしよう!といつも言っています。

政井「更年期」という言葉を自分で受け止めるまでが大変だったりするので、プレ更年期という言葉がもっと浸透すると受け止められる人が増えると思います。

吉川:更年期ってめまいや汗だけじゃなくて、水面下で老化が進んでいるんですよ。骨の老化から骨粗鬆症へ進むし。50才前後で骨折する人、本当に多いですよ。

政井:いいことがない……。

吉川:でもね、更年期をちゃんと受け止めてケアをすれば、あとがいいの。寝たきりにならないためにもね。

政井:へえー!

女性のメンタルが不安定になるのはホルモンのせい!!

つるの:更年期ではないんですけど、僕の奥さんが妊娠した時にとても辛そうだったんですよ。「大丈夫?」って僕が家事とかやるんだけどよくならないし。どうしたらいいかわからなくて、僕の母親に相談したんです。男性の僕じゃわからないからちょっと話してくれって。そしたら母親も「わからない」と。で、考えて行き着いた結論が、奥さんが悪いわけでも僕が悪いわけでもない、すべてホルモンのせいだ!って。

政井:男性でその発想、すごい!

吉川:これ正解、大正解!

つるの:そうした方が僕もラクだったんです。奥さんにもこれはホルモンのせいだよ。子どもを産んでくれるために体が一生懸命がんばってるんだよ。ホルモンのせいにしておこうって。

吉川:ホルモンのせいというのは当たり前の事実ですけど、日本人が誰も知らないことが問題だと思うんですよ。マタニティブルーって更年期と一緒なんです。妊娠出産の時はいつもの百倍近くホルモンが出て出産に備えるんだけど、終わった瞬間にほぼゼロになるんですね。産後は髪が抜けたり、指が痛くなったりするじゃないですか。更年期に似てませんか? 妊娠中にホルモンのせいだと知っていたら更年期のことも理解しやすいですよね。女性ホルモンって赤ちゃんの命を育てる力がある、ものすごいパワーのあるホルモンだから、なくなると想像をはるかに超えて辛いんです。

つるの:僕も必死だったんです、奥さんが本当に大変そうだったから。

吉川:本当はふつうのことですよね、一緒に子どもを育てるんだから。世間ではイクメンが褒められたりしますけど……。

つるの:僕、“イクメン”という言葉が大嫌いなんですよ。親が育児をするって当たり前のことじゃないですか。一応、流行語大賞の時に代表して授賞式に出席しているんですけど……(苦笑)。

政井:我が家は育児も家事もその時にできる方がやるんですが、私の不調がひどくて彼の負担が増えてしまい、そのことで自分を責めてしまっていました。今思うと感謝しつつも明るく乗り越えられればよかったなと反省。

更年期の不調をつるの剛士と政井マヤがカウンセラーの吉川千明と語る! 上手に向き合うコツは?[インタビュー]
「『辛い』『助けて』と言えない人が多いです。ひと言伝えるだけでラクになれますよ」(吉川さん)

吉川:みんなできない自分を責めちゃうんですよ。がんばりすぎるのはよくない。苦しい時は「助けて」と伝えないと。更年期ならいずれよくなりますから。

更年期は、第二の人生の土台を作る期間

つるの:更年期はよくなりますか? 女性にどう声をかけたらいいですか?

吉川:更年期の入り口は更年期に慣れていないけれど、そのうち自分の取り扱い方がわかってきます。そういう意味ではよくなる。ホルモンが減ってきてパニックを起こしていた脳もあきらめて、「ホルモンを出して!」と卵巣に催促しなくなるんです。「慣れる」とか「抜け出した」という感じ。

つるの:なるほど。じゃあ、女性は50才頃に閉経して、その前から更年期障害というのがあって、その後も更年期障害が続く期間があることを男性は知らなきゃいけないということですね?

吉川:そう!

つるの:そして認めるということですね。年齢を重ねるといろんな視点を持てたり、今までとは全然違う喜びがあったりとかありますよね。だから夫婦で一緒にいても昔とは全然違う。お茶を飲んでるだけで幸せだったり。以前とは違う幸せ感が味わえる。女性の更年期にあたる期間って第二の人生の土台作りなんですよね。

政井:そうなんですね。結婚や出産にかかわらず、更年期はみんなが経験する変化ですものね。不調や症状はそれぞれだと思いますが……。向き合いながら、その後のライフスタイルを考えるいい機会にできるということですね。

男性は女性ホルモンのことをもっと知るべき!

