指が曲がって痛む「ヘバーデン結節・ブシャール結節」ってどんな病気？形成外科医監修

ヘバーデン結節・ブシャール結節ってどんな病気？

近ごろ指がズキズキと傷んだり、歪みはじめた気が……。
もしかしたらそれは、ヘバーデン結節・ブシャール結節という指の病気のせいかもしれません。
長野県中野市にある「たかはしクリニック」院長の高橋嗣明（たかはしつぐはる）先生によると、現在、ヘバーデン結節・ブシャール結節に罹患している人は日本全国で300万人以上いるそうです。
患者の大半が35歳以上の女性だというヘバーデン結節・ブシャール結節とは、一体どんな病気なのでしょうか？

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監修：高橋嗣明

35歳以上の女性がかかりやすいといわれる、指の関節が痛みとともに変形する病気が「ヘバーデン結節」「ブシャール結節」です。
本誌は「指の変形」「ズキズキ痛い」の進行を食い止める生活習慣と食事術を中心に紹介し、ヘバーデン結節で悩む人たちの不安を解消します！

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監修たかはしクリニック院長形成外科医・栄養療法医
高橋嗣明

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ヘバーデン結節・ブシャール結節とは
手の指の関節が痛みとともに変形する病気

ヘバーデン結節・ブシャール結節とは、ひと言でいうと、手の指の関節が変形する疾患のこと。第一関節に起こる場合はヘバーデン結節、第二関節に起こる場合はブシャール結節と呼びます。

【ヘバーデン結節・ブシャール結節を発症する場所】

指の第一関節、または第二関節がそれぞれ変形する病気。痛みを伴う場合が多く、複数の指に発症するケースがあります。

「へバーデン結節は病気を見つけた人の名前がつけられました。これらは別々の病気に見えますが、症状は同じです」（高橋嗣明先生、以下同）

人差し指だけ、薬指だけなど、1本だけのケースもありますが、複数の指に発症する場合も。

「複数の指に起こる場合、左右両方の人差し指など、同じ指に症状が出るケースが多いようです。1本の指に症状が出ると、次々とほかの指にも起こる、ということはめずらしくありません」

【ヘバーデン結節・ブシャール結節のおもな症状】

指の痛み・腫れ
多くの場合、症状は指の関節の痛みからスタート。赤く腫れて痛み、日常生活に支障をきたすケースが多いようです。

変形・こぶ（結節）
指が左右や前後に曲がるほか、関節の左右にこぶができるケースが多く見られます。一度変形が起こると、元には戻りません。

水ぶくれのようなこぶ
結節のように左右にできるのではなく、水ぶくれのような小さなこぶ（粘液嚢腫（ねんえきのうしゅ））ができるケースも見られます。

また、変形が起こる際に、ズキズキとした痛みを伴うのも特徴です。

「人によって痛みの程度は違いますし、治まるのにかかる期間も個人差があります。変形が終われば痛みもなくなるので、そのまま放置している人が大勢いるでしょう。とくにヘバーデン結節は第一関節に起こるので、変形が終わって痛みがなくなり、角度が固定されると、その状態で生活をすることに慣れてしまう人が多いようです」

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痛む期間や程度は人によってさまざま

変形が始まってから治まるまでの期間は人によってまちまちで、数カ月で治まることもあれば、何年も痛みが続く人もいます。さらに痛みの程度には個人差があり、痛みがないまま変形のみが起こるケースや、眠れないほどの痛みを訴えるケースなどがあります。

ヘバーデン結節・ブシャール結節を引き起こすと考えられる3つの原因＋α

ではいったいなぜ、指の痛みや変形が起こるのでしょう。

「関節の変形の原因は、関節の周囲にある炎症性のサイトカインと、活性酸素の増加にあります。サイトカインとは、免疫細胞のはたらきを促進したり、抑制したりする生理活性たんぱく質のこと。細胞の増殖や分化を調整することで、ウイルスなどの感染を防いだり、生体機能を調節したりしています。
けれどもサイトカインの中には、炎症を引き起こすものがあるのです。これが炎症性サイトカインで、体内の炎症を促進します」

【指が変形するメカニズム】

1.炎症性サイトカインが増えて炎症が起こる

2.軟骨が破壊され、周囲の石灰化が進む

3.さらに石灰化が進行し、骨が破壊される

4.骨が変形して関節が動かなくなり、痛みは治まる

炎症は免疫システムのひとつですが、関節の変形を引き起こす原因に。

「通常は女性ホルモン・イソフラボンの抗炎症・抗浮腫作用でも守られていますが、これが低下すると骨粗鬆症（こつそしょうしょう）が進み、大きな骨からカルシウムが奪われていきます。そして、体内の炎症が起きているところで石灰化が生じるのです。その結果、局所の過剰な炎症も加わって骨が壊れ、指が変形します」

【ヘバーデン結節・ブシャール結節を引き起こす3つの原因＋α】

ひとつだけでもヘバーデン結節やブシャール結節が起こる原因になりますが、2つ、3つと重なると、さらに発症するリスクがアップします。

毎日の食生活に結節を発症させる原因が

変形が起こるさらなる要因として、栄養障害と重金属などの化学物質があります。

「栄養障害とは、女性ホルモンの低下に加えて、カルシウムの石灰化を防ぐマグネシウムや、炎症を抑えるEPAなどの不足です。また重金属や化学物質も、非常に大きな要因だと思われます。水銀は水俣病での骨変形が有名ですが、この問題は今も続いていますし、ヒ素やカドミウムも関与しているのです」

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この記事の監修は……たかはしクリニック院長高橋嗣明（たかはしつぐはる）先生

（PROFILE）
形成外科医・栄養療法医
1963年、東京都生まれ。北里大学医学部卒業。北里大学大学院医療系研究科修了。北里大学病院に入局し、形成外科、美容外科などを歴任。2005年より長野県の北信総合病院にて医長を務め、2013年、長野県中野市にて「たかはしクリニック」を開院。専門である形成外科を中心に、整形外科、皮膚科、美容皮膚科、美容外科など幅広い見地からさまざまな診療・治療を行う。また、オーソモレキュラー療法と解毒治療にも精通しており、慢性の難治疾患の治療にもあたっている。著書に『学校に行けない子供　仕事に行けない大人』（ファインピクサー）がある。

（抜粋）

TJ MOOK『指先の変形と痛みを食い止めるヘバーデン結節の症状を和らげる本』

監修：高橋嗣明