[南果歩]乳がん手術からの5年間を振り返る|発見された経緯や検査・治療法 etc.

[南果歩]乳がん手術からの5年間を振り返る|術後の治療法に悩み……

南果歩さん『大人のおしゃれ手帖』連載「I am Here!」

『大人のおしゃれ手帖』で連載中の南果歩さんの「I am Here!」。乳がん手術から5年が経った今、乳がんだと診断されるまでの経緯やその後の治療法、その時々の気持ちを綴ってくれました。

 

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【南果歩】「Breast Cancer 1」

2016年の乳がん手術から5年が経ちました。
2015年の年末にふと「人間ドック」という言葉が思い浮かび、元夫に検診を勧めたところ、彼の胃がんが早期発見され、そして彼の入院中に、またふと「私も人間ドック」と思い浮かび、私も人間ドックを受け、奇跡のように私の乳がんは見つかったのでした。
初めての人間ドックでしたが、多分に漏れず私も、自分は大丈夫という根拠のない自信がありました。数日後に再検査の知らせがあり、それでも何かの間違いだというほのかな望みを持っていました。しかし先生のお話を聞きながら、マンモグラフィーやエコー検査で乳がんが認められているうえで、生体針検査に進むということは、悪性の腫瘍だということを証明するためのものだと理解しました。麻酔なしで針を刺すために強烈な痛みを伴う生体針検査の後に、診断は下されました。乳がんステージ1。
私の望みはあっけなく打ち砕かれ、いつかどこかのドラマで見たような「まさか私が」という思いが頭の中を巡りました。
その時は連ドラの撮影中だったこともあり、悲嘆に暮れている時間もなかったことが幸いだったかもしれません。撮影の合間の時間を縫って、仕事関係者にはまったく知らせずに、手術に向けての諸準備と検査を進めていきました。
手術を受けさえすれば元通りになると信じていたので、手術日に向けて自分を鼓舞していたのかもしれません。
ドラマのクランクアップの2日後に入院、その翌日に手術を受けました。
手術を急いだのは舞台の稽古開始が1か月後に控えていたためで、がん発覚から怒涛の時間を過ごしました。
退院直後からのホルモン療法、舞台終了後にスタートさせた放射線治療、ハーセプチン投与、これらの術後治療で体調が著しく悪化し、血圧も上昇、ハーセプチンを投与するたびに倒れていました。
投薬によって上昇した血圧を下げるために降圧剤を処方され、それを飲むことにも抵抗がありました。
病巣を切除し、幸いリンパへの転移もなかったにもかかわらず、その後の治療で手足のしびれや倦怠感があり、一日のほとんどをベッドで過ごし起き上がれなくなって初めて、治療方法をここで見直さなければと私は立ち止まりました。
手術前は手術を無事終えることが目標だったのですが、術後の選択が私の人生を作っていくのだと気が付いたのです。
そこから自分の治療法を模索し始めました。色んな本を読み、調べ、セカンドオピニオン、主治医との相談を重ねました。
私の答えは、ホルモン剤と抗がん剤投与、すべての薬を辞め、自身の健康を生活の中から取り戻し、免疫力を高めていくということでした。
標準治療から逸脱するこの方法を、私は決して皆さんにお勧めしている訳ではありません。患者それぞれが自分の状態と向き合い、良い方法を見つけ出すことが必要なのだと考えているだけです。病巣を取り除いた私の身体に必要なのは、薬ではなく身体が喜ぶ食事や運動、普通の暮らしだと考えたからです。
それからは薄皮を剥ぐように、少しずつ体力と気力が回復していったと思います。そしてあれから5年。今年の定期検診はひとつの節目でした。
私の主治医のM子先生は、決して「寛解」と言う言葉は使いませんが、「これからも経過観察を怠らず、ますますご自身の身体を大切になさってくださいね。大丈夫。こんなに前向きな患者さんはなかなかいらっしゃいませんから」と、おっしゃってくださいました。
私がこうして社会生活に復帰できたのも、M子先生をはじめ病院関係者の皆様のおかげだと思っています。
医療の力を有り難く借りながらも、自分に必要なものとそうでないものを選別していくことも大事なのだと、乳がんを通して私は学びました。

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PROFILE/南果歩(みなみ・かほ)

兵庫県出身。短大在学中に映画『伽倻子のために』(小栗康平監督、1984年)のヒロインオーディションに応募、主役に抜擢されてデビュー。第62回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した、ブリランテ・メンドーサ監督最新作『GENSAN PUNCH~(義足のボクサー)』(日本、フィリピン合作映画/邦題は仮)、ダニエル・デンシック監督『MISS OSAKA』(デンマーク・日本・ノルウェー合作映画)がそれぞれ今年公開予定。

 

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photograph:Takashi Noguchi(San Drago)
styling:Kuniko Sakamoto
hair & make-up:Kei Kokufuda
text:kaho Minami

大人のおしゃれ手帖 2021年6月号

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web edit:FASHION BOX

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