人生って「30歳」からが長い【ここからは、オトナのはなし】

出典: FASHION BOX

女性の心の代弁者、人気作家LiLyの連載「ここからは、オトナのはなし」。赤裸々に語られる等身大の女性の結婚、恋愛、仕事、夫婦、セックス……。キラキラしたものとは違ったリアルなオトナの女性の姿がここに。

☆前回の記事はコチラ→「失恋ハイからのダウン。ボロボロになった私を支えたもの【ここからは、オトナのはなし】」

Cと通話中のiPhoneを耳と肩に挟み、「疲れた」の一言が書かれただけで止まっている目の前の原稿に文字を打ちこむ。

「会社に行ける自分死守! 育児ができる自分死守!」

そして、まるでスローガンのように声に出して読みあげる。
「アハハ。そうそう。だからさ、どんなに疲れても、病みそうになっても、一定ラインを死守しようという本能が働く。ようは、生活かかってるんだよ。今は、心が疲れてはいるけど病んではいない」

あ、と思う。私たちはいつからか“病む”という単語を簡単に使うことがなくなった。
ちょっと恋に空回ったくらいで“病んでる”という言葉を多用してカフェで泣いていた20代の頃と今とでは、“病み”という言葉ひとつの重みが違う。

たぶん、怖いのだ。

1時間前の私が「疲れた」という単語をエッセイの冒頭に置くことが怖かったのも、根っこは同じ。言葉にすることによって、本当にそこからネガティブな方向へと人生が(文章が)傾いてしまいそうで、怖いのだ。

だって、心がポキッと折れちゃって、もうベッドから起き上がれなくなっちゃう自分なんて簡単に想像できてしまうから。
「病んだ」なんて、気軽には言えない。「鬱」という病名は日常の中でよく聞くし、その一歩手前だとしても、そしてたとえそれがワイワイと楽しい飲みの場であっても、精神科で処方された薬をサッと水で喉に流し込む友人たちの横顔なら、もう何度も見てきている。

心の疲れが導きかねない心の病は、誰にとっても他人事じゃない。
「なんか、さ。ちょっとしたことで“病んだ、病んだ”って言い合っていた20代の頃はさ、今よりも悩みひとつひとつの重さは軽かったように思うけど、当時は当時で焦りの呪いが辛かったよね」と、私はここで過去を振り返る。

人生って“30歳”から先こそがずっと長い!

誰に言われたわけでもないのに「30歳」をひとつの大きな締め切りに設定し、焦りの冷や汗をかいていた。仕事も結婚も子どもも、欲しいものすべてを手に入れるためには「30歳」までにこの人生をなんとか軌道に乗せなくてはならない、と。

「確かに、いちいち“病む”って言いまくってた」と、Cは懐かしそうに笑って続ける。
「若いのは今だけ!20代のうちにやらなければいけないことだらけだ!時間がない!掴み損ねたら自分だけ置き去られる!って思い込みすぎて焦り倒してたね(笑)」
「うん。あれはもう、一種の呪い。あ、でもそう考えると“病んでる”っていうヘビーな単語のライトな多用も、そういう意味では間違ってはなかったのかも。だって今振り返って思うと、何をあんなに焦っていたんだろう?人生って“30歳”から先こそが、あなたが想像しているよりずっと長い!だからそんな冷や汗かかなくっても大丈夫!って思うもの」

LiLy/作家

出典: FASHION BOX

81年神奈川県出身。蠍座。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。著作多数。この連載からの最新刊『目もと隠して、オトナのはなし』が好評発売中!プライベートでは2児の母。

(otona MUSE編集部)
text:LiLy
illust:ekore
edit:SATOKO ISHIKAWA[vivace], FASHION BOX
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