日本には、温泉や発酵食品など、健康にいいとされるさまざまな文化がありますが、同じように、世界の国々にも、その土地独自の健康法があるのです。私たちの生活に身近なものから「えっ?」と驚くようなユニークなものまで、これまで、30か国を巡って各国の伝統療法や習慣を学んだ日本女性ヘルスケア協会長の鈴木まり先生が、世界の“免疫アップ健康法”を教えてくださいました。
≪目次≫
●免疫力を高める文化は、世界各地の風土に根付き息づいているもの
●「他人への思いやりを持つ」という世界共通のこころの安定剤
免疫力を高める文化は、世界各地の風土に根付き息づいているもの
これまで30か国ほどを訪れ、その国々に伝わる伝統療法や日常に取り入れられている免疫アップ健康法を学んできました。その国ごとの風土や環境に沿った健康法、土着的に発展した宗教の教えや音楽のルーツ、自生の植物を上手に使った免疫ケア法は実に面白いです。そういったものに触れるたびに、「あぁ、やっぱり私たち人間は自然の一部なんだ」と感じられてなりません。
フィンランド
美しい白樺の森が広がるフィンランドでは約2000年前に、もともとは倉庫だったスペースからサウナが開発されました。高温のサウナに入りながら、ポリフェノールやアミノ酸が豊富で、昔から皮膚病や健胃効果、リウマチ、便秘、利尿にいいと言われる白樺の葉のついた枝で体をバシバシと叩き更に発汗を促します。ライ麦などが練られた食物繊維豊富な茶色いパンと、ニシンやヨーグルトなどの発酵食品を中心とした食事は、世界一大腸がんの患者を少なくしています。そして、日照時間の少ない北欧ではマリメッコのように明るい色調と大胆なデザインが発展し鬱症状を軽減させます。
ロシア、スペイン
ロシアではインフルエンザ予防や風邪薬の代わりにきのこの一種であるチャガをお茶にしてはちみつを入れて飲みますし、スペインでは赤ワインとカモミール最強説でこの2つを嫌う人はまずいません。それに加え栄養豊富なオリーブとトマトをたくさん摂取しますし、家族や仲間を大切にする絆と、あいさつをする度のたくさんのキスやスキンシップで体とこころを潤し、今や数年後には世界一の長寿国になろうとしています。私も大好きなフラメンコは、スペイン南部が盛んで、大陸を渡ってきたジプシーたちが差別や偏見にさらされて、つらい労働をさせられ、その苦しみとストレスから地団駄を踏みながら日々の苦しさ、魂を叫んだことが始まりとされています。
オーストラリア、アフリカ、キューバ
オーストラリアではユーカリ、ニューカレドニアではニアウリが抗菌・抗ウイルス・虫よけとして使われ、スーッとする清涼感で灼熱の太陽から体温を守ります。アフリカではウチワサボテンオイルやアルガンオイルが陽焼けした肌を治癒させ、奴隷売買で南米へ渡ったアフリカ人は、足カセをさせられながら日々のストレスを解放すべくアフリカンリズムのステップを踏んでサンバを誕生させました。音楽も同じく、強いストレスの渦中にある人々がこころを癒やし保つために発展してきました。キューバでは早朝でも夜中でもどの時間でも男性が道端や海岸で腕立て伏せやスクワットなどの筋トレをしているので、キューバ男子はみなマッチョでいい体をしていて見ているだけで最高ですし、街には昼も夜も哀愁漂うキューバサルサが溢れていて、物がなく貧しくても太陽のごとく明るく皆が好き勝手に踊り幸せそうにしています。
中国、韓国
「冷えは万病の元」という漢方のルーツである中国では体を冷やすものはとにかく摂りませんし、ドリンクに氷を入れる習慣もありません。数年前まではビールもぬるく、風邪をひくとコーラを鍋で温めて飲んでいました。公園や道端で中高年の男女が太極拳をしていたり運動をしている姿は当たり前。韓国では唐辛子とよもぎ蒸しで体を温める習慣があります。
インド
カレーのスパイスで有名なインドでは、スパイスはかつて疫病の治療薬とされ、コロンブスもスパイスを求めてインドへ向かいました。インドには世界をとりこにする魅力的なスパイスがたくさんありますし、東洋医学と仏教の始まりの場所であり、世界最古の医学アーユルヴェーダやヨガの発祥の地でもあります。
ムスリムの文化では早朝5時からアザーンが街に響き渡り1日5回のお祈りはヨガの太陽礼拝のような全身を使う“体操”ですし、暑く乾燥した厳しい環境から身を守るため、狂犬病のリスクのある犬や、腐りやすくてお腹の病気にかかりやすい豚肉は「不浄のもの」とする教えがあります。アルコールも脱水症状になりやすいからNG、体に悪いたばこもダメ。嗜好品(しこうひん)は体の熱を取り除く砂糖類。インドもそうですが、手で食事をする文化とお祈りの多い文化なので手洗いの回数がとても多く、これもまた感染症予防のひとつになっていると感じます。宗教の教えは体をその環境から守るための教えなのです。
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「他人への思いやりを持つ」という世界共通のこころの安定剤
日本には温泉、そして豊富な湧水、食物繊維や栄養バランスのとれたヘルシーな食文化、海に囲まれた島国ならではの湿度が私たちの身を守ってくれています。四季のある日本では夏は体の熱を取る夏野菜を摂り、冬には塩漬けされた野菜や魚などで体を温めます。そして、精神性としては、資源の少ない国だからこその「もったいない」という教えと文化があります。
日本は長屋や集落などで生活空間をシェアしてきた歴史があります。「皆で少しずつ協力し合う」「地域で協力し合う」というのが根にある国がこの日本です。つまりは、「他人を思いやるこころ」です。
最近の研究では「親切行動により健康ホルモンや長生きホルモンなどの幸福ホルモンの分泌が促される」ということもわかってきていますので、窮屈を感じる今の世の中こそ、他人への思いやりを忘れずに、こころの健康を第一に保っていきたいものです。
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教えてくれたのは……
日本女性ヘルスケア協会長
株式会社ロサ代表取締役
鈴木まり(すずき・まり)先生
【Profile】
日本女性ヘルスケア協会長。株式会社ロサ代表取締役。ジョホレッチ(R)開発者。日本アーユルヴェーダ学会員。アーユルヴェーダマイスター(日本セラピスト&マイスター協会認定)。国際薬膳師。アーユルヴェーダサロンROSAにてセラピスト、心理カウンセラー、六本木スタジオではインストラクターとしても活動。2010年「首都圏ベストセラピスト」に掲載される。クライアントは国内だけでなく、NYやドバイなど海外からも多く、すでに1万名を超え、リピート率は80%以上。書籍、コラム執筆、雑誌監修、著名人やタレント等へのプライベート指導も行っている。著書に『48手ヨガ』(駒草出版)、『膣ヨガ』(宝島社)などがある。
(抜粋)
書籍『1日3分! さするだけで免疫力が上がるリンパマッサージ』
監修:久 優子、Atsushi、鈴木まり
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編集:飛谷朋見
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WEB編集:FASHION BOX、株式会社エクスライト
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