更年期

人生100年時代をいきいきと! 更年期と上手に付き合う方法②【薬剤師監修】

更年期症状のセルフケア方法について伺った前回に引き続き、薬剤師の西山和枝さんに「更年期と上手に付き合う方法」を教えていただきます。今回のテーマは、更年期におけるかかりつけ医の活用法。「病気じゃないのに、お医者さんに頼ってもいいの?」など、クリニックにかかる上での疑問にも、答えてもらいました。

教えてくれたのは…

西山さん

西山和枝さん

大塚製薬株式会社 ニュートラシューティカルズ事業部 「女性の健康推進プロジェクト」リーダー

日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門薬剤師、女性の健康経営(マネジメント)アドバイザーの資格を持ち、女性の健康をサポートする製品の研究開発で培ったノウハウをもとに、更年期やPMSに悩む女性に向けセミナーなどを行う。

 

更年期にも自然体でいられる心地よさを。かかりつけ医を持つことも一つの選択肢

 

更年期症状に悩んだ時は、何科にかかれば良いのでしょうか?

西山さん:更年期症状をはじめとした女性特有の課題を抱えている場合は婦人科にかかってただきたいのですが、45歳~59歳の女性を対象にした調査(※)によると婦人科のかかりつけ医がいない人が半数以上なのが現状です。

更年期

時代は変わってきたものの、今も婦人科を受診することにハードルの高さを感じる方が少なくありません。ですから、すでに内科にかかりつけ医がいる場合は、その信頼しているドクターを頼ってもOKです。例えば動悸などの症状では、更年期かと思いきや内科の病気が隠れていた、なんてこともありますから、病気の可能性を潰しておく意味でも、最初の窓口として内科を利用するのも一つの手です。

もし新たに婦人科を探したい場合は、「相談できる施設検索」が便利です。お住まいの地域で更年期症状を診てくれるところを探していただけますよ。

相談できる施設検索(大塚製薬の更年期特設サイト「更年期ラボ」内)

https://facility.ko-nenkilab.jp/

 

「この程度でお医者さんに相談するのは悪いかも」と迷う方や、「病気じゃないのにクリニックに行くの?」と、受診に抵抗のある方もいるのでは?

西山さん:受診すべきかわからないときは、更年期指数(SMI)を簡略的に測るチェックシートを利用してみてはいかがでしょうか? 質問に答えて50点以上だと受診推奨といった客観的な目安がわかるので、ツールに背中を押してもらうのも良いかもしれません。

更年期セルフチェック(大塚製薬の更年期特設サイト「更年期ラボ」内)

https://ko-nenkilab.jp/check/question.html

 

婦人科にかかった場合、どんな治療を受けられるのでしょうか?

西山さん:ホルモン補充療法(HRT)や漢方の処方が標準治療です。ほかにも女性の健やかさを保つために良いとされる大豆由来の成分「エクオール」のサプリメントやカウンセリングなど、複数のアプローチを組み合わせる場合もありますね。更年期症状は人それぞれなので、一人ひとりに合う適切な治療法を提案してもらえるでしょう。

もちろんこうした治療も大切ですが、かかりつけ医に自分の体調について話すこと、「相談相手」がいるということ自体が、心の負担を軽減し、症状改善につながることもあります。ですから婦人科をあまり特別な場所と考えずに、「自分を大切にするために、体や心を整える休息所」のようなイメージで捉えていただけたらと思います。

実際に、かかりつけ医で更年期の管理をしている人は生活への満足度が高く、「人に対して思いやりが持てている」「自然体で過ごせている」などと感じているというデータもあります。

更年期

人生100年時代といわれる中で、閉経後にいきいきと健康に過ごしていくためには、かかりつけ医の活用や、前回お話したようなセリフケアが大切になってくるのではないでしょうか。

 

そもそも、更年期のケア方法を知らずに「体調不良は仕方ない」と諦めている人も少なくないように思いますが……。

 西山さん:そうですね。これまでかかりつけ医の活用についてお話してきましたが、医師はあくまで症状改善に向けたお手伝いをしてくれる存在で、一番自分の体を大切にしてあげられるのはご本人だと思っています。そういう意味でも、この記事などを通じてご自身で女性の体の変化について学んでおくこと、症状改善のためにどんな選択肢があるかといった「リテラシー」を高めることは重要です。

女性ホルモン低下の影響で心身がつらくなることは、年を重ねればほとんどの女性が経験することです。自然の流れでそうなるものなので、自分一人の力でどうにかできるものでもありません。ですから、あまり悲観的に捉えず、自分の体をどう愛しんでいくかということに目を向けていただけたらと思います。

ありがたいことに今は前の世代の女性たちの経験が情報として蓄積されて、ある程度対処法もわかってきている時代。「閉経後にも穏やかに、笑顔で過ごしたい」など、自分がありたい姿に向けて対処すればケアできる可能性が開かれているのです。

年齢を重ねた人ならではのゆとりや、自然体の姿って素敵なものですよね。それも健康であってこそですから、ぜひかかりつけ医の活用やセルフケアで、「更年期の悩みに振り回されすぎない生活づくり」を始めてみましょう。

 

取材協力:大塚製薬  取材・文:リンネル編集部

 

更年期ラボ https://ko-nenkilab.jp/

女性の健康推進プロジェクト https://www.otsuka.co.jp/woman_healthcare_project/


※出典:更年期症状のある女性の現状に関する調査(大塚製薬) 調査対象:全国の日本人女性 45-59歳 1612人のうち、更年期症状(障害)があると回答した 366人、調査実施時期:2022年4月 調査方法:インターネット調査

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