(2020年2月19日 更新)
男性も女性もきっと一度は憧れる「結婚」。結婚したいと思っていても、相手がいなくては結婚はできません。天野馨南子さんが結婚と男女間の交際にまつわる興味深い話を教えてくださいました。これこそ、日本の未婚化が進んでいる原因のひとつかもしれません……。
≪目次≫
教えてくれたのはこの方
天野馨南子(あまの・かなこ)
【Profile】
株式会社ニッセイ基礎研究所生活研究部准主任研究員。東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年、日本生命保険相互会社入社。99年から同社シンクタンクに出向。専門分野は少子化対策・少子化に関する社会の諸問題。厚生労働省育児休業法関連調査等を経て結婚・出産。1児の母。不妊治療・長期の介護も経験。学際的な研究をモットーとし、くらしに必要な「正確な知識」を広めるための執筆・講演活動の傍ら、内閣府少子化対策関連有識者委員、地方自治体・法人会等の少子化対策・結婚支援データ活用アドバイザー等を務める。
【オススメ記事】
“お前の理性は豆腐かよ!” アラサー女子がダメな恋愛を繰り返すワケ
進む日本の未婚化
日本においては急速な未婚化がとくに男性を中心に進んでいます。しかしこの未婚化を世界のレベルで見ると、必ずしもすぐに「大問題」とはなりません。なぜなら、一概に「法的な未婚化が進んでいる=パートナーがいない」というわけではないからです。
たとえばアメリカやヨーロッパは多民族国家で、一つの国家に多様な民族や宗教が存在しています。民族や宗教ごとに結婚制度が異なるため、一律の結婚制度では、一つの国の中での異民族(または異宗教)間の結婚をサポートできないケースもごく普通に出てくるのです。そのために、あえて画一的な法律上の結婚ではなく、事実婚や税制上の結婚をとるカップルも多数います。
【オススメ記事】
神様に愛される方法とは? [ここからは、オトナのはなし]
こうした多様な民族が入り混じる国の人々から見ると、未婚化の進行はあまり本質的な問題には見えません。「未婚化っていってもそんなに悩む話なのか? パートナーはいるけれど、結婚しないだけなのでは? 婚姻届けを役所に出すか出さないかの差では?」。そんな見方も可能だからです。
しかし、日本においての未婚化は、多民族国家で考えられるような単なる制度の選択問題ではない、と言わざるをえないデータが存在しています。「パートナーはいるけれど、制度上の問題で法的な結婚はしない」という人が増えた結果とは考えにくいデータがあるのです。
交際相手がいない34歳までの男性は7割
これは18~34歳の婚歴のない未婚者のうち「交際相手がいない」人の割合(非交際率)の推移を示しています。2000年あたりからその割合が増加し、2005年以降は急激に上昇していることがわかります。直近の2015年に行なわれた調査結果では、実に未婚の男性の7割、女性の6割が、そもそも「交際相手がいない」と回答しています。街中で目にとまる若い独身男女の大半が、若いにもかかわらず、特定の彼氏/彼女を持たなくなっている。これが、データが示す今の日本の姿なのです。
【オススメ記事】
4人に1人が童貞、彼女なしは74%!? もはや草食系の域を超えた平成男子の恋愛&性事情を大発表!
もちろん、それ自体が個人にとって悪いことだ、と言うつもりはありません。そもそも今の若い男女が交際や結婚をしたくないなら、それもいいのです。決して周囲が強制するようなことではありません。
若い男女の結婚願望はどれくらい?
次に、どれだけの若い男女が実際に結婚願望を抱いているのか見てみたいと思います。18~34歳の独身男女の結婚意思を尋ねた国の大規模調査結果があります。直近の2015年の結果を見てみると、男性の86%、女性の89%が「いずれ結婚するつもり」と回答しています (※注)
※注 設問「自分の一生を通じて考えた場合、あなたの結婚に対するお考えは、次のうちのどちらですか。」(1. いずれ結婚するつもり、2. 一生結婚するつもりはない)。
つまり、若い独身男女の約9割が結婚意思を持っているということになります。そして、この割合は1980年代の調査からほぼ変わっていません。
【オススメ記事】
デート代は割り勘!? 20代女子に聞いた、ケチくさ男子とのぶっちゃけエピソード
日本の若い独身男女の9割が結婚したいと思っているにもかかわらず、その男性の7割、女性の6割には交際相手がいないということになります。これは、個人のライフデザインの変化の問題として片づけられる話ではない、1980年代までにはなかった日本の新たな社会問題、といえると思います。
「いつかは結婚したい」と、若い男女の大多数が昔と変わらず希望しているにもかかわらず、それが実現しないまま50歳を迎えるケースが急増しています。
社会全体で、未婚化という問題をもっと正面から考えていく必要があるのではないかと考えます。
(抜粋)
宝島社新書『データで読み解く「生涯独身」社会』
https://tkj.jp/book/?cd=TD292537
著者:天野 馨南子
編集/FASHION BOX
(宝島社新書『データで読み解く「生涯独身」社会』)
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください