プロテインと2つの腐敗産物
肌荒れと腎機能の悪化に注意!
肌荒れが原因で、皮膚から新型コロナウイルスに感染する危険性があることをご存じですか? 肌荒れの状態ではウイルスに対するバリア機能も低下しているため、新型コロナウイルスの感染標的になってしまうと神戸大学医学部客員教授の寺尾啓二先生は警鐘を鳴らします。近年流行しているプロテインも、過剰に摂取すると肌荒れの原因となるため注意が必要だそう。詳しくうかがいました。
書籍『最新科学で証明された 超効率的に筋肉をつける最高の食事術』を購入する!
宝島社公式通販サイト「宝島チャンネル」なら電話注文もOK! 詳しくはこちらをクリック
【TEL】0120-203-760
【受付時間】9:00~18:00(土日祝日を除く)
プロテインが生み出す腐敗産物 1:フェノール類で肌荒れが起こる!
プロテインは三大栄養素の一つ、タンパク質であり、ヒトの体は脂質と水を除くとほとんどがタンパク質でできていて、毎日摂取するのはQOL(生活の質、Quality of lifeの略)を高めるためにも大事なことです。しかし、プロテインは諸刃の剣で、単にプロテインを摂取するだけでは、体臭や肌荒れの問題が起こり、重篤な病を引き起こすなど逆に健康を害する要因にもなりかねません。そこで、本当に正しい知識を持って摂取する必要があります。
肌荒れの大きな原因の一つに、プロテインの過剰摂取による腸内環境の悪化があります。
タンパク質は小腸で消化酵素による分解を受けて、ペプチドやアミノ酸に変換され、体内に吸収されれば、体内の構成成分であるタンパク質の筋肉やコラーゲンの原料として利用されます。
しかしながら、分解されなかったタンパク質や、吸収されなかったペプチドやアミノ酸は大腸に到達します。大腸でこれらは悪玉菌のエサとなり、アンモニア、フェノール、p-クレゾール、インドールなどの毒性の高い腐敗物質に変換されます。
マウスとヒトに対して行った実験結果から、プロテインを過剰に摂取して、大腸内でフェノールとp-クレゾールといった腐敗物質が産生すると、腸から血液を通して肌に移行し、肌荒れを起こすことがわかりました。
プロテインの過剰摂取で起こる肌荒れは、いつまでも美しくありたいという女性には大問題なのです。
大腸内で腐敗物質が産生され血液を通して肌荒れを起こす
腸内の腐敗産物の肌への移行(イメージ図)
フェノールとp-クレゾールは体内に吸収されると表皮まで移行し、肌を正常に保つ角化という表皮細胞、角質細胞の分化を抑制して肌の新陳代謝を鈍らせ、肌質を悪化させます。
ホエイプロテインにはチロシンというアミノ酸が含まれ、このチロシンから腐敗分解して生成される代謝産物がフェノールとp-クレゾール。マウスに通常食とチロシン高含有(5%)食を21日間、摂取させた際の盲腸内容物、血清中、皮膚中のフェノールとp-クレゾールの濃度の変化を調べた結果、通常食群の4倍から8倍の高い値を示しました。
肌荒れが原因で、皮膚から新型コロナウイルス感染の危険も!
さらに、最新の研究で新型コロナウイルスは飛沫による気道感染だけではなく、なんと荒れた皮膚からも感染することがわかってきました。新型コロナウイルスの感染は、表面に突き出ているスパイクタンパク質が、細胞表面にある受容体のACE2に結合することによって起こります。実は、このACE2は皮膚の表皮細胞にもあり、肌荒れの状態ではウイルスに対するバリア機能も低下しているため、新型コロナウイルスの感染標的になってしまうのです。
プロテインが生み出す腐敗産物 2:インドールで腎機能が悪化する!
