職人技が光る現場へ こだわりの麺と出合う。
ラーメン一杯の美味しさを決める要素は数多あるが、そのなかでも麺は隠れた主役ともいえる重要なファクターだ。だからこそ各店の特徴やこだわりが麺に現れる。今回は浅草の老舗製麺所・浅草開化楼で麺へ情熱を注ぐ職人たちと彼らが作る至極の麺づくりの裏側を取材した。
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東京・浅草 浅草開化楼
名店から選ばれ続ける創業71年の老舗製麺所に潜入。
つけめんブームによって裏方に光が当たる
日本全国約800店舗に麺を卸している浅草開化楼。そこで、カリスマ製麺師と呼ばれているのが不死鳥カラスさんだ。大仁田厚氏の元マネージャー兼プロレスラーという異色の経歴を持つカラスさんは、大仁田氏の元を離れ、新たな仕事を探しているなかで製麺師という仕事に出合った。
「実家の中華料理店が浅草開化楼の麺を使っていて、馴染みがあったので、ここで働くことにしたんです」
最初は麺の配送のアルバイトから入り、後に正社員として製麺の仕事に就いたカラスさん。誰もやっていないことをやろうと思い、目をつけたのがつけめんだった。とある店で食べたつけめんの美味しさに衝撃を受けたカラスさんは「必ずつけめんブームがくる」と確信し、つけめん専用の麺を開発。そして、その麺を使用した2005年創業の六厘舎が大ブレイクしたことがきっかけでつけめんブームが到来。店に社名が書かれた木箱が積まれることで、浅草開化楼はラーメンファンの間で広く知られるようになっていった。ラーメン業界では裏方であるはずの製麺所が、ファンの共通言語として話題に上るようになったのはこの頃から。有名製麺所は他にもあるが、他の製麺所にはない浅草開化楼の特徴といえば、「人の手が入っていること」とカラスさんは言う。一般的な製麺は、原料を混ぜて生地を作り、生地に圧力をかけたり2つの生地を1つにしたりして生地を鍛え、麺の太さにカットするという工程で作られる。浅草開化楼はこの工程を、ほぼ手作業で行う。
「手作りは機械主導の製麺に比べて熟成が早く旨みに繋がる。うちは麺を丸めるのも包装するのも手作業ですが、そうやって手をかけることも見えない旨さに繋がっていると思います」。
麺は木箱で配達される。「名店には浅草開化楼の木箱が並んでいる」とラーメン通の間では有名。
工場は朝5時ごろから稼働し、休日は元日のみ。ここで全国約800店の麺が作られている。
粉を混ぜる作業から麺を練ってカットし、1玉に丸めて箱詰めするまで、狭いスペースで麺づくりの全てがここで行われている。
うず高く積み上げられた木箱。1日に約4万食分の麺が作られ約800店に配送される。
練り上がった麺を複合機でロール状にする工程を2回繰り返すことで、コシも見た目もいい麺ができる。
不死鳥カラスさんが開発したオリジナル粉「傾奇者」と「チーメン」。添加物を一切使わず、かん水と小麦粉のみで作っている。
ロール状の麺を切り分ける切り出しの工程。切る前に完成形をイメージし、打ち粉を振っている。
ロール状になった生地を切り機で麺の幅に切っていく。作る麺によって横幅と厚みを変える。
開化楼の麺は手作業で丸めるので、ストレート麺でもちぢれ麺のようになるのが特徴。
昔ながらの手づくり麺が多くのファンを魅了する。
製麺所発の麺文化が生まれたら嬉しい
現在、カラスさんは数多のラーメン店から相談を受けるだけでなく、一歩踏み込んで麺について提案もしている。
「縁があってお付き合いするのだから、店が繁盛するお手伝いをするのは当然のこと。ラーメン店と製麺所は深く付き合っていく必要があるというのが、僕の美学です。これからも、製麺所という裏方にも光が当たるように頑張っていきたいですが、決して浮かれず足元を見てやっていきたい。ラーメン店あっての製麺所なので、お店と一緒に成長していければと思っています」
浅草開化楼の麺はなぜ愛されているのか、単刀直入に聞いてみた。
「浅草開化楼の麺は、誰が食べても美味しいと思う、わかりやすさがあります。10人食べたら10人が美味しいと言う万人受けする麺であり、麺だけ食べても美味しいと言ってもらえる麺を作っているつもりです」
新しい挑戦としてパスタも手がけているというカラスさん。その計り知れないバイタリティが、ラーメン店から愛される理由かもしれない。
「下町の町工場から始まったことが日本中に広まって、新しい文化になってくれればいいなと思っています。『やっぱり浅草開化楼って面白いことをやるね』と言われたいですね」
工場に行けば一般の人でも麺が買える。ラーメン用やつけ麺用の麺に加えて浅草開化楼オリジナルスープも販売中。
工場で直売されているおすすめ麺(ラーメン用)
工場で買える麺は約11種類。その中から代表格の麺をピックアップ。(各5玉入 ¥450)
たまご麺
麺自体にしっかりした味がある細麺。あっさりしたスープと相性がいい。
多たまご麺
たまごを増量し、あえて着色することで中華そばらしさを強調した細麺。
中太手もみ麺
短めにカットされ、ラーメン、油そば、担々麺、つけめんなど幅広く合う。
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教えてくれたのは……元プロレスラー製麺師 不死鳥カラスさん
【PROFILE】
大仁田厚氏のマネージャー兼プロレスラーとして活躍。その後、実家の中華料理店が麺を使っていて馴染みがあったことから浅草開化楼に入社。オリジナルのつけ麺専用粉「傾奇者」を開発するなどカリスマ製麺師として活躍する。
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浅草開化楼
住所:東京都台東区元浅草4-8-4
TEL:03-3844-0637
営業時間:8:00~11:00 無休(元日休み)
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監修/大崎裕史(ラーメンデータバンク)
撮影/大村聡志
取材・文/金山 靖
(MonoMaster 2021年11月号)
※ご紹介している情報は2021年9月15日時点のものです
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