普段何気なく使っている言葉。ですが、もしかしたら勘違いして意味を覚えてしまっているかもしれません。
国語講師の吉田裕子さんによると、言葉の中には本来の意味とは違う使い方が、時を経て定着してしまっているものもあるのだとか。間違えやすい慣用表現について教えてもらいましょう。
このコンテンツの監修者は……
吉田裕子(よしだ ゆうこ)さん
【Profile】
国語講師。大学受験塾や私立女子高、カルチャースクールなどで教鞭をとる。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に出演するなど、日本語・言葉遣いにかかわる仕事に多数携わっている。著書『正しい日本語の使い方』(枻出版社)は12万部を突破。他に『品よく美しく伝わる「大和言葉」たしなみ帖』(永岡書店)、『美しい女性(ひと)をつくる言葉のお作法』『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(共にかんき出版)など著書・監修書多数。東京大学教養学部卒。
意味を間違えやすい慣用表現
1:役不足(やくぶそく)
力量に対して役目が軽過ぎること。「力不足」の意味と誤りやすい。「自分には役不足です」など、謙遜で使わないように注意。
2:斜(しゃ)に構える
本来は物事に対して十分に身構えること。「不真面目な態度でのぞむ」というのは本来誤用だったが、最近は定着しつつある。
3:王道(おうどう)
西洋由来の楽な方法、近道という用法と、中国の儒教で、武力によらない仁徳の優れた統治という用法がある。
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4:圧巻(あっかん)
全体の中でもっとも優れた部分。「段違いに優れた力」という意味の「圧倒」、「素晴らしい眺め」を指す「壮観」と間違えやすい。
5:気の置けない
気を遣ったり、遠慮したりする必要がないという意味。気配りや配慮をしなくてはならないという逆の意味で使うのは誤り。
6:逆鱗(げきりん)に触れる
中国の故事で、天子の怒りを買うことを指す。転じて、目上の人を激しく怒らせること。目下の人や、自分に対して使うのは誤り。
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7:やおら
静かにゆっくりと身を動かすさま。「おもむろに」と同義。「急に」「いきなり」という誤った意味で使われることが多い。
8:まんじりともせず
少しも眠らないこと。「まんじり」がちょっと眠ることを指し、その打消しである。「じっと動かないさま」として誤用しやすい。
9:煮詰まる
煮えて水分がなくなる。転じて、議論などが結論を出す段階を指す。最近は「行き詰まる」という意味で普及したが、本来は誤用。
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10:時を分かたず
いつも、いつでも。「昼夜を分かたず」と同義。「すぐに、速やかに」という意味の「時を置かず」と混同しないように注意。
11:首が回らない
借金や支払いが多く、やりくりがつかないこと。「時間がない」、「仕事が忙しい」などの意味で用いるのは間違い。
12:ダントツ
2位以下と大きな差をつけての首位。「断然トップ」の略であり、「―の最下位」は誤りで、「―の首位」は言葉が重複している。
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13:失笑(しっしょう)
思わず、あるいは誤って笑い出してしまうこと。「あざ笑う、さげすみ笑う」という意味の「冷笑、嘲笑」との混同に注意。
14:弱冠(じゃっかん)
年が若いこと。中国で二十歳の男子の異称である「弱」が「冠」をかぶるのが語源で、二十歳前後の年齢に使うのが正しい。
15:姑息(こそく)
一時しのぎ、その場しのぎ。「しばらく休む」というのが語源で、本来は「卑怯」「ずるい」という意味は含まれていない。
16:忸怩(じくじ)たる思い
自分の言動を恥ずかしく思うこと。悔しい、腹立たしい、残念といった意味はないのだが、そうした誤用をされることが多い。
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(抜粋)
TJ MOOK『先人たちの知恵を学ぶ ことわざ練習帳』
監修:吉田裕子
編集協力/株式会社ジー・ビー、坂尾昌昭、小芝俊亮
執筆協力/米良 厚、平谷悦郎
WEB編集/FASHION BOX
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