プロが選んだ! 今食べるべき決定版! 激うまラーメン100+α
ラーメンを知り尽くした6名がトレンド解説! 最旬ラーメン座談会
いまや日本人の国民食と言っても過言ではない「ラーメン」。ラーメンは身近な存在ながら、多様な分野・形態を正確に掴むのは難しい。だが、トレンドを知ることはラーメンをより美味しく愉しむための正攻法でもある。今回、識者のリアルな所感から、業界の現状を探るべく、オンライン座談会を実施した。
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2021年はラーメン文化のターニングポイント
麺、スープ、価格などが多彩な進化を遂げた
編集「本日はラーメン評論家の皆様にお集まりいただきましたが、今年のトレンドを教えていただけますか?」
大崎「では、私が進行役を引き継いで進めさせていただきます。やはりコロナ禍ということでコロナ前、コロナ後では随分と状況が変わりましたし、今後も変わらざるを得ないと思います」
小林「実店舗を持たずに、居酒屋などの昼の時間帯に“間借り営業”をするラーメン店も増えましたね」
寺田「バーや居酒屋もランチ営業してラーメンを出す“二毛作”という形も増えて、異業種参入が目立ちます」
レイラ「コロナ禍が関係しているのかわかりませんが、埼玉や神奈川、千葉など、東京から離れたエリアにいいお店が増えました」
山本「確かに繁盛店=繁華街、という図式が変わりましたね。通販、デリバリー、テイクアウトといった中食需要が増えているので、きちんと対応できている店は今後、強いと思います」
森本「コロナ禍の影響で、ソーシャルディスタンスを取れるフードコートの需要がグッと高まってきているように感じます。静岡県や神奈川県の『ららぽーと』の沼津・湘南平塚や、静岡県の『サンストリート浜北』とかは個人的にオススメです」
大崎「味のトレンドに関してはいかがですか? だいたい例年3つか4つでまとまるんですが、今年は混沌としているというか、多様化してますよね? 変化、進化が激しいというか……」
小林「最近、ますます自家製麺が増えてますよね? さらに、同じ自家製麺でも都内では【1】自家製極太麺が増えて来ました」
森本「自家製麺は地方で言うと元々、山形の酒田、福島の白河、栃木の佐野などが有名ですが、私は意外性のある地域の自家製麺に注目しています。栃木の那須塩原、群馬の藤岡、長野、岐阜などはかなり気になります」
山本「マニアックなところを攻めてますね(笑)。イタリアンがコロナ禍で始めた自家製麺もありましたが、パスタの応用というのに驚きました」
レイラ「自家製麺で面白いのは日本の何倍もの歴史と面積を誇る中国系。陝西省で食べられている幅広のびゃんびゃん麺が話題になりましたし、蘭州拉麺も自家製で個性的です。自家製麺の人気はまだ伸びるんじゃないかな?」
大崎「ラーメンには昔から『千円の壁』という常識?というか定説がありましたが、最近は【2】『千円の壁』を超えるラーメンが目立ってきました」
森本「確かに。ただ、いまだにワンコインで頑張っているお店もありますし、二極化・三極化してますね。千円超えは地方でも出てきていて、私の得意なエリア、愛知や三重などにもあります。先日は京都でも食べました」
山本「『飯田商店』(神奈川・湯河原)、『蔦』(東京・代々木上原)あたりは基本メニューがすでに千円超えだし、『とみ田』(千葉・松戸)もトッピングの特製が千円台です」
大崎「ご当地ラーメンも増えてきた感じがしますが、そのあたりは?」
寺田「たとえば大阪から移転してきたり、支店として進出してきたり、いろいろ話題になりましたね。滋賀の人気店が都内で勝負をかけにきた例もありました。ネットで地方の名店が活躍するケースも目立ちますね」
小林「地方から進出するだけではなく、その地方の特徴を出しながら、独自のアレンジを加えた【3】ご当地創作系も目立ってきました」
大崎「期間限定で池袋の『東京ラーメンセレクション極み麺』に広島の尾道ラーメンが出てるし、東京ラーメンストリートでも100日限定で7店舗が入れ替わる企画を打ち出しましたね」
山本「『我武者羅』(東京・幡ヶ谷)のように既存店がよりご当地色を強く出すようになったり。『六花』(神奈川・相模原)は函館ラーメンで美味しいのに、注目度が今ひとつでもったいない気がします」
レイラ「東京・新宿御苑には京都の人気店『第一旭』と広島・尾道の人気店『壱番館』がありますが、このへんもご当地創作系のトレンドの立役者なのかな」
大崎「なるほど。ところで既存の店や、“ジャンル”の進化や変化が目立ってますよね。最近はすごく【4】魚介系が進化したと思いませんか?」
