歯周病が老化や大病を招くって本当? 歯周病とそのリスクを徹底解説|専門家 監修

歯周病は認知症や子宮内膜症のリスクを高める! 老化を止める口腔内ケアを歯科医院長が解説

健康な暮らしに欠かせない、大切な歯。日々のケアを怠ると、たちまち歯周病になってしまいます。実はこの歯周病、虫歯などの口腔内のトラブルだけでなく、色々な健康被害を生んでしまう恐れがあるのです。

今回はそんな歯周病のメカニズムとリスクについて、TJ MOOK『決定版! 老化を食い止める名医のワザ』から解説します!

TJ MOOK『決定版! 老化を食い止める名医のワザ』

監修(登場順):太田 博明、根来 秀行、長谷川 嘉哉、森永 宏喜、山口 康三、中川 雅文

世界一の超高齢大国となった日本。2025年には3人に1人が65歳以上の高齢者、4人に1人が75歳以上の後期高齢者となるとされています。その一方で、病気を発症して介護を要する期間は平均11年とされており、寿命が延びても介護を要するのはつらいものです。そこで本誌では、各ジャンルの名医に総力取材し、「筋肉」「骨」「血管・内臓」「脳」「口腔」「目」「耳」を中心に、高齢者の老化を食い止めるさまざまなワザを指南します。

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歯周病菌は血液とともに全身へ! 老化と心臓・脳・腸の大病を招く

歯周病は口の中だけの問題ではない

歯周病は口の中だけの問題ではない
歯周病の菌とその毒素が血管に侵入→ 全身のいたるところに悪影響を及ぼし、老化を早める

≪歯周病の進行≫
1.健康な状態
2.歯垢がたまる
3.歯の周辺で炎症が起こる
※歯周病の菌とその毒素が血管に侵入→全身のいたるところに悪影響を及ぼし、老化を早める
4.支える骨が溶けて歯が抜ける

歯周病の原因菌は歯と歯ぐきにこびりついた歯垢を温床にして、歯の周辺組織を破壊しながら広がっていきます。進行すると歯を支える骨をも溶かしてしまうことも。
歯周病が発生すると、歯周病の菌とその毒素が血管に侵入し、全身のいたるところで炎症を起こし、大病を引き起こすなど、老化を早めます。

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歯周病を防ぎ 口の機能を維持すれば、誤嚥性肺炎や感染症も予防できる

40〜50代で患者数が急激に増える歯周病は、全身の老化と、心臓・脳・腸の大病を引き起こす危険な病気です。

一方で、口腔内の健康状態が保たれていれば、糖尿病やがん、認知症や要介護状態を予防することができます。歯周病は、歯と歯ぐきの隙間にたまった歯垢(細菌)が原因で、歯周組織に炎症が生じる病気です。歯肉が腫れて歯ぐきから出血し、歯と歯ぐきの隙間が広がり、最終的には歯を支えている歯槽骨が溶け、歯が抜け落ちてしまいます。

そして歯周病は、単に歯を失うだけの病気ではありません。放置していると、歯周病菌やその毒素が歯肉の血管に侵入し、血流にのって全身に運ばれ、体のあちこちに慢性炎症を起こします。
さらに血管にもダメージを与え、そこから動脈硬化が引き起こされます。結果、せまくなった血管内部に血液の塊である血栓が発生し、脳なら脳卒中、心臓なら狭心症や心筋塞の発症につながります。

歯周病は、心筋梗塞などの心疾患リスクを約15%、脳梗塞など脳血管疾患のリスクを約13%高めるとされています。また、メタボリックシンドロームの人は、そうでない人よりも口腔内環境が悪いというデータもあります。

ほかにも、認知症や誤嚥性肺炎、糖尿病、関節リウマチ、慢性腸疾患、骨粗しょう症、子宮内膜症など、歯周病が原因でリスクが高まる病気は多くあります。これらが二重三重に押し寄せると体が疲弊し、老化がより進んでしまいます。「たかが口の中の病気」と油断せず、対策にしっかり取り組んでください。

歯周病は自覚症状が出にくく、「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれます。歯ぐきが大きく腫れる、歯がグラグラする、歯が痛いなどの症状が出る頃には、重症化している場合がほとんどです。

現在、国内で歯周病の患者数は400万人以上いると推定されていますが、これは継続的に治療を行っている患者数です。自覚症状がない、あっても治療を受けていない人を加えると、さらに多くの日本人が歯周病であると考えられます。とても危険な状態です。
歯周病予防のためには、口の中を清潔に保つのはもちろん、唾液を増やしたり、口まわりの筋肉をきたえたりするなど、口腔内のケアが大切です。歯周病は若いうちから静かに進行しているので、特に40代からは念入りなケアに取り組んでいきましょう。

 

歯周病でリスクが高まる病気

脳卒中・心臓病

歯周病の原因菌などの影響で、血管が厚く硬くなる「動脈硬化」が進行。
脳や心臓の血管がせまく、つまりやすくなり、脳卒中や心筋梗塞、狭心症などの心臓病のリスクが高まります。

認知症

口腔内細菌の毒素の中には、直接脳にまで届くものがあり、脳内で炎症を起こしたり、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβを沈着させたりする可能性が高まります。

誤嚥性肺炎

歯周病になると、その原因菌や毒素が唾液とともに気管に流れ込み、肺で炎症を起こす「誤嚥性肺炎」になりやすくなります。

糖尿病

歯周病の原因菌などの影響により、血糖値を調整するホルモン「インスリン」の働きが鈍くなり、高血糖状態が続きやすくなります。すでに糖尿病の人は、歯周病を併発しやすいです。

関節リウマチ

関節に炎症が起こり、関節に変形や痛みが生じる「関節リウマチ」。
歯周病を発症すると、関節での炎症が起こりやすく、悪化もしやすくなります。

 

リスクが高まるその他の病気

歯周病は口の中だけの問題ではない

・慢性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
・子宮内膜症
・骨粗しょう症
・メタボリックシンドローム

 

[歯科医が解説] 口臭、歯肉の腫れ・出血、虫歯……“口内老化”はなぜ起きる?

 

 

監修 森永歯科医院院長 森永宏喜(もりなが ひろき)先生

【Profile】
1963年、千葉県生まれ。東北大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学口腔外科に勤務、口腔がんや顎変形症手術、歯科心身症など、一般歯科の範囲を超えた治療に取り組む医療チームの一員となる。総合病院勤務を経て、1992年より現職。開業医として一般歯科臨床に取り組みながら、「高齢化が進む地域で、歯科から生活習慣病を改善していく」ことを目指し国内外で研鑽、米国アンチエイジング医学会認定医となる(歯科医師として日本初)。「栄養を科学する歯科医療」を実践し、「健康寿命」を延ばすための歯科の重要性を一般市民・医療関係者へ発信することをミッションとして活動している。著書に『歯周病はすぐに治しなさい! 口腔から老化と心臓・腸・脳の大病がはじまる!』(さくら舎)など多数。

 

(抜粋)

TJ MOOK『決定版! 老化を食い止める名医のワザ』

監修(登場順):太田 博明、根来 秀行、長谷川 嘉哉、森永 宏喜、山口 康三、中川 雅文

世界一の超高齢大国となった日本。2025年には3人に1人が65歳以上の高齢者、4人に1人が75歳以上の後期高齢者となるとされています。その一方で、病気を発症して介護を要する期間は平均11年とされており、寿命が延びても介護を要するのはつらいものです。そこで本誌では、各ジャンルの名医に総力取材し、「筋肉」「骨」「血管・内臓」「脳」「口腔」「目」「耳」を中心に、高齢者の老化を食い止めるさまざまなワザを指南します。

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歯周病は認知症や子宮内膜症のリスクを高める! 老化を止める口腔内ケアを歯科医院長が解説

 

[編集・執筆]株式会社はる制作室、真瀬 崇、坂本夏子、石野宏幸
[執筆協力]常井宏平
[イラスト]桜井葉子、仲西 太、麻柴朋貴
[写真・イラスト協力]shutterstock、photolibrary

 

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[WEB編集]FASHION BOX

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