プロテインの摂り過ぎで腸に穴が開く!? 予防するならキウイ&◎◎◎◎◎◎[専門家が解説]

プロテインの摂り過ぎで腸に穴が開く!? 予防するならキウイ&◎◎◎◎◎◎[専門家が解説]

運動能力を高めるための体と栄養の基礎知識/プロテイン

スポーツパフォーマンスの向上や健康、美容を目的として筋肉をつけようと、プロテインの需要は高まりつつあります。しかし、プロテインの過剰摂取は健康被害を引き起こすと神戸大学医学部客員教授の寺尾啓二先生は言います。プロテインを大量に摂りすぎるとどのような弊害があるのでしょうか。一緒に摂りたい食材についても、寺尾先生が教えてくれました。

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過剰に摂取するのは禁物! プロテインが生み出す腐敗産物

プロテインだけを過剰に摂取するのは大きな間違い!

近年、スポーツパフォーマンスの向上や、健康維持、筋肉の増強・維持を目的としてプロテインを摂取する人が増えています。また、最近のプロテインは女性でも飲みやすいようにと、さまざまなフレーバー入り製品が発売されており、誰もがプロテインを気軽に摂取できるようになりました。

確かに、タンパク質であるプロテインやコラーゲンを積極的に摂取するのは正しいことですが、食物繊維などのほかの栄養素を一緒に摂らずに、タンパク質のみを過剰に摂取するのは大きな間違いです。

ヒトの体内でつくられるタンパク分解酵素の量には限りがありますので、タンパク質を過剰に摂取すると、タンパク分解酵素が足りなくなります。

すると、プロテインやコラーゲンといった巨大分子のタンパク質は、体内に吸収できる形のアミノ酸やペプチドに分解されず、小腸からそのまま大腸に入ってしまいます。そして、分解されなかったタンパク質は大腸内で悪玉菌のエサになり、アンモニアやフェノール、p-クレゾール、インドールなどの毒性の強い腐敗産物がつくり出されます。

プロテインを摂取するときには善玉菌のエサになるような食物繊維、特に、α-オリゴ糖といった難消化性のオリゴ糖類を一緒に摂っていると、腸内で短鎖脂肪酸などの発酵産物がつくり出されます。そしてこれが腐敗産物のアンモニアを中和して消去し、さらには、フェノールやp-クレゾールといったフェノール類の産生量を抑えてくれるのです。

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タンパク質を過剰摂取すると分解酵素が不足して腸内環境が悪化

プロテインの過剰摂取による体への影響

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腐敗産物とは

悪玉菌によりプロテインからつくられる腐敗産物には、メチルメルカプタン、硫化水素、スカトールといった便の悪臭原因となる物質も含まれていますので、便臭は腸内環境の悪化、つまりは健康状態の悪化を示す指標となります。

p-クレゾールやフェノールなどの腐敗産物は腸管バリア機能を破壊し、やがて腸管はリーキーガットという穴の開いた状態となります。

リーキーガットになると、病原細菌、ウイルス、アレルゲンといった有害物質が体内へ侵入しやすくなります。そして、有害物質が侵入すると、マクロファージなどの自然免疫細胞が応答して炎症性サイトカインを分泌し、体中で炎症反応が進みます。その結果、炎症性腸疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患といったさまざまな疾患を引き起こします。また、腐敗産物は腎障害にも関与していて、激しく動くアスリートのスポーツパフォーマンスを低下させてしまうのです。

このように正しいプロテイン摂取方法を知らなければ、せっかく健康維持やスポーツパフォーマンス向上を目的としてプロテインを摂取しているのにもかかわらず、逆の効果となって現れるのです。

タンパク質を摂りすぎると

タンパク質を摂りすぎると、腸内環境の乱れのほか、内臓疲労やカロリーオーバーなどを引き起こします。

内臓疲労とは、肝臓や腎臓に負担をかけている状態です。タンパク質を摂りすぎると、肝臓は腐敗産物であるアンモニアを大量に尿素に変換して無害化しなければならず、同様に腐敗産物であるインドールは腎臓に負担をかけて腎不全を引き起こす原因物質であり、肝臓と腎臓はともに腐敗産物によって大変な悪影響を受けてしまうのです。

また、タンパク質は体の中で1グラムあたり、炭水化物と同じく4キロカロリーのエネルギーとなりますので、タンパク質を多く摂ることはカロリーの過剰摂取にもつながります。したがって、運動量と摂取量のバランスが崩れているとカロリーオーバーになり、肥満を招く原因になります。