森本「いままでとはちょっと違った魚介系が出てきたり、見直されたり」
寺田「一見チェーン店とはわからない“ステルスFC”の店は鶏や煮干しのスープが多かったんですが、最近は貝が目立ちますね。さらに貝に豚や牛を合わせたりと、面白いですね。昔は高くて使えなかったと思います」
小林「確かに。居酒屋の“二毛作”としてランチに貝出汁ラーメン、というのも目立ってます」
山本「これまで魚介というと煮干しだったり鰹節、鯖節が一般的だったわけですが、最近は画期的なペーストを使ったものが出てきたりして話題となっています。鮮魚もあるし、魚卸が展開したりと目が離せません」
大崎「私もあのペーストは既存のラーメン屋さんにとっては脅威だと思います。魚だけじゃなくていろんな味を創り出せるのがすごいですね」
2021年の注目ジャンルは4つ
“新出”から“細分化”まで、多くのトレンドが交錯するなかでひときわ存在感を放ったのが以下の4つ。「ラーメン新時代」の起爆剤となり得る。
【1】自家製極太麺系
消費者の“味へのこだわり”がシビアになるなかで自家製麺に注力する店が増加。最近は一般的な太麺を凌ぐ“極太麺”で独特の味わいを追求する店も多い。
【2】「千円の壁」超え
その店の定番である“基本のラーメン”が千円以上するパターンが増えている。従来の“千円超えのラーメンは浸透しづらい”という定説が昨今崩壊しつつある。
【3】ご当地創作系
地方の人気店が首都圏へ進出するケースが活性化。この流れのなかで、現地の味に程よくアレンジを加えて差別化・個性化を図る手法がトレンドに。
【4】魚介進化系
かつては魚介系といえば煮干しか鰹節ベースと相場が決まっていたが、近年は貝出汁やペーストを用いたものなど、新形態が台頭。今年はその傾向が顕著に。
2021年のラーメンはより高度に“細分化”
大崎「これまで主だった潮流を挙げてもらいましたが、他にもいろいろ動きがありそうですね」
寺田「濃厚系や鶏白湯などの新店が例年に比べて少なく、醤油、塩といった基本かつシンプルなラーメンの美味しい新店が増えた印象です」
レイラ「私がパッと思いつくところでは、クサウマ豚骨、家系、スタミナ系、進化型つけ麺など……やっぱりいろいろある(笑)」
森本「豚骨臭の強いクサウマ系で話題の【A】ニュー豚骨ラーメンは逆の趣向の淡麗豚骨、淡口豚骨も注目されていて、幅が拡がっています」
小林「魚介進化系が躍進するなかでも旧来の煮干しは相変わらず増えていますし、【B】清湯の煮干しスープとか、煮干しペーストで濃厚さを加えるとか、独自の進化もある。家系も第何次ブーム?的な感じですよね(笑)。既存ジャンルもそれなりに頑張ってる」
山本「店舗数で言えば、まだまだ鶏白湯や家系は増えていると思う。面白いところでは生姜とかタンメンも活況」
森本「いろんな新店が多すぎて、刺激に疲れた心を癒やすため最近のマイブームは原点回帰の町中華(笑)。女子目線で言うとラーメン女子もボリューム系を求めていたり。なぜかサイドメニューで焼売を出す店も増えましたね」
寺田「でも、何だかんだで一番変わったのはデリバリーの品質向上ですかね。コロナ禍で需要があることがわかったので、さらに進化すると思います」
山本「同じ背景で、冷凍ラーメンの自動販売機も全国で増えてますね。去年まではなかったのでは?」
大崎「やはりコロナ禍の影響は大きい。ところで、つけ麺については?」
小林「つけ麺御膳みたいな感じで、様々な食べ方のものが出てきました」
レイラ「麺に昆布水をかけたつけ麺は前からあったけど、昆布水以外を使った【C】進化系のつけ麺が目立ちますね」
寺田「二種類の麺を使った合い盛りも増えていくと思います」
大崎「つけ麺も活況と。先ほど森本さんが町中華にハマっているとおっしゃいましたが、その系譜とも言える【D】ネオノス系(NEOノスタルジック)とかネオ中華とか呼ばれているもののも、目立ってますね」
山本「“普通の最高峰”と言われる『大至』(東京・御茶ノ水)はもっと注目されてもいいと思います」
大崎「『えもと』(東京・中目黒)とか最近オープンした『はるちゃん』(東京・新橋)とか、私の好きな味ですね。懐かしくも新しい。ネオノスという単語は使いたくないんですが(笑)。その表現が一番近い」
小林「店名に愛称を意味する“ちゃん”を用いた“ちゃん系”も話題になりましたね。あれも一応、ネオノス」
森本「だから、“ネオ”じゃないですけど、ルーツの町中華にもっと陽を当ててほしいです!!」
レイラ「私も同感! 昭和なお店を見つけるとそれだけで嬉しくなります」
寺田「『鶏舎』(東京・池尻大橋)あたりは進化型町中華ですかね。葱冷やしを求めて裏路地の行列は夏の名物です」