政井:私が辛かった時、更年期のことを勉強して夫に伝えたり、自分でできることを探していました。そのなかで試したプラセンタの注射がすごく合って。1ヶ月くらい経って先生に「どうですか?」って聞かれた時、診察室に一緒にいた娘が私より先に「すごい効いてます!」って。

吉川・つるの:わっはっは!(笑)

政井:ママのイライラが全然違うって。

つるの:すごいな。感づいてたんですね。

政井:これは不可抗力じゃなくて、対処方法があると知って救いになりました。

つるの:素晴らしいですね。

政井:体ってよくできているはずなのになんでこんな無慈悲で厳しい状況になるんだろうと思ってましたけど、今はピルをもう一回試そうかなと。そうやって自分を盛り上げていく方法を探していこうと思います。

つるの:政井さんの経験談は、悩まれている方にとってはありがたいですよね。

政井:まわりにこれがいいよって言えるし、他の方の辛さがわかるのもプラスかなと思います。

つるの:男性もなんでこういうことが起きているかがわかった方がラクなんですよね。わからないと困っちゃう。

吉川:つるのさんの奥さんはご自分のメンテナンスが上手なんだと思います。忙しいなかでちゃんと休んでいるのでは?

更年期の不調をつるの剛士と政井マヤがカウンセラーの吉川千明と語る! 上手に向き合うコツは?[インタビュー]
「奥さんとのコミュニケーションを大事にしてますよね」(政井さん)
「僕にとってはごくふつうのことなんだけどなあ」(つるのさん)

つるの:そうかもしれません。あとはふつうにコミュニケーションしていれば奥さんの変化もわかるじゃないですか。今日はちょっとイライラしてるかもとか、最近疲れているかもしれないなとか。コミュニケーションってすごく大事ですね。

政井:ほんと、よく見ていらっしゃる。吉川さんがおっしゃった、ここから先が長いという話で私も目が覚めました! 自分が子どもの頃に思い描いていた大人の自分って、せいぜい子どもを育てるくらいまでしか人生を描いていなくて。今はそこから先というのを考えていくいい機会なんだなって。

吉川:あとね、更年期に夫が浮気するって多いんですよ。みんな話さないだけ。奥さんはカリカリしてるし体調が悪いっていつも言ってるし。膣の乾燥や性行為だってお薬もあるし、いろんなものを使えば乗り越えていけるのに……。

つるの:男性の代表としていいですか? 今ってコンプライアンス的に言動に気をつけなくちゃいけなくて。女性が大変な時期ってわかって気を使ってあげたくても、言いづらいなというのもあります。

吉川:たとえば「本で読んだよ。大変な時期だよね」と伝えるとか? 夫婦やパートナーならちゃんと話せばいいのにと思うけど、女性もピリピリしているし、男性も寄り添いたいと思ってるのに「君、更年期だよね」と言葉選びを間違ってしまったり。

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「女性がいっぱい話してくれると、男性が会話に入りやすくなると思います」(つるのさん)

つるの:ええ。だから世の男性もそこにビビッてるというか。地雷を踏むかもしれない危険地帯をそろりそろりと歩いているんですよ(笑)。夫婦間ではいろんな話ができるかもしれないし、この場では話せますけど、一歩外に出たら世の中の男性にこの問題を話すのは難しいですね。

更年期の不調をつるの剛士と政井マヤがカウンセラーの吉川千明と語る! 上手に向き合うコツは?[インタビュー]
「自分から『更年期なの』と言うし、夫とは更年期の情報をシェアしています」(政井さん)

政井:私は自分から更年期と言ってます。夫もネットにある更年期の記事をシェアしてくれたりして。サポートというか理解しようとしてくれてるんだなというのは感じます。ちょっと脱線しますけど、『グレイス&フランキー』というアメリカのドラマを観ているんです。80才を過ぎた俳優のベッドシーンがあるのが衝撃で。更年期が来てここから先はどうなるの?って空虚感を抱きがちなんだけど、人生はまだこれからだ!と思えるんです。

吉川:私も観てますよ!

政井:私たちもあのドラマのように、いろいろとロックされているものを外したいですね。家の中だけじゃなくて、職場や社会全体の理解が進んで、今日のようにオープンに話せたら、安心してハッピーになる女性が増えると思います。

更年期(メノポーズ)の不調はなぜ起こる?

