認知症予防のために気をつけたい生活習慣は? 備えに必要なお金は? 医師らが解説

認知症は50代から注意! 予防策は? 治療&介護にかかる費用は?? [専門医 監修]

もう他人ごとではありません!
「認知症」〜自分と家族のために、今からできる備え〜

年々増加しているという認知症。特に50代からは認知症を正しく理解し、具体的に備えるための行動を起こしたり、予防に気を配ることが大切です。アルツクリニック東京院長の新井平伊先生と日本生命保険相互会社の河村佐織さんに詳しく話をうかがいました。

 

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知る

高齢化にともなって認知症になる人は増加

「認知症にはいくつかタイプがありますが、なかでも高齢化にともない、全体の6~7割を占めるアルツハイマー型認知症と、レビー小体型認知症の増加が問題になっています」と新井先生。

がんや血管に関する病気の治療法が進化し、体の寿命が延びている一方で、脳の寿命はそれに追いついておらず、そのアンバランスが認知症の増加という形で問題になっているのだと言います。
「認知症の研究は前進していますが、人間の脳はあまりにも複雑で、治療の決定打はまだありません。一方で、認知症を引き起こすアミロイドβたんぱく質が脳内にたまり始めるのを、早めに発見できるようになるなど、早期発見で進行を遅らせる取り組みが進んでいます」

認知症にはほかにも脳梗塞などによっておこる血管性認知症、前頭側頭型認知症があります。また、ホルモンや甲状腺の異常で認知症に似た症状が出る場合もあるなど、実はさまざまなタイプがあります。正しい診断を受けて、適切な治療を始めるためにも、早めの受診がカギとなるのです。

生活習慣病が増える50代は特に意識して

アルツハイマー型認知症の原因は、長い時間をかけて脳にアミロイドβというたんぱく質がたまること。アミロイドβ自体は正常な脳にもあり自然に排泄されるものですが、それが何らかの原因によって脳に残って固まり、神経のネットワークを阻害し、やがて神経細胞に異常をきたします。アミロイドβは20年ほどかけてゆっくり脳にたまっていき、おおむね70代以降から認知症を発症する人が多いこと、さらに、50代からアルツハイマーの発症リスクを高める生活習慣病が増えること、以上を考えると、現役世代の50代にとっても、認知症は他人ごとではないのです。

認知症予防のために気をつけたい生活習慣は? 備えに必要なお金は? 医師らが解説
資料:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」
(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学二宮教授)より

備える

認知症予防のために気をつけたい生活習慣は? 備えに必要なお金は? 医師らが解説

日常の変化に気づくのが第一歩

認知症の早期発見には、「今までとは何か違う」という自分の変化に気づくことが必要。変化の内容は人によってさまざまで、約束を忘れる、言葉が出ないなどの場合もあれば、突然意欲が低下する、カッとしやすくなるなど性格の変化として現れる場合も。「認知症の受診に後ろ向きな人もいますが、認知症の前段階となる軽度認知障害で気づくことができれば、生活習慣の改善で発症を遅らせることができます」(新井先生)。高齢になるほど認知症が増えるのは確実ですが、脳の老化を防止し、発症のリスクを下げる生活習慣を心がけ、準備をすすめましょう。

■1:生活習慣病 糖尿病は早めの治療を

生活習慣病の中でも、アルツハイマー型認知症のリスクを特に高めるのが糖尿病。糖尿病になると、脳神経細胞が必要な糖をうまく吸収できなくなり、ダメージを受けます。また、インスリンが過剰に分泌されると、アミロイドβたんぱく質が脳の神経細胞に沈着しやすくなることもわかっています。糖尿病によって血管が傷つくと、血管性認知症のリスクも高くなるので、アルツハイマー病と合併することも心配。また、中年期に高血圧が続くことも認知症のリスクを高めるので、生活習慣病は放置せず、専門医の指導のもと、必ず治療を。

