ただいま発売中のファッション誌『オトナミューズ』8月号で表紙を飾っているのは女優・宮沢りえさん。表紙撮影の際に行われたインタビューでは、外出自粛期間中の過ごし方や、コロナ禍を経た今後の展望を明かしてくれました。
<目次>
コロナ禍で「ものに溢れかえる生き方はもうやめようと」(宮沢りえ)
世代を超越して女性が憧れるアイコニックな存在であり続ける宮沢りえさん。役者としてはもちろん、現代を生きるひとりの女性としても、その生き方に魅かれずにはいられない彼女の魅力とは?
折しも取材をしたのは全世界が未曽有の事態を経験し、ものすごいスピードで押し寄せる新しい価値観にやっと順応し始めた春の終わり。続く日々の中で感じたこと、未来へ思うことを語っていただきました。
―4月からの2カ月間、どう過ごされていましたか?
「それまではものすごく慌ただしく、舞台の準備など、仕事に打ち込んできましたが、4月からはとてもおだやかな生活をしていました。(中略)
医療などの現場で働いている方々のことを考えると、とても不謹慎なことではあるんですが、自宅で過ごす時間が増えたことによって得られたことも多かったんですよ。逆にそういうふうに考えて気持ちを変えないと、平常心ではいられなかった、ということもありますね」
―2カ月以上、ずっと家にいるなんて、何年ぶりだったんでしょう?
「思い出せないくらい久しぶり。ほとんど出かけなかったので、毎日食事を作って食べたり、読みたかった本をたくさん読んだり、育てている植物が新芽を出し始めたからベランダで過ごす時間がすごく増えたり。(中略)
あと、余計なものを買わなくなりましたね。ものに溢れかえる生き方はもうやめようと思いました。
それは、ただ断捨離するということだけでなく、本当にいいものを長く使うのがいいことだと思えたから。たとえば洋服や家具、本など。10年、20年あとに自信を持って娘に託せるものでなければもう買わない、って決めました。これまでの自戒を込めて(笑)」
役者の仕事は観る人がいて成立するもの(宮沢りえ)
―お仕事も見つめ直す時間でした?
「それはもう……。この禍の直前まで舞台の準備をしていたんです。いいお稽古を重ねて、すごく面白い作品になったと思ったものが、お客さんに披露できなかった。今までの役者としての人生の中で、感じたことのない喪失感、悔しさがあって、改めて自分の仕事は観る人がいて成立するものなんだなと思いました。本当に面白い舞台だったから、それを共有できないことが、こんなにも悔しいんだなっていうのが分かって、表現することへのリスペクト、ありがたさを感じざるを得なかったですね」
―生活様式を変えてゆくことが求められる2020年、自発的な変化は何か考えてますか?
「あちこちで話題になったインターネットを通じた演技のお仕事は、簡略化のよさはあるけれど、実のところ私は悲しいな。私の仕事はやっぱりオンラインでは伝わらないと思うんですよ。だから、そこは絶対に変えられないところ。
生活自体は、変わるべきことがありますね。この危機をきっかけに、情報やモノでは人は幸せになれないということに気付いた人が、きっと多いと思うんですよね。情報もどこをピックアップするかはその人の感性ですからね。これからはそういったセンスを問われる時代になってくるんだろうなと思います」
美しさは内面から出てくるものでしかない(宮沢りえ)
―では、宮沢さん自身は、どのように前に進もうと考えてます?
「女性として生まれてきたこの肉体と心を大切に生きていきたいな。表面的なことだけでなく、発する言葉や相手に対する思いやりとか、全部美しさにつながっていくと思うんですよね。まず綺麗な言葉を使う。知る。そのためには、本や美しい景色とか、心を通過していくものをちゃんと選別していかないと。(中略)人が放つ美しさって、最終的には内面から出てくるものでしかないと思うんですよね。
また、痛みを知るには、希望も挫折もきちんと受け止めて過ごさないと。見て見ぬふりしてると、痛みってなんだっけって分からなくなっちゃう。
そうやって厚みのある人になりたいです、私は」
Profile/宮沢りえ
(みやざわ・りえ)
1973年、東京生まれ。テレビドラマ、映画、舞台で活躍。『たそがれ清兵衛』『紙の月』『湯を沸かすほどの熱い愛』『人間失格 太宰治と3人の女たち』など、多くのヒット作に出演。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を3度受賞、それ以外にも多数の映画・演劇賞に輝く日本を代表する女優。
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photograph:HIROKO MATSUBARA
styling:TOMOKO IIJIMA
hair:ASASHI[LADIANCE&Co./ota office]
make-up:UDA[mekashi project]
interview:MASAMICHI YOSHIHIRO
special thanks:COMPARTMENT
(オトナミューズ2020年8月号)
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