更年期の不調をつるの剛士と政井マヤがカウンセラーの吉川千明と語る! 上手に向き合うコツは?[インタビュー]

男性は少しずつ、女性は急激にホルモンが減る
女性には明確な更年期があり、女性全員が更年期を通過するのに対して、男性ホルモンはなだらかに減っていくことと、感じ方の個人差が大きいため男性更年期の期間は定義されていない。また、女性の更年期では女性ホルモンの急激な低下に連動して、脳にも大きな揺らぎがあるので、体だけでなくメンタルも乱れやすい。この男女の性ホルモンの減少傾向の違いが、女性の更年期について、男性が理解しにくい壁になっているのかも。

GLOW読者に聞きました!

(GLOW 2021年10月号読者アンケートより)

Q1:更年期の症状を感じていますか?

更年期の不調をつるの剛士と政井マヤがカウンセラーの吉川千明と語る! 上手に向き合うコツは?[インタビュー]

感じていない……33.1%
現在感じている……31.5%
まだ更年期にあたらない……20.8%
以前は感じていたが今はない……9.2%
感じないまま更年期が過ぎた……5.4%

Q2:更年期の症状で気になるものは?(複数回答あり)

1位:疲労感
2位:のぼせ・ほてり・発汗
3位:肩こり
4位:気分の落ち込み
5位:イライラ

2位の「のぼせ・ほてり・発汗」以外は、本人にしかわからない症状。ここが更年期の話題がオープンにならない理由なのかも。せめて女子会や家族の間だけでも辛さを共有したり、こんな症状があると伝えたいところ。

メノポーズ悩みをひとりで抱え込んでいるあなたへ:吉川千明さんのアドバイス

更年期の不調をつるの剛士と政井マヤがカウンセラーの吉川千明と語る! 上手に向き合うコツは?[インタビュー]

1:思ったこと、感じていることを伝える
2:感謝の気持ちを持つ
3:無理しない、放置しない、ケアする

人と人って思ったことを口にしないと伝わりません。そしてうれしい言葉をもらったり、助けてくれたら感謝をちゃんと伝えること。今の自分のキャパを考えて無理せず、更年期症状に向き合ってケアすることが大切です。

更年期に、出産経験や家族の有無による影響はあるのか

吉川千明さんが送った50代、更年期を上手に乗り切る過ごし方

お話ししてくれたのは……

GLOW世代男性代表
タレント つるの剛士さん

【PROFILE】
1975年生まれ。『ウルトラマンダイナ』のアスカ隊員役を熱演したのち2008年から音楽活動を開始。情報・バラエティ番組に出演するほかラジオパーソナリティや俳優として幅広く活躍。2008年ベネッセBirth Family Award、2009年ベスト・ファーザー イエローリボン賞を受賞。プライベートではこの春に短大を卒業して幼稚園教諭2種免許を取得。2004年生まれの長男を筆頭に、2016年生まれの次男まで2男3女の父。

GLOW世代女性代表
フリーアナウンサー 政井マヤさん

【PROFILE】
1976年生まれ。2000年フジテレビ入社。『スーパーニュース』『笑っていいとも!』など報道やバラエティ番組を担当。2007年に第一子出産のため産休に入り、退社。その後2児を出産、現在は3児の母。フリーランスとなってからはラジオパーソナリティ、コメンテーター、司会、モデレーターとして活躍。コロナ禍を機に湘南へ移住。夫は俳優の前川泰之さん。

スーパーバイザー
メノポーズカウンセラー 吉川千明さん

【PROFILE】
1959年生まれ。美容家、オーガニックスペシャリスト。web「大人の美容」主宰。コスメ、食、女性医療、漢方、植物療法、ファッション、インテリア、旅とヘルシーな女性のライフスタイルを提案。都内に自然療法を取り入れたスパとショップを展開。2000年に産婦人科医の対馬ルリ子さんと出会ったことをきっかけに女性の健康啓発に関わるように。2020年に上梓した『「閉経」のホントがわかる本』(集英社)がベストセラーに。

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撮影=野呂知功〈TRIVAL〉
ヘア&メイク=遠藤芹菜(吉川さん)、渡辺みゆき(政井さん)
イラスト=二階堂ちはる
取材・文=黒川ともこ
GLOW 2022年6月号

※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください

WEB編集=FASHION BOX

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