離婚で損しないためのお金の話|財産分与は? 慰謝料や養育費は?【弁護士監修】

離婚で損しないためのお金の話|財産分与は? 慰謝料や養育費は?【弁護士監修】

3組に1組の夫婦が別れるといわれる時代。離婚につきもののお金の問題は、知らないと損をする場合もあります。離婚後も経済的に困ることなく、安心して生活できるよう、離婚にまつわるお金について把握しておきましょう。

≪目次≫
●離婚のお金を知ることで経済的不安から身を守れる
●財産分与
●慰謝料
●年金分割制度
●養育費
●ほかにもかかる! 離婚費用の数々
●このコンテンツの監修者は……

離婚のお金を知ることで経済的不安から身を守れる

日本では年間20万7千組もの夫婦が離婚しています(2019年6月公表)。別れたくても妻は耐えるしかなかった時代を経て、自立する女性の増加とともに2000年以降は離婚が増えています。愛し合って結婚しても、別れる時はもめるもの。お金が絡むと問題は複雑になりがちです。女性の自立に伴い、意外にも慰謝料や養育費をもらっている人は少ないのが現実。また離婚原因として急増中の「モラハラ」の場合、慰謝料を取れないケースも多数見られます。

わが身に降りかかる日が来ないとも限らない離婚。だからこそ、お金に関することは知っておくべきです。さまざまな実例から、知識を蓄えていきましょう。

財産分与

結婚期間中にふたりが築いた共有財産を、離婚時に清算・分配すること。

慰謝料と違い、離婚原因をつくった側にも受け取る権利がある。対象となるのは不動産、預貯金、保険解約返戻金、有価証券、車、退職金、家具、家電など。これらは所有名義のいかんにかかわらず共有財産とみなされ、財産分与は次の4つに分けて考えられる。

1. 清算的財産分与
婚姻中の共有財産の清算。将来受け取る退職金も離婚時の資産額で対象となる。結婚前の預貯金や親から相続した財産、贈与された財産は対象外。

2. 扶養的財産分与
どちらかが無職または病気、高齢など、離婚によって生活に困窮する場合、その生計を援助するためのもの。財産分与や慰謝料が期待できない場合などに、それを補う目的で請求することが多い。

3. 慰謝料的財産分与
離婚による慰謝料を、財産分与に含めること。

4. 過去の婚姻費用の清算
分担した婚姻費用に未払いがあった場合、財産分与の中で考慮されることもある。

<損しないためのポイント>
・分与の割合は、2分の1ずつが一般的。専業主婦で収入がなくても、躊躇せず請求するべき。
・物の場合、愛着が絡んで感情論に流されがちになる。リスト化し、欲しいものを明確にして交渉するとよい。
・共有財産は離婚確定後に隠れて処分される恐れがあるので、確定する前に必ず財産の確認をしておこう。
・財産隠しにあった時のために、夫が契約している銀行名や生命保険会社名を控えておくと、分与の主張時に役立つ。

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慰謝料

精神的なダメージを被った際、損害補償を金額換算して、ダメージを与えた側に請求するお金。

慰謝料が認められるか否かのポイントは「相手がつくった原因で離婚に至った」かどうか。不倫ならやりとりの録音や写真、暴力なら医師の診断書など、証拠が肝心となる。

〇慰謝料が認められやすい事由例
不貞行為、暴力など

〇慰謝料が認められにくい事由例
夫婦関係破綻以降の不貞行為、精神的暴力、性格の不一致、生活費の不払い、性交渉の拒否、価値観の相違、不帰宅など

慰謝料の額はケースによって異なり、
1. 結婚期間の長短 2. 支払い能力 3. 有責性 4. 子どもの有無 などが考慮される。

〇慰謝料の相場
不貞・暴力……100~500万円
精神的虐待など……50~100万円
※不貞の回数やケガ・後遺症の程度なども考慮される。

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年金分割制度

配偶者の厚生年金保険料の納付実績を一部分割し、受け取れる制度のこと。

厚生年金保険(および共済年金)に限り、婚姻期間中の保険料納付の分割が可能。相手が自分より多く支払っている場合、メリットがある。年金分割制度には、次の2種類がある(※いずれも請求期限は離婚から2年以内)。

〇合意分割制度
婚姻期間中に夫婦が加入していた厚生年金の保険料納付を、多いほうから少ないほうに分割できる。対象期間は婚姻期間のすべて。

〇3号分割制度
どちらかが第3号被保険者の場合、相手の厚生年金を自動的に2分の1に分割できる。対象期間は2008年4月以降の婚姻期間で、それより前は合意分割制度を適用。
※第3号被保険者とは……会社員や公務員である第2被保険者の配偶者のこと。

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養育費

親権者が非親権者に対して、子どもの養育のために請求できるお金のこと。

養育費をもらっているシングルマザーは2割強。しっかりもらうためにも口約束はせず、法的な強制執行力を持つ「公正証書」をつくること。支払われない場合、内容証明郵便での督促、調停、裁判、給与の差し押さえが可能。

〇話し合いのポイント
取り決めるべき項目は、次の3つ。

1. 支払い期限
基本的には、子どもが社会人として自立するまで。

2. 金額
双方の財産や収入、子どもの人数・年齢に応じて、相当額を検討。

3. 支払い方法
月払いか一括払いか、振り込みか手渡しかなど、具体的に決めておくこと。

〇養育費の相場
次に挙げるのは一例。東京家庭裁判所発表の「養育費算定表」も目安の一つとなる。

<例>
夫:年収500万円
妻:パート年収100万円
子ども(中学生以下・1人)
→月4~6万円

夫:年収800万円
妻:専業主婦
子ども(中学生以下・3人)
→月16~18万円

離婚で損しないためのお金の話|財産分与は? 慰謝料や養育費は?【弁護士監修】
出典: FASHION BOX

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ほかにもかかる! 離婚費用の数々

▷ 調停・裁判

基本的には弁護士費用が発生する。自力で臨むことも可能で、その場合費用は数千円程度でおさまるが、通常は弁護士に依頼するケースがほとんど。

[弁護士費用の目安]
相談料……30分5,000円程度
着手金……20~60万円
成功報酬……20~60万円+経済的利益の10%程度
【合計】 約30~150万円

▷ 保育費用
シングルで働く場合、保育園代・シッター代が発生することもある。

▷ 家財購入費
財産分与で家具や家電、車を譲った場合、購入する必要がある。

▷ 引っ越し代
新たに家を借りる場合、初期費用は家賃の5カ月程度を想定。

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このコンテンツの監修者は……

監修者 弁護士・原口未緒さん

【Profile】
夫婦・離婚案件を主に扱う「未緒法律事務所」を設立、幸せになるための離婚をサポート。『こじらせない離婚』(ダイヤモンド社)著者。

取材・文=長田由香
InRed 2020年5月号
WEB編集=FASHION BOX
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