辛酸なめ子が植物を愛する女性を目撃! その姿はまるで恋人!? 植物の存在意義を考える

辛酸なめ子が植物を愛する女性を目撃! その姿はまるで恋人!? 植物の存在意義を考える

雑誌『steady.』で好評連載中の「辛酸なめ子の覗き見♡OL妄想劇場」。今回は辛酸なめ子さんが植物に対して感じること、そしてそんな矢先に園芸ショップで遭遇した、植物を愛しすぎた女性を見て感じたことを綴ります。

≪目次≫
●自然に癒やされたくなるこの頃。人々は公園や花屋、園芸店へ……。
●お客さんが途切れない園芸店で、ひとりの植物思いの女性が店員さんを独占
●PROFILE

自然に癒やされたくなるこの頃。人々は公園や花屋、園芸店へ……。

家にいる時間が長くなると、植物に癒やしを求める人が多くなってきます。先日も道を歩いていたら、緑色のワンピを着た若い女性が花や植物が入った大きな袋を持って歩いていて植物の妖精のようでした。公園に行くと以前よりも人が増えている印象です。外出自粛の間は近くの公園に通ってハトやスズメと戯れていたのですが、ベンチに座っていたら近所の子どもたちが野球をしていたボールが飛んできて当たり、「すみませーんアハハハ!」という笑い声が。やはり家が一番安全だと思いました。でも、時間に余裕ができたおかげで公園で自然のエネルギーを補給できて良かったです。不安なときは木や植物に触れると落ち着く効果が。以前、スピリチュアル雑誌「アネモネ」に、樹木と話せるヒーラーのエリイサさんという女性の記事が載っていました。彼女によると、木の多くは知性にあふれ、意識レベルが高いそうです。また樹々や植物の間でも情報が行き渡るようで、エリイサさんは自宅から数キロ離れたところにいる木から「朝食のときの話が面白かったわ」とか話しかけられたことも。植物にはグループとしての意識があるので、離れた場所の植物にも瞬時に情報が届くとか。疲れたときに人間を癒やしてくれるのはシェフレラという観葉植物だそうです。シェフレラの前に立つと黄金色の光で包み込んでくれるようで、ありがたいです。以前、この記事を読んだあとシェフレラを買ったら、すぐに枯れてしまったことを思い出しました。観葉植物が枯れてしまうのは、自分が邪気か何かを放っているせいか、話しかけていたのがストレスを与えていたのか……。植木鉢だけがどんどん増えていきます。

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お客さんが途切れない園芸店で、ひとりの植物思いの女性が店員さんを独占

休業要請が解けたあと、お客さんが増えている印象なのが園芸店です。都内のおしゃれな園芸ショップにたまに行くのですが、手頃な花束は気づいたら売り切れていて、高価な大きい観葉植物も近所のマダムが購入していきます。やはりストレスが多い世の中で、人々は植物を求めているようです。ある日の夕方、レジにはサボテンを購入しようとしてる男性など何人か並んでいたのですが、とくに商品を買おうとしていない若い女性が店員さんを独占していました。彼女は、自宅の観葉植物について相談しているようです。シリアスな口調で、「週に1、2枚葉っぱが落ちてるんです」と話すのが聞こえました。「ネットでもいろいろ調べたんですけど……」と、長々と話していました。女性は後ろに人が並んでいても気にせず、自分の観葉植物のことがとにかく心配なようでした。しばらく店員さんと話して、「イチかバチかで植え替えます!」と宣言。すっきりした表情で、その場から離れました。その後、植え替え用の鉢を探していた女性。おしゃれなガラスの鉢から重厚感ある大きな鉢まで、じっくり吟味していました。スマホで観葉植物の写真を出して、合わせたりしていました。数十分後にその店の前を通りかかったら、まだ探していたので、かなり観葉植物を大切にしているようです。もしかしたら過保護で水をあげすぎているのでは?と思いましたが、植物を枯らしまくっている私が何を言っても説得力ありません。週に葉が1、2枚落ちるなんて、個人的には枯れているうちに入らないような気もしますが、植物を愛する女性にとっては大事なのでしょう。

彼女の植物への思いの強さに心打たれました。もはやそれは恋愛にも近いように思えます。前述の植物と話せるヒーラーの女性は「地球のどこかに、あなたのパートナーになり得る木が存在しています」と語っていました。あの女性にとって、大切な観葉植物は人生のパートナーで、鉢を選ぶのは彼氏にプレゼントする服を選ぶようなものなのかもしれません。その、草食系ならぬ草系男子が体調が悪いとなれば心配するのは当然です。不安なときや悲しいときにいつもそばにいて癒やしてくれて、時には身代わりになってくれる大切な観葉植物。人と会うことが制限される昨今、彼女のように植物を心の支えとする女性が増えていく予感です。二酸化炭素と酸素をやりとりする関係は、特別感があってどこか官能的。植物とならどんなに密になっても安全です。

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PROFILE

辛酸なめ子が植物を愛する女性を目撃! その姿はまるで恋人!? 植物の存在意義を考える

辛酸なめ子(しんさん・なめこ)

漫画家、コラムニスト。皇室、セレブリティ、スピリチュアルなどの分野に精通。著書は『女子校育ち』(筑摩書房)、『セレブマニア』(ぶんか社)、『辛酸なめ子のつぶやきデトックス』(宝島社)など。『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)は、日本のカルチャー要素をキーワードに、漫画タッチで構成されています。ツイッターのシュールボイスもお見逃しなく。@godblessnameko

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steady. 2020年9月号
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WEB編集/FASHION BOX

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