【心が元気になる食事】太るから肉を食べない…そんなあなたは質的栄養失調かも!?

残念なことに、日本ではうつ病患者は減るどころか増え続ける一方。その原因は、「栄養」にあるかもしれないと精神科医の藤川先生は言います。「質的栄養失調」という言葉を聞いたことがありますか？「私は、健康のために野菜もたくさん食べているし、心配ない」という人でも、この質的栄養失調に陥ることがあるそうです。質的栄養失調から抜け出す方法を、藤川先生に伺いました。

教えてくれたのは……

藤川徳美（ふじかわ・とくみ）先生
1960年、広島県生まれ。医学博士。1984年、広島大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院（現・広島大学病院）精神神経科、県立広島病院精神神経科、国立病院機構賀茂精神医療センターなどに勤務。
うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見する。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」（広島県廿日市市）を開院。気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、認知症などに対して多面的な治療法を採用しながら治療にあたっている。著書に『うつ消しごはん』（方丈社）、『薬に頼らずうつを治す方法』（アチーブメント出版）、監修では『食事でよくなる！子供の発達障害』（マキノ出版）がある。

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たんぱく質と鉄で心は元気になれる

心まで蝕む質的栄養失調状態から抜け出し、健康で幸せな心身へと自分を導くために必要な栄養がたんぱく質と鉄。まずは、この2つが体にしっかり満たされることが大切です。最近、健康に関するさまざまな食事法があり、アンチエイジングやダイエットなど、目的もいろいろですが、心や体の基本的な栄養状態を整えるためにたんぱく質や鉄は不可欠です。誰もがヘルシーだと疑わない野菜でさえ、たんぱく質や鉄の不足に比べれば、そこまで危機感を持つものではありません。それは、たんぱく質と鉄が、心の健康を保つうえでじつに重要な役割を果たしているからです。

たんぱく質は、肉や魚、豆類などに多く含まれています。たんぱく質というと筋肉をイメージするかもしれませんが、たんぱく質は体のすべての原料。血液もホルモンも臓器も、体のあらゆる器官や機能はたんぱく質なくしては正しく働けないのです。同時に、鉄も重要な栄養素で脳内の神経伝達物質をつくる際に欠かせない成分。この2つがなければ、心身がうまく機能しなくなり、質的栄養失調が心の不調として現れてきます。

【心が元気になる食事】太るから肉を食べない……そんなあなたは質的栄養失調かも!? — 出典: FASHION BOX

たんぱく質といえば肉ですから、もしかすると不足という意識よりも「食べすぎているから減らさないと！」と思う人がいるかもしれません。また、「お肉を食べると胃もたれするから最近は食べてない」という人も中高年には多いかもしれませんね。じつは、この「お肉を食べる＝胃もたれ」の図式こそ、たんぱく質不足の象徴かもしれません。胃や腸といった消化器官やそこから分泌される消化酵素もたんぱく質。つまりたんぱく質が不足すると、胃腸の機能や消化酵素の分泌が悪くなり、結果としてお肉を食べると胃もたれを起こすという状況を招いているかもしれないのです。とくに日頃、野菜や植物性食品を中心とした食生活をしているとこの悪循環に陥りやすいといえるでしょう。

ヘルシーだからいいのではなく、しっかりと必要な栄養を見極めて、その栄養で体を満たしていくことが、ハッピーな心を養うために欠かせないのです。

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