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α-オリゴ糖(α-CD)摂取による腐敗産物の減少

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α-オリゴ糖(α-シクロデキストリン、α-CD)は水溶性食物繊維の一つで、難消化性かつ腸内細菌のエサとなる性質を持っています。上図は、ラットを無繊維食(NF)群、α-オリゴ糖群、乳果オリゴ糖群に分け、8週間飼育した結果。盲腸内容物中の腐敗産物量は、腸内環境を整えることで知名度の高い乳果オリゴ糖よりもα-オリゴ糖のほうが圧倒的に抑えていることが判明しました。プロテインを摂取する際にも、α-オリゴ糖を同時に摂取すれば、腸内における腐敗産物の発生量を低下させられるというわけです。

 

α-オリゴ糖による血中アンモニア濃度の上昇抑制

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※図の「コントロール群」とは、対照実験で有効成分を含まない薬を与えられたグループのこと。「プラセボ(偽薬)群」などともいう。

肝性脳症のラットにα-オリゴ糖を投与したところ、血中のアンモニア濃度の上昇を抑制できることが判明しました。

 

プロテインと一緒に摂取! α-オリゴ糖とキウイフルーツ

腸内環境を整えるにはキウイフルーツとα‒オリゴ糖

プロテインやコラーゲンといったタンパク質を摂りすぎてしまうと、小腸で分解されず、大腸内で悪玉菌のエサとなり、腐敗産物が生み出されてしまいます。腐敗産物をつくらないようにするためには、タンパク質を摂取するときには食物繊維、特に、大腸内で善玉菌のエサとなるプレバイオティクスの一つ、難消化性のオリゴ糖を一緒に摂取することが大切です。

そして、プロテインを摂るときにもっともおすすめなのは、プレバイオティクスであるα-オリゴ糖とともに、キウイフルーツを摂ることです。

キウイフルーツには、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、カリウムのほか、果実としては珍しいクロロフィル、タンパク分解酵素のアクチニジン、そして、水溶性食物繊維のペクチンと不溶性食物繊維であるヘミセルロースのアラビノキシランが含まれています。

キウイフルーツには、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランスよく配合されており、特に不溶性食物繊維のアラビノキシランはプレバイオティクスとしてビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌の増殖作用があり、ペクチンは酢酸、酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸に変換され、腸管内を善玉菌優位な状態にしてくれます。

キウイフルーツのペクチンとアラビノキシランと同様に、α-オリゴ糖もプレバイオティクスとして優れており、腸内において酪酸菌や乳酸菌といった善玉菌の増殖作用があり、短鎖脂肪酸に変換されて腸内環境を整える作用があります。

また、キウイフルーツに含まれるタンパク分解酵素のアクチニジンは酸素や熱に弱く、酵素活性を失いやすいのですが、α-オリゴ糖で安定化すると、その酵素活性を長期にわたって維持できることがわかり、現在では、「キウイα-オリゴパウダー」が製造されています。

プロテインを摂る機会が多い人は、腸内環境の悪化を抑えるためにもキウイフルーツ、α-オリゴ糖、そして、キウイα-オリゴパウダーを摂取するよう意識してみましょう。

キウイフルーツの秘められた能力

プロテインの摂り過ぎで腸に穴が開く!? 予防するならキウイ&◎◎◎◎◎◎[専門家が解説]
「緑とか黄色とかオレ様にはいろんなきょうだいがいるんだぜ! きょうだいそれぞれ個性(栄養素)も違うんだ」

・β-カロテン
・ビタミンC
・ビタミンE
・葉酸
・カリウム
・クロロフィル

・タンパク分解酵素 アクチニジン

・不溶性食物繊維 アラビノキシラン

・水溶性食物繊維 ペクチン

 

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教えてくれたのは……寺尾啓二 (てらお・けいじ)さん

【PROFILE】
1957年、岡山県生まれ。86年、京都大学大学院工学研究科博士課程修了。ドイツのワッカーケミー社勤務を経て、2002年に株式会社シクロケムを設立。環状オリゴ糖に関する数々の研究成果は、グループの販売会社である株式会社コサナのヒット商品にも活かされており、11年からは株式会社コサナの代表取締役社長も兼任。06年、東京農工大学客員教授。12年4月から神戸大学医学部客員教授、神戸女子大学健康福祉学部客員教授。19年10月からモンゴル国立大学応用科学工学部客員教授。


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(抜粋)

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イラスト/田中 斉
構成・編集/石川夏子(グレイル)、宮座美帆

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WEB編集/FASHION BOX

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