ヒトに必要な9つの必須アミノ酸の中に、トリプトファンがあります。トリプトファンはプロテインに含まれる構成成分の一つなのですが、トップアスリートの中には、睡眠時間や睡眠の質を改善することでスポーツパフォーマンスが向上することを期待して、トリプトファンのみをサプリメントとして摂取している人もいます。このトリプトファンは大腸に到達すると悪玉菌のエサとなり、インドールという腐敗産物に変換されます。これが肝臓でさらにインドキシル硫酸に変換され、腎臓に行き、腎不全を引き起こすことがわかっているのです。
α-オリゴ糖の摂取が腐敗産物の産生を抑制
α-オリゴ糖はプレバイオティクスとして腸内の善玉菌である酪酸菌や乳酸菌の増殖を促し、酢酸、プロピオン酸、酪酸といった短鎖脂肪酸や乳酸産生によって腸内を酸性にすることで悪玉菌を不活性化(活動しにくくすること)して、フェノール、p-クレゾール、インドールなどの腐敗産物の産生も抑えることが明らかとなっています。
このように、プロテインの過剰摂取は腸内の腐敗産物産生によって、肌荒れだけではなく、新型コロナウイルス感染の危険、また腎臓にも重大な悪影響を及ぼすのですが、α-オリゴ糖を一緒に摂ることで、これらの美容と健康のリスクはうまく回避できます。
荒れた肌から新型コロナウイルスが侵入する可能性も明らかに!
ウイルスや細菌の皮膚への浸入(イメージ図)
プロテイン摂取による肌荒れは、単に肌が汚くなるだけではなく、皮脂膜が異常をきたして、水分が保持できなくなると、細菌やウイルス、ダニや花粉などのアレルゲンが侵入しやすくなります。
細胞膜上の受容体タンパクACE2(アンジオテンシン変換酵素II)は、本来血圧調節に重要な働きをするものですが、なぜか新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質と大変強い親和性を持っています。ACE2が高度に発現している細胞には肺胞上皮細胞、気管支分泌細胞、小腸上皮細胞、口腔上皮細胞などが挙げられますが、皮膚の表皮細胞(ケラチノサイト)も新型コロナウイルスの感染標的になることが最近の研究で明らかとなっています。
お口の臭いはキウイを食べるとやわらぐ!? 気になる舌苔も除去する成分を専門家が解説
その体の臭いや肌荒れ、プロテインが原因かも!? 驚きの落とし穴を専門家が解説
おならのニオイで腸の健康状態がわかる! 良いおならと悪いおならの違いは?
教えてくれたのは……寺尾啓二 (てらお・けいじ)さん
【PROFILE】
1957年、岡山県生まれ。86年、京都大学大学院工学研究科博士課程修了。ドイツのワッカーケミー社勤務を経て、2002年に株式会社シクロケムを設立。環状オリゴ糖に関する数々の研究成果は、グループの販売会社である株式会社コサナのヒット商品にも活かされており、11年からは株式会社コサナの代表取締役社長も兼任。06年、東京農工大学客員教授。12年4月から神戸大学医学部客員教授、神戸女子大学健康福祉学部客員教授。19年10月からモンゴル国立大学応用科学工学部客員教授。
プロテインの摂り過ぎで腸に穴が開く!? 予防するならキウイ&◎◎◎◎◎◎[専門家が解説]
長生きのためにスポーツするならテニス一択! 脳も鍛えられるその魅力を専門家が解説
(抜粋)
書籍『最新科学で証明された 超効率的に筋肉をつける最高の食事術』
著者/寺尾 啓二
書籍『最新科学で証明された 超効率的に筋肉をつける最高の食事術』を購入する!
宝島社公式通販サイト「宝島チャンネル」なら電話注文もOK! 詳しくはこちらをクリック
【TEL】0120-203-760
【受付時間】9:00~18:00(土日祝日を除く)
イラスト/田中 斉
構成・編集/石川夏子(グレイル)、宮座美帆
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
WEB編集/FASHION BOX