■2:歯周病 糖尿病やアルツハイマーと関係

無自覚なものを含めると、45歳以上の過半数がかかっているといわれる歯周病。最近の研究では、重い歯周病の罹患率と認知機能の低下には関係があることが明らかになってきています。歯周病の人の歯ぐきにあるジンジバリス菌が、アミロイドβの産出に関与していることがわかったのです。歯周病は糖尿病を悪化させる原因にもなっているので、適切なデンタルケアと歯科医での治療は、認知症の予防にとっても重要。50代であれば、自己流のケアだけでなく、かかりつけの歯医者を持ち、定期的に診てもらうことを習慣にしましょう。

■3:食事 特定の成分に頼りすぎない

これを食べればOKという、認知症に効く特別な食材はありません。偏ることなくバランスの良い食事をして、間食はやめましょう。また、飲酒は、神経伝達物質の働きを低下させ、脳に直接的なダメージを与えるので、特に毎日の飲酒はストップを。

■4:運動 週3回を目安に有酸素運動を

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週3回、30分程度の適度な有酸素運動がおすすめ。特に、体操をしながら頭で計算する、軽いジョギングをしながら鼻歌をうたうなど、「ながら作業」で運動をすると、脳の別々の場所を同時に動かすことになり、一層の効果が得られます。

■5:睡眠 6.5~7時間が最適

アミロイドβは睡眠中に代謝分解されるので、寝不足が続くと蓄積の原因に。ただ、寝すぎもよくないようで、6時間半~7時間眠る人が、もっとも認知症になりにくいというデータが。生活リズムを整え質の高い睡眠を。

■6:お金の準備 診断初期の出費が多く介護費用もかさむ

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「認知症と診断された場合の心配のひとつが金銭面。特に、認知症は診断された初期段階にもお金がかかると言われています」と、日本生命の河村さん。例えば、認知症の進行の程度を確認するMRIなどの検査は約6200円、重症化を遅らせるための投薬には、月約2100円かかります(いずれも3割負担の場合)。認知症になってもすぐには、介護保険で要介護認定にならないことが多く、その場合は、自己負担で家事や見守りのサービスを依頼するなど、大きな介護負担がかかることも。
「認知症は高齢者ばかりではありません。若年性の認知症は、働き盛りの55歳以降に増えてきます。仕事が続けられなくなると、生活費にも不安が出てくるので、なんらかの備えが必要です」

早期発見で安心して治療を受けるために、保険加入も選択肢のひとつ。ライフステージに合わせて保険の見直しをするタイミングで、考慮に入れるのが賢明です。

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認知症に備えておきたい金額の目安は?

【検査(MRI検査など)】
約6,200円/回 *3割自己負担の場合

【投薬】
約2,100円/月 *3割自己負担の場合

【デイサービス・訪問介護(公的介護保険制度対象)】
約5,500円/月 *1割自己負担の場合

【介護・家事代行サービス】
約8.4万円/月 *1回/2時間(週2回利用)

→5年間で約464万円
【年間費用:平均約82.9万円×5年+一時的にかかる費用:約49.0万円】住宅改修費等

出典:ニッセイ基礎研究所「認知症介護家族の不安と負担感に関する調査」東京都福祉保健局高齢社会対策部「平成28年度認知症高齢者数の分布調査」より計算

保険で備えることも考えに入れて

■例)「ニッセイ みらいのカタチ 認知症サポートプラス」(日本生命保険相互会社)の場合

【認知症診断保険金】
所定の認知症と診断確定された場合に一時金で受け取れる。

【軽度認知障がい診断保険金】
所定の軽度認知障がいと診断確定された場合に、認知症診断保険金の金額の10%を一時金で受け取れる。【+】認知症に役立つ情報、任意後見人を託せる法人の紹介、認知機能のチェックや運動、脳トレをサポートするアプリなどの安心サポート

