およそ一年ぶりに『大人のおしゃれ手帖』の表紙を飾ってくれた永作博美さん。お久しぶりですの間に様変わりした世の中で、惑いながら揺れながらも前に進む知恵を教えてくれました。新しい暮らし方をしなやかに楽しむコツとは。
《目次》●料理を作る時間ができ、「糠床を復活させました」(永作博美)
●「前とは違うことに向かう姿勢になれた気がします」(永作博美)
●主演映画『朝がくる』公開に向けて、永作博美が感じていること
●Information/映画『朝がくる』
●Profile/永作博美
料理を作る時間ができ、「糠床を復活させました」(永作博美)
花柄ブラウス¥36,000/シー ニューヨーク(ブランドニュース)、トラウザー¥81,000/Toogood、ブレスレット¥15,500/semeno(ともにキコ)、シューズ/スタイリスト私物
撮影が行われたのは6月の終わり。上半期を振り返る時期ですが、話題は自ずと「STAY HOME」の話に。
家での時間ができたことで、「食べること」「料理すること」にも自ずと意識が向いたと永作さん。仕事と家庭の両立を図る上で、料理の段取りは「時短」がキーワードだったそうですが、作る時間ができたことで、「おいしさ」の段取りが気になるようになったそう。たとえば食材の切り方や下ごしらえを少し丁寧に。
「そのちょっとのことで、家庭の味のレベルが少し上がった気がします。あとは子どもと一緒に食べる料理のレパートリーが増えたかな。子どもが食べられるもの、好きなものに合わせていると、献立に限界があって。少し大人の味も試してみたら、意外と食べられることがわかりました。子どもたちも日々成長しているんだなぁと(笑)。
それから糠床(ぬかどこ)も復活させました。自分の料理に飽きてきたこともあって、糠の力を借りたくなったんです(笑)。いいミネラルと乳酸菌が摂れますし、やっぱりおいしい。食の方に興味を向けることも、心を整えるには大切かもしれないですね。自分が信じているものを自分の中に入れている安心感がありますから」
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「前とは違うことに向かう姿勢になれた気がします」(永作博美)
この半年の間に、人と集うことが制限され、当たり前にできていたことが、当たり前でなくなりました。でも、見方を変えれば、当たり前と思って見過ごしていた大切なこと、なんとなく後回しにしていた目の前のことを見つめるきっかけになったのかもしれません。
未だに状況が落ち着かないなかで、まだ振り返りはできないけれど、「確実に人は進化していると思う」と永作さんは言います。
「うちの中の小さなこと一つとっても、食卓のレベルが上がったり、家の中が整理整頓されたり。子どもたちのオンライン授業が始まって、その日々に慣れてきたり。今までは一緒に過ごす時間が少なかったからこそ、構い過ぎていたところがあったけれど、もっと放っておいてもいいこともわかりましたね。いい意味で“ファミリーディスタンス”が取れてきたというか。意識が自分に向かうきっかけにもなって、さまざまな発見もあった。前とは違うことに向かう姿勢になれた気がします」
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主演映画『朝がくる』公開に向けて、永作博美が感じていること
この秋には、6月に公開予定だった主演映画『朝がくる』もいよいよ公開になります。「特別養子縁組」がつなぐ、実の子を持てなかった夫婦と、実の子を育てられなかった14歳の少女。それぞれの立場での葛藤、絆が描かれ、私たちにさまざまな“家族の形”を問いかけてきます。
公開に向けて、撮影や取材など、ゆっくりと仕事も再開し、進み始めてきていると永作さん。
「今の状況に合わせながら、模索しながら、もとの通りにではなく先に進んでいる感じがありますね。もうすでに、新しい時代なんですよね」
もとに戻そうと力を使うのではなく、先に向かって伸びをする。そんなしなやかな姿勢が、これからの歩み方を私たちに教えてくれるような気がしました。
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Information
映画『朝がくる』
直木賞作家・辻村深月の話題作である同名小説を映画化。実の子を持てなかった夫婦(永作博美、井浦新)と、実の子を育てることができなかった14歳の少女(蒔田彩珠)をつなぐ「特別養子縁組」によって、新たに芽生える家族の絆と葛藤を描く。2020年カンヌ国際映画祭の公式選出作品。
監督・脚本・撮影:河瀨直美
原作:辻村深月『朝が来る』(文春文庫)
出演:永作博美 井浦 新 蒔田彩珠 浅田美代子ほか
2020年10月23日(金)全国ロードショー
Profile/永作博美
HIROMI NAGASAKU
1994年より女優としての活動を本格的に開始。以降、テレビドラマ、映画、舞台で活躍。映画『八日目の蟬』(2011)では、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。2020年10月23日(金)からは河瀨直美が監督・脚本・撮影を務めた主演映画『朝が来る』(原作:辻村深月/文春文庫)が全国ロードショー。
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photograph_Isao Hashinoki[nomadica]
styling_Setsuko Todoroki
hair & make-up_Yukie Shigemi
text_Masaki Takeda[mineO-sha]
(大人のおしゃれ手帖 2020年9月号)
web edit_FASHION BOX, Satoko Ishikawa[vivace]