4つの漢字で一つの言葉になる四字熟語。今回は言葉の中に数字が含まれた四字熟語の言葉の意味と使い方をご紹介します。
教えてくれたのはこの方
吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
国語講師。大学受験塾やカルチャースクール、企業研修などで教える。NHK Eテレ「テストの花道 ニューベンゼミ」に出演するなど、日本語・言葉遣いにかかわる仕事多数。著書『正しい日本語の使い方』(枻出版社)は12万部を突破。他に『品よく美しく伝わる「大和言葉」たしなみ帖』(永岡書店)、『美しい女性をつくる言葉のお作法』(かんき出版)、『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など。東京大学教養学部卒。
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四字熟語1:一網打尽(いちもうだじん)
網を放って一度に魚や鳥獣を獲ることから転じて、多くの悪人や厄介者を一時に捕らえること。秦の史論書『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』のなかにある、四面の網を張って四方から来る獲物をすべて捕らえようとした呪師の故事による。
言葉の使い方
環境に悪影響を及ぼす外来生物を一網打尽に捕獲する方法を考えましょう。
四字熟語2:一朝一夕(いっちょういっせき)
ほんの少しのわずかな時間。「一朝」はひと朝、「一夕」はひと晩の意味。中国の古典、四書五経の一つ『易経(えききょう)』にある言葉で、多くの場合、「一朝一夕には……できない」というように後ろに打ち消しの言葉が来る。
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言葉の使い方
わが社を代表するこのプロジェクトは、一朝一夕に達成されたわけではない。
四字熟語3:二束三文(にそくさんもん)
数が多いのに値段がたいそう安いこと。草履の値段が「ふた束でもわずか三文で安い」というのが語源で、「文」は江戸時代の最低通貨のこと。お値打ちという意味でなく「二束三文の値打ちしかない」と否定的に用いる。
言葉の使い方
古本屋では、すばらしい小説でも、新刊でなければ、二束三文で買い叩かれます。
四字熟語4:四面楚歌(しめんそか)
自分を取り巻く周囲に味方が一人もなく、孤立無援の状態。語源は『三国志』で有名な「楚」の武将・項羽が漢軍に包囲されて四方からその歌が聞こえてきたとき、わが楚は漢軍に屈したと悟った、という故事による。
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言葉の使い方
ギャンブルに入れ込み、職場での信頼をなくした○○は、四面楚歌の状態にある。
四字熟語5:千載一遇(せんざいいちぐう)
「載」は年のことだから「千載」は千年。千年に一度というほどの非常にまれなこと。「千載一遇のチャンス」というように用いる。類義語に、目の見えない亀が百年に一度の浮上で偶然木の穴に入ることをいう「盲亀浮木(もうきふぼく)」。
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言葉の使い方
英国のEU離脱は株価を刺激するから、でっかく儲ける千載一遇のチャンスだ。
(参考)
書籍『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』
https://tkj.jp/book/?cd=TD296221
著者:吉田裕子
編集協力/小芝俊亮、細谷健次朗、山口紗英(株式会社G.B.)
執筆協力/龍田昇
イラスト/イラスト工房
編集/FASHION BOX
(書籍『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』)
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