生理前のイライラ、食べ過ぎ……PMS対策も食事から!

なんだかイライラしたり、つい食べ過ぎてしまったり、生理前に訪れる体の不調。そんなPMSに効果的な食事テクを教えます! 前回に引き続き石原新菜先生に話を伺ったので、PMSで悩んでいる方は参考にしてみてください。

 

教えてくれたのは…

石原新菜先生

医師・イシハラクリニック副院長。2000年4月帝京大学医学部入学。2006年3月に大学卒業後、同大学病院で2年間研修医として経験を積む。現在は、父・石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法によって、さまざまな病気の治療にあたっている。クリニックでの診察のほか、親しみやすい人柄で、テレビなど多くのメディアでも活躍中。

 

●生理前のドカ食い対策に選びたい食品

・ナッツ類や昆布など食べごたえのあるもの

・チーズなどの、タンパク質を手軽に摂れるもの

「生理前は暴飲暴食をしがちなので、噛みごたえのあるものを食べるといいと思います。よく噛むことで脳の満腹中枢が刺激されて、空腹感が落ち着きます。血糖値が急上昇する食べ方をすると、インスリンが一気に出て細胞内に血糖が入りやすくなってしまいます。血糖値を急激に上げない食べ方がいいので、噛みごたえがいい食品を選びましょう。そういう意味でナッツ類はいいですね。パンやお菓子など糖質を多く含むものではなく、タンパク質を簡単に摂れるチーズなどもおすすめです」

 

●イライラ対策に選びたい食品

・ナッツ類

・高カカオチョコレート

「ドカ食い対策と同じく、意識するのは血糖値を急激に上げないこと。お菓子や甘い飲みもの、パンやおにぎりは、血糖値を上げやすく、その結果体が血糖値を下げようとインスリンが一気に出ます。そうなると今度は食べる前の血糖値よりも下がってしまい、低血糖の状態になってしまいます。甘いものを食べて満足感や幸福感に包まれても、その後にインスリンが出て一気に血糖値が下がり、低血糖に。低血糖によってイライラしたりだるくなったりして、さっき食べたばかりなのにまた甘いものが欲しくなるといった悪循環が発生します。脳が糖質依存のようになってしまうので、生理前のイライラしやすい時期に、さらにこの血糖値の乱降下があるとイライラを増幅させてしまいます。血糖値の上がり下がりを安定させてあげるのがいいので、ナッツ類やカカオの多いチョコレート、少量でも脳が満足する食品を選びましょう」

 

●便秘対策に選びたい食品

・オートミール

・きのこ類

・海藻類

「去年ごろから流行っているオートミールは、血糖値が上がりにくく、しかも食物繊維が多いんです。アミノ酸スコアが100(※)で、すごくバランスのよい食品。腹持ちもいいから、ドカ食いを抑えられます。オートミールをうまくアレンジして、自家製グラノーラにしてもいいと思います。食べ方としては、1日1〜2食をオートミールに替えるくらいがいいでしょう。3食すべてオートミールにしてもいいですが、食物繊維の量が多いため、逆にお腹がゆるくなったり、ガスが溜まりやすくなる人もいるので、自分の体質に合わせて調整してみてください。あとは、きのこ類、海藻類は食物繊維がたっぷりなのでおすすめです。普段から積極的に食べるのもいいですし、生理前だけ便秘になるのが気になる人は、その時期に少し取り入れるくらいでもいいと思います」

※タンパク質の栄養価を示す指標のこと。100に近い数値であるほど理想的

 

◆バランスのよい食事を心がけて、健康レベルを上げていきましょう

「食事は、バランスよく摂ることをまず心がけて。自炊ではなくても、コンビニ食材でもチョイスの仕方でバランスのいい食事は実践できます。たとえばおにぎりを買うなら、そこに味噌汁をつけるとか、レンジで温めて食べられる焼き鮭、海苔などの海藻類をプラスすればOK。コンビニでコーヒーを買ったりする人もいると思いますが、体を冷やしやすいので飲み過ぎは注意。飲むときにシナモンを振って温め効果を上げるのもいいと思います。

まず健康でいることが一番のフェムケア。健康レベルを上げれば、生理痛や更年期の症状の幅も狭まると思います。20〜30代の女性に伝えたいのは、今の習慣が5年後、10年後の自分の体を作るということ。若いときはそこまで健康のことを考えなかったり、現時点は大した不調ではなかったとしても、同じ生活を続けていくと、最初は生理痛くらいだった不調が、生理不順になったり、子宮筋腫や卵巣のう腫になったり、不妊になったりとすべてがつながっていく可能性があります。この生活を続けていくと、この先リスクが上がるかもしれないということを知っておいてほしいですね。私も10代後半のときは生理痛や生理不順などがありましたが、食事に気をつけたり、体を温めたりすることで改善していきました。生理痛だけでなく、女性の悩みで多い冷え性や便秘、肌荒れなどは、健康と病気の間のところにある、いわゆる“未病”。未病だと気づかないで同じ生活をしていくと、病気の方に進んでしまいます。でもその未病の段階で自分が不調に気づいて、体に気をつけていくと、健康レベルは上がっていくはず。そこに気づくかどうかが大事なのだと思います」

取材・文/弓削桃代

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