レイラ「【E】スタミナインパクト系が出ていないですね?『すず鬼』(東京・三鷹)『たた味』(東京・小伝馬町)がかなり目立ってきていますよ」
大崎「いわゆる何々系というのではないのですが、たとえばヴィーガンラーメンとか、従来はメインストリームとは縁のなかったタイプの【F】ニュースタイルラーメンがフィーチャーされて、突然ブームになる可能性や期待感が高まっていると思います。……ラーメンカルチャー全般の動きについてはいかがでしょう?」
レイラ「『中村屋』(神奈川・海老名)と『AFURI』(東京・恵比寿、他)の中村兄弟が映画になったり、『びぜん亭』(東京・水道橋)のドキュメンタリーが海外で上映されたり、まだまだラーメンは世界中に伝播していきますよ!」
森本「ラーメン女子のトレンドを語らせたらあと2ページ必要です(笑)」
大崎「それもそうですね。では総括します。2021年はラーメンの進化・変化・変革元年。味や食べ方などがどんどん多様化し、いろんなラーメンが増えてきています。デリバリーや通販など業態も進化。激戦区の構造も変わりつつあり、ラーメンを愉しむ生活にバラエティ性が増してきました。まだまだラーメンは面白くなります! こんな感じですかね」
一同「その通り!」(拍手)
近年継続して人気のラーメンキーワード
ここ数年、いわゆる“ブレイク”ではないが一定の存在感を示し、シーンに一石を投じる潮流がいくつかある。こちらも、要チェックだ。
【A】ニュー豚骨ラーメン
白濁させないタイプや、豚骨特有の臭みをあえて生かした“クサウマ系”などが台頭。
【B】清湯煮干しラーメン
一般的な濁ったスープではなく、澄んだ清湯スープが人気に。煮干しペーストを用いたものも。
【C】進化系つけ麺
麺に昆布水、煮干し出汁などを加えてスープとのハーモニーを愉しめるメニューが台頭。
【D】ネオノス系ラーメン
昔ながらの醤油ラーメンを現代的解釈で再現。ブランド鶏や自家製麺など、こだわりが冴える。
【E】スタミナインパクト系
いわゆるスタミナラーメンをアップデートした進化系。唐辛子とニンニクのインパクトが肝。
【F】NewStyleラーメン
ヴィーガンラーメンなど、これまでマイナーだったスタイルを大々的に謳う店が増加中!
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座談会に参加してくれたのは……
大崎裕史さん
【PROFILE】
2005年に(株)ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」として雑誌やテレビに多数出演。著書に『無敵のラーメン論』(講談社)、『日本ラーメン秘史』(日本経済新聞出版)などがある。
小林孝充さん
【PROFILE】
『TVチャンピオンラーメン王選手権』第8回&第10回優勝。ラーメン大王決定戦優勝。ラーメンに限らず美味いもの好きで他のジャンルも積極的に食べ歩く。ラーメンWalker百麺人。食べロググルメ著名人。TV・雑誌登場多数。
山本剛志さん
【PROFILE】
2000年放送の『TVチャンピオンラーメン王選手権』で優勝。全国47都道府県の約10000軒、約15000杯を食破。アメーバトップブロガーとして「山本剛志のら~マニア共和国」を毎日更新中。ラーメンWalker百麺人。ほか、各所で活動中。
レイラさん
【PROFILE】
ベリーダンスのインストラクターとして活躍する傍ら、全国のラーメンを食べ歩く元祖ラーメンクィーン。強靱な胃袋が自慢。有名ラーメン本の審査員を15年続けている。お酒を飲めるラーメン店発掘が好き。
寺田昌之さん
【PROFILE】
本業は美容業でビューティ系テレビ番組出演も多数。食を愛し、年間外食数は約2500食。そのうち「麺テロリスト」の異名で1600~1800食がラーメン、夜はコース料理という日々。ランボルギーニで全国を食べ歩く奇才。
森本聡子さん
【PROFILE】
47都道府県を食べ歩き、年間600杯以上を食べるラーメン女子。女性向けに特化したイベント「ラーメン女子博」をプロデュースするなどメディアでも活躍中。著書に『東京ラーメンコレクション』(昭文社)がある。
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製麺所・浅草開化楼の工場に潜入! 有名ラーメン店から愛される麺の旨さの秘密は“人の手”だった!
監修/大崎裕史(ラーメンデータバンク)
取材・文/川口哲郎
(MonoMaster 2021年11月号)
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WEB編集/FASHION BOX