ツラかったつわりもようやく終わったとひと息ついた頃、今度はモリモリ食欲がわいてきてしまって、目の前にあるものをパクパク……。「赤ちゃんのためにもたくさん食べよう!」なんて自分に甘くしていたらみるみる体重増加、このまま体重が増えていって大丈夫!? そこで、妊娠中の体重増加の許容範囲、体重増加をゆるやかにする方法について産婦人科専門医の竹元葉先生に聞いてみました。
食べる量が増え、動かないと当然体重は増える!
1日3食しっかり食事をとっているのに、まだまだ食べられる。“赤ちゃんがすくすく育っている証拠”と認めつつも、やっぱり食べ過ぎなのでは?と自分の食欲の多さに疑問を感じる人も少なくありません。妊娠中は体重が当然増えるものですが、出産に影響がないかと不安になるもの。
「産休に入ったり里帰りすると食べる量が増えて運動量も減る方が多いので、出産が近づくにつれて特に体重は増えやすくなります。体重が極端に増えることで、難産、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、腰痛などのトラブルが起こりやすくなるので、急激な体重増加は気を付けるべきですね」(竹元先生)
妊娠前のBMI値から許容体重を算出
では、いったい何キロ増までなら許されるのでしょうか? ひと昔前より妊娠中の体重増加については基準がゆるくなったとはいえ、“許容範囲”が知りたい。その数値を測る目安は、妊娠前のBMI値にあるそうです。
「以前は“小さく産んで大きく育てよう”という概念があり、妊婦の体重指導が厳しかったのですが、今はそれほどではありません。妊娠前のBMI値が正常(18.5以上25未満)ならば10~13キロ増、BMI値(18.5未満)の瘦せ型なら12~15キロ増まででしたら大丈夫です」(竹元先生)
一食でタンパク質を片手ひと盛り分は食べよう!
体重増加をゆるやかにするには毎食の食事内容が大切です。意識して食べたい食材、避けたほうがいい食生活を知ることが、プレママにとってもお腹の中ですくすく育つ赤ちゃんにとってもプラスになります。
「肉や魚、大豆製品などでタンパク質を片手ひと盛り分は食べましょう。それからその時期にとれる旬なお野菜、パンやごはんなどの炭水化物もとります。要はバランスのよい食事を心がけることが大切。多少のおやつは問題ありませんが、食べ過ぎはよくありません。また、フルーツも果糖が多く含まれているものもあるので気を付けましょう」(竹元先生)
小さく産まれた赤ちゃん(2500g未満)は将来の生活習慣病のリスクが高くなることが分かっています。ある程度の体重増加は許容範囲なので過度に不安になることはなく、もともと痩せている妊婦さんにとってはしっかりと体重を増やしてあげることも重要です。栄養価の高い食事をしっかりとっていて、適度な運動をしたうえで体重が増えてきているなら、お腹の赤ちゃんが育っている証拠。出産までのマタニティライフの食事を楽しんでくださいね。
教えてくれたのは…sowaka women's health clinic 竹元 葉 院長
【PROFILE】
順天堂大学医学部卒業。産婦人科専門医/医学博士。思春期から老年期まですべてのライフステージにおける身近なかかりつけ医として「sowaka women’ s health clinic」を開院。女性医師・女性スタッフのみで診療を行う。
取材・文=夏目 円