我慢するのはもう終わり! 食事で生理がラクになるTIPS3
痛みの材料となる成分を必要以上に摂取しないこと、血液の流れを滞らせる食事内容を見直すことが生理痛緩和のポイントです!
TIPS 01 魚多めの食事が肝! オメガ3系の油で生理痛が和らぐ
ドロドロとした血液は排出時(生理)に子宮や子宮頚管に負担をかけ、痛みをもたらす要因に。スムーズな血流を生むサラサラ血液はオメガ3系の油で叶います!
痛み物質“悪玉プロスタグランジン”は、油でできています!
生理痛のもとになるオメガ6系の油
体内でつくることができない必須脂肪酸のリノール酸を含むのがオメガ6系の油。リノール酸は体内でアラキドン酸を合成してプロスタグランジンの原料となる。ゆえに過剰な摂取は要注意。
逆に……生理を軽くするオメガ3系の油
体内でつくることができない必須脂肪酸のα-リノレン酸やDHA・EPAを含むのがオメガ3系の油。α-リノレン酸やEPAは血液をサラサラにし、DHAには体の炎症やアレルギーの抑制効果が。
洋食やライトミール中心の食生活は生理痛が慢性化しがち
痛み物質の悪玉プロスタグランジンの過剰な分泌を促してしまう原因に、オメガ6系の油の摂りすぎがあるそうです。
「オメガ6系の油は必須脂肪酸のリノール酸を含み、適量を摂取していればコレステロールの低下、生活習慣病予防などに役立ちますが、摂りすぎれば血液をドロドロにして、高血圧や動脈硬化のリスクを高めます。生理痛の観点では悪玉プロスタグランジンが量産されやすくなり、またドロドロ血液なので子宮が収縮する際の痛みが強くなります。オメガ6系の油は、マーガリン、綿実油、サラダ油、マヨネーズなどに多く含まれています。手軽に食べられる揚げ物やハンバーガーなどのライトミール中心の食生活はオメガ6系の油が過多になりがちです」
そこであわせて摂りたいのが血液をサラサラにするオメガ3系の油です。
「オメガ3系の油は、えごま油、アマニ油、青背の魚に多く含まれています。熱に弱い成分なので、油ならサラダにかけたり、納豆に入れたりして毎食摂れるとベター。魚は生がいちばんですが缶詰でおかずに一品足すのが手軽です。オメガ6系の油を多く摂っていたら、積極的にオメガ3系の油を摂るようにしましょう」
TIPS 02 筋肉の材料になる 5大たんぱく質を摂る
筋肉は体温を生み出すのに必要な要素。体温が上がると血液循環がよくなり、結果として生理痛の緩和につながります。
5大たんぱく質はいろんな種類を摂ってみよう
たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成され、そのうち9種類は5大たんぱく質に多く含まれ、食事でしか摂取できない必須アミノ酸。筋肉、臓器、ホルモンの材料などとして働く。食物なら+αの成分も摂取できる。
手の平にのるくらいの量を目安に!
1食につき、片方の手の平にひと盛り程度の量のたんぱく質を摂るのが理想。ヨーグルト、納豆、ゆで卵など調理がいらないものならいつもの食事にプラスしやすいはず。
たんぱく質は毎食均等に摂るのがベスト!
スプリング読者世代、30代に入ると筋肉量は年に1%ずつ減ると言われています。「加齢や食生活の偏りなどにより筋肉が減ると基礎代謝が低下し、十分な熱を生み出せなくなり低体温になります。低体温は血液の循環を悪くするため生理痛を強める要因に。30歳を過ぎたら加齢に伴う筋肉量の低下をいかに食い止めるかということが重要になってきます。そのひとつが筋肉をつくるたんぱく質の摂取です」
食事で摂取するたんぱく質の総量で筋肉量の減少率はかなり変わってくるそう。「1日に必要なたんぱく質は体重1㎏あたり1gとされているので自分の体重分だけたんぱく質を摂取しましょう。筋肉は毎秒毎分、分解されているので、たんぱく質は朝食、昼食、夕食と3食均等に摂取するのが上手な補い方です。朝食は抜き、夕食でたんぱく質を多く摂取する傾向がありますが、3食均等にたんぱく質を摂ることが筋肉量の減少を最小限に留めてくれます。朝食を抜いていた人にいきなり食べて、というのは無理かと思うので牛乳を飲んだり、ヨーグルトを食べたりするだけでも違います。肌、髪、爪にとってもたんぱく質は不可欠なので生理痛を緩和しながら美しさも手に入ります」
TIPS 03 生理時の偏頭痛、PMSは マグネシウムの摂取でずっと快適に
マグネシウムは筋肉の収縮、神経伝達、体温調整に関わる必須ミネラルのひとつ。生理時の偏頭痛やPMSの緩和にもマグネシウムが大活躍です。
マグネシウムが足りている女性
マグネシウムは魚介類や海藻類、穀類、野菜類、豆類などに豊富。30代は1 日あたり290mg摂るのが理想とされ、納豆だと5.8パック分相当。実際は多くの女性が不足している。
出典:厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」に基づく
マグネシウムを手っ取り早く摂るには……
主食で選ぶなら“白”ではなく“茶”を食べる!
米や小麦が白いのは米なら“ぬか”、小麦なら“ふすま”と呼ばれる外皮を取り除いているから。外皮にはマグネシウムをはじめとするミネラル、食物繊維、ビタミンB群が豊富。主食に選ぶなら玄米や胚芽パンなどが◎。
マグネシウムを流すコーヒーは1日2杯までに!
コーヒーに含まれるカフェインにはマグネシウム、カルシウム、鉄などのミネラルの吸収を阻害し、体外へ排出する作用が。紅茶、緑茶、ウーロン茶にもカフェインが含まれるので、食事と一緒にとるのは避けて。
マグネシウム豊富なアーモンドを味方につけよう!
マグネシウムは健康維持に欠かせないため、「ミネラルの王様」とも呼ばれ、だいたいのカラダの不調に関わっているそう。「マグネシウムは早産、不整脈、便秘などにも処方されるので命に関わるミネラルと言っても過言ではないと思います。生理の観点でも、月経時の偏頭痛にも酸化マグネシウムが処方されますし、PMSの緩和に不可欠なセロトニンという物質をつくるためにも必要なので、普段からマグネシウムは摂っておくほうがカラダのためにいいでしょう」
しかし「ほとんどのアラサー女性はマグネシウムが不足している」と細川さん。「マグネシウムが不足しがちな原因として精製された食材の摂取があります。玄米を白米にしたり、胚芽パンを食パンにしたりすると、マグネシウムは80〜90%も損なわれてしまいます。主食にするなら精製していない茶色いものを。そのうえで栄養を整えるためにおすすめなのがアーモンド。マグネシウムが豊富なのはもちろん、そのまま食べられ、ヨーグルトに混ぜたり、砕いてチーズとあえたりできて便利です」ナッツアレルギーやアーモンドが苦手な人は、しらす、あおさ、天草を使ったところてんなどが手軽でおすすめです。
教えてくれたのは……予防医療栄養コンサルタント 細川モモさん
【PROFILE】
女性のヘルスリテラシー向上を理念に、大規模調査などにより女性の健康を支える社会環境づくりに取り組む。近著に『疲れと不調にサヨナラ!体と心がラクになる鉄分貯金』(KADOKAWA)。
Illustration_HIROKO ZAMA
text_AYAKO SHIRAKURA
(SPRiNG2023年5月号)
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