プロ野球界の名将“ノムさん”が息子に残した言葉「人生ってどう読むんだ」

野村克也の息子・野村克則が明かす“ノムさんの名言”「人生ってどう読むんだ」[2020年5月新刊]

プロ野球選手として、また監督として、数々の功績を残してきた野村克也さんが2020年2月に亡くなった。“ノムさん”の愛称で親しまれ、試合後の「ぼやき」では多くの名言を残した。また、指導にも熱心だった野村さんは、教え子たちの琴線に触れる言葉をそれぞれに投げかけ、「感じること」「考えること」「実践すること」を伝え続けてきたという。そんな“偉大な父親”をもつ野村克則さんに、“ノムさん”の残してくれた大切な言葉について教えてもらった。

≪目次≫
●「野村の教え」という“志の財産”
●“野村野球” を広げることが使命
●教えてくれたのは……

「野村の教え」という“志の財産”

「いろいろありますが、よく言っていたのは、人生のことについて。『人生ってどう読むんだ』って言われて、『人として生きる』とか、『人を生かす』とか、『人に生かされる』とか、いろんな意味合いがあることを教わって。やっぱり自分自身は人に生かされている、決して自己評価で生きているわけじゃないって。まわりの人に認められて、成り立っているんだよ、とよく言っていました。だからこうやってコーチをやれているのも、いろんな意味で評価してもらって、こうやって生かされてるのかなって。野球に生かされているのかなと思いますし、評価していただいてるのかなって」

プロ入り直後は、息子であることが苦しかった時期もあった。苦難で培われた人柄は温厚と評判で、2006年の引退後はヤクルト、巨人、楽天の3球団でコーチを務めている。克則もまた、教え子たちと同じように、「野村の教え」という“志の財産”によって生かされている。

“野村野球” を広げることが使命

「僕のベースになっているものは、野村監督とやってきたことなので、知らず知らずのうちに身についてるというか、身に染みてるというか、それを元手にやっています。当時は結構きついものがありましたけれど、親子で監督と選手、監督とコーチでいられたことはすごく大きな財産だったかなと思います。こうして自分が今、野球界で生きているのも、それがあったからこそ。いつまでプロ野球に携わっていけるかわからないですけど、大げさな言い方かもしれませんが、野村野球というものを、父が遺してくれた野球の財産を広げていかなきゃいけないと思うので、それが僕の使命かなとは思います」

17年末に母を亡くし、20年2月には父を亡くした。3月16日に青山葬儀所で予定された本葬儀は、世界中にまん延した新型コロナウイルスの感染拡大で延期された。プロ野球も4月現在(*)、開幕を延期したままだ。

息子は人生の難局と闘っている。朝食で毎日必ずパパイヤを食べ、目玉焼きが大好物だった父はもういない。しかし、野村が遺した「人間学」はこの先もずっと人を生かし、受け継がれていく。

*2020年4月に執筆

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教えてくれたのは……

野村克則(のむら・かつのり)さん

【Profile】
1973年7月23日生まれ。東京都出身。堀越高—明大。東京六大学リーグで2年秋に首位打者、打点王。95年ドラフト3位でヤクルトに入団。プロ11年間のうちヤクルト、阪神、楽天では選手として合計5年間、野村克也と同じ球団に所属。通算成績は222試合出場、打率1割8分5厘、4本塁打、17打点。右投げ右打ち。

(抜粋)

プロ野球界の名将“ノムさん”が息子に残した言葉「人生ってどう読むんだ」

書籍『証言 ノムさんの人間学 弱者が強者になるために教えられたこと』

著者:古田敦也、宮本慎也、山﨑武司、赤星憲広 ほか

取材・文:丸井乙生(アンサンヒーロー)
編集協力:アンサンヒーロー
参考文献:新聞(サンケイスポーツ、産経新聞、日刊スポーツ、スポーツニッポン、朝日新聞、毎日新聞)、ウェブサイト(日本プロ野球機構、東京ヤクルトスワローズ)
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
WEB編集:FASHION BOX、株式会社エクスライト

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