新型コロナ禍で精神的・経済的ストレスが増大! 対処法を医師が解説

新型コロナ禍で精神的・経済的ストレスが増大! 対処法を医師が解説

GLOWで連載中の、婦人科のお悩みを解決する「レディスクリニック」。今回は新型コロナウイルスの影響か、気分がふさいでしまうというお悩み。日比谷パークサイドクリニック院長の立川秀樹先生が解決策を教えてくれました。

≪目次≫
●「新型コロナのせいか、気分がふさぎます」
●環境の変化はじわじわと大きなストレスになる
●自分を褒める、そして「なんとかなる!」と思い切る
●教えてくれたのは……

「新型コロナのせいか、気分がふさぎます」

外出自粛で家にいたからなのか運動不足のせいなのか、気持ちも体も、もやもやしています。収入も減る見込みでお金のことも心配です。

<解決案>

・これまでどおりを目指すのではなく、「今はこんなもの」と割り切る
・無条件で自分を褒める。そして、根拠はなくても「なんとかなる!」と思う

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環境の変化はじわじわと大きなストレスになる

新型コロナ禍で環境は大きく変化しました。働き方が変わりましたし、ソーシャルディスタンス、マスクの着用、会食の自粛、あるいはリモートワークによって家族への配慮が必要になったり。また、大量の情報によって不安が募り、心がカオス状態になってしまったかもしれません。経済的な不安が深刻な人もいることでしょう。

こうした状況が長期化すると、ストレスがじわじわと襲いかかってきます。「マズローの欲求5段階説」をご存じでしょうか? 人が求める欲求を5段階に示したもので、生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→承認欲求→自己実現欲求と順に欲求のレベルが上がります。

経済的ダメージは身の安全を脅かし、安全欲求がかなわなくなります。働き方が変わると人とのつながりや、組織に属している意識が薄れて社会的欲求が満たされなくなります。このように基本的な欲求が満たされないことは大きなストレスとなるのです。

人はストレスが増大すると交感神経が優位になります。ストレスから身を守ろうとして血圧を上げ、脳や筋肉に多くの血液を供給して戦闘モードになります。昼は交感神経優位、夜は副交感神経優位となるのが自然なバランスですが、ストレスで交感神経が高まると副交感神経の働きは抑圧されます。

自分を褒める、そして「なんとかなる!」と思い切る

特に今回のような長期に及ぶストレスフルな生活では、おだやかな環境にいても交感神経優位な状態が続きます。この状態を「過覚醒」といいます。過覚醒になるとすべての感覚が鋭敏になり、ふだんなら気にならないようなこともストレスと感じるようになります。するとそのストレスに反応してさらに交感神経が高まるという悪循環に陥ってしまいます。

その結果、夜も戦闘モードが続いて寝つきが悪くなったり、ささいな物音で起きてしまうことも。当然、熟睡できませんから朝、起きた瞬間から体に疲れが残ってスッキリしない、もやもやとした状態になってしまうのです。この状態が長引くと、作業能率の低下、判断力や意欲の低下、体を動かしたわけでもないのに疲れる、うつっぽい気分や悲哀感が出るようになり、うつへと進むこともあります。

もやもやの原因はおそらく過覚醒でしょう。ならば、自律神経を正そうとするのではなく、いかに過覚醒を起こさないかが重要です。

以前のように仕事ができないことがストレスなら、今はこの程度で十分と考えることです。テレワークでは時間を区切って働くのもひとつの方法です。昼の12〜13時まではメールをしないとか、1時間PCに向かったら15分休むと決めるのもいいですね。新型コロナの収束に気をもんでいるなら、コロナ関連のニュースは見ないことにするのもいいでしょう。

最も大切なことはふたつ。まずは自分を褒めること。自分を褒めることに理由はいりません。「こんな状況でも私はよくやっている」と褒めちぎることです。そしてふたつめは「大丈夫。なんとかなる!」と思い切ることです。根拠なんてなくてもいいのです。とにかく自分が思い込むこと。これまでの人生で「これはヤバい」と青くなったことが多々あったと思います。なんとかなったから今があるのです。「なんだかんだあっても、まあ、なんとかなるんじゃない?」と思うと、気持ちや体をもやもやさせているストレスから解放されますよ。

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教えてくれたのは……

新型コロナ禍で精神的・経済的ストレスが増大! 対処法を医師が解説

日比谷パークサイドクリニック院長
立川秀樹先生

【Profile】
「心のよりどころとなるクリニックでありたい」と話す精神科専門医。大手企業の産業医、映画『64―ロクヨン―』などで医療監修も務める。

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イラスト=MAIKO SEMBOKUYA
取材・文=黒川ともこ
GLOW 2020年9月号
WEB編集=FASHION BOX
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