試験の「ヤマカン」が当たる確率を検証! 勘も捨てたもんじゃない!?

試験の「ヤマカン」が当たる確率を“余事象の確率”で検証! 勘も捨てたもんじゃない!?

どこが試験問題に出るか、勘を頼りに山をはって勉強する「ヤマカン」。また、試験中に答えがわからず、適当にマークした回答は、どれくらいの確率で当たるのだろうか? その疑問に答えるべく、余事象の確率の考え方を用いて、ヤマカンで正解する確率を検証。 サイエンスライターであり、確率や数学に関する講演も行う、野口哲典さんにわかりやすく解説いただこう。

 

試験で「ヤマカン」はどの程度あてになる?

「ヤマカン」という言葉は、誰でも耳にしたことがあるだろう。漢字表記で「山勘」。勘を頼りに山を張ることをいう。言葉としては「ヤマカンで答える」「ヤマカンで賭ける」などの使われ方をする。このヤマカン。試験ではどの程度、あてにできるだろうか?

 

3択問題が10問ある場合で考察

たとえば、3択問題が10問あるとする。これをすべてヤマカンで解答した場合、少なくとも1問が正解する確率はどの程度か? この問題に関しては、「余事象」の確率の考え方で答えを割り出すことができる。

余事象とは確率論の用語であり、「ある事象に対して、それが起こらないという事象」のことをいう。

たとえば、サイコロを振って1の目が出たとする。1の目が出たことが「事象」であり、2・3・4・5・6の目が出ることが「余事象」となる。つまり、1の目が出ているから、他の目が出ることは起こりえないのだ。同様に奇数の目が出ていれば、偶数の目が出ることは事象に対する余事象になる。

試験の「ヤマカン」が当たる確率を検証! 勘も捨てたもんじゃない!?

1問正解する事象の余事象は全問不正解になる。この全問不正解の確率をまず出して、1から引き算すれば、少なくとも1問正解の確率を割り出すことが可能になる。

 

 「答えがわからない」ときの最終手段にも◎

1問の3択問題をすべて間違える確率は3分の2なので、10問すべて不正解の確率を計算すると約1.7%。このパーセンテージをもとに、少なくとも1問正解する確率を求めると1ー約0.017=約0.983=約98.3%となる。つまり、10問の3択問題をすべてヤマカンで解答したとしても、約98%の確率で少なくとも1問は正解できるのだ。

 

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とにかく答えを記入するのが得策!

問題数が2問から9問の場合も、同様の計算で1問の正解率を求めることができる。結果は以下の通りだ。

・2問……約56%
・3問……約70%
・4問……約80%
・5問……約87%
・6問……約91%
・7問……約94%
・8問……約96%
・9問……約97%

試験の「ヤマカン」が当たる確率を検証! 勘も捨てたもんじゃない!?

この確率を見る限り、ヤマカンもなかなか捨てたもんじゃないことがわかる。わからない選択問題に出くわしても、とにかく答えを記入するのが得策のようだ。

 

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教えてくれたのは……

野口哲典(のぐち・てつのり)さん

【Profile】
サイエンスライター。理数系分野を中心にビジネス関連から生活全般まで幅広く執筆。確率や数学に関する講演も行う。主な著書に『入門 統計学はこんなに役立つ』(宝島社新書)、『眠れなくなるほど面白い 図解 確率の話』(日本文芸社)、『判断と選択に役立つ《数》の法則』(河出書房新社)、『「成功法則」を本気で科学する』(ベスト新書)、『知ってトクする確率の知識』『数字のウソを見抜く』『マンガでわかる神経伝達物質の働き』『マンガでわかるストレス対処法』(以上SB クリエイティブ)など多数。

 

(抜粋)

試験の「ヤマカン」が当たる確率を検証! 勘も捨てたもんじゃない!?
TJ MOOK『いっきにわかる! 統計学』監修:野口哲典、松本健太郎

TJ MOOK『いっきにわかる! 統計学』
監修:野口哲典、松本健太郎

編集・執筆:川﨑敦文(スタジオ・ジップ)、鈴木 愛
執筆:青山典嗣(睦産業株式会社)、佐々木正孝、高松弘史、武内孝夫、森村宗冬

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WEB編集:FASHION BOX、株式会社エクスライト

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