4つの漢字の組み合わせで新しい意味をもつ四字熟語。様々な四字熟語が存在しますが、動物の漢字が入った四字熟語をご紹介します。それぞれの動物をイメージすると、言葉の意味がわかるかも?
教えてくれたのはこの方
吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
国語講師。大学受験塾やカルチャースクール、企業研修などで教える。NHK Eテレ「テストの花道 ニューベンゼミ」に出演するなど、日本語・言葉遣いにかかわる仕事多数。著書『正しい日本語の使い方』(枻出版社)は12万部を突破。他に『品よく美しく伝わる「大和言葉」たしなみ帖』(永岡書店)、『美しい女性をつくる言葉のお作法』(かんき出版)、『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など。東京大学教養学部卒。
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四字熟語1:馬耳東風(ばじとうふう)
他人の意見や批判を聞き流して気にしないこと。「東風」は東から吹く春の暖かい風という意味で、馬は人と違い春風が耳をかすめても春が来たと感じない、という中国の李白の書が語源。類義語は「馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)」。
言葉の使い方
親が生活態度のことで注意しているのに、あの息子ったらまるで馬耳東風だ。
四字熟語2:竜頭蛇尾(りゅうとうだび)
最初は立派で勢いがあるが、最後は貧弱で振るわなくなること。中国から来た言葉で、頭は竜のように立派だが、尾は蛇の尻尾のようでなさけない、という意味。類義語は「虎頭蛇尾(ことうだび)」で、対義語は「有終完美(ゆうしゅうかんび)」。
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言葉の使い方
筆力がないため、彼の小説はいつも竜頭蛇尾な出来映えになってしまう。
四字熟語3:画竜点睛(がりょうてんせい)
物事を完成するために最後に加える仕上げのこと。語源は、壁の竜の絵に最後に目を描き入れたら竜が壁を抜け出して飛び去ったという中国の故事。肝心な部分が欠けているという意味で「画竜点睛を欠く」として使用。
言葉の使い方
このハリウッド映画は巨費を投じた大作だが、あのラストは画竜点睛を欠いている。
四字熟語4:虎視眈々(こしたんたん)
野心を遂げるために、じっとチャンスをうかがっている様子。「虎視」は虎が獲物を狙ってじっと見ているの意で、「眈々」はにらむこと。類義語に「垂涎三尺(すいぜんさんじゃく)」「野心満々(やしんまんまん)」などがある。中国の古典『易経(えききょう)』が出典。
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言葉の使い方
次期社長の椅子を、重役連中はみな虎視眈々と狙っている。
四字熟語5:獅子奮迅(ししふんじん)
獅子(ライオン)が猛進するようなすごい勢いで行動する様子。「今回の移転計画は、彼の獅子奮迅の働きで期限内に完了できた」と獅子奮迅の後に「~の働き」「~の活躍」というような活動内容を示す言葉が来る。
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言葉の使い方
若手作業員たちの獅子奮迅の活躍で、この突貫工事を完遂することができた。
(参考)
書籍『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』
https://tkj.jp/book/?cd=TD296221
著者:吉田裕子
編集協力/小芝俊亮、細谷健次朗、山口紗英(株式会社G.B.)
執筆協力/龍田昇
イラスト/イラスト工房
編集/FASHION BOX
(書籍『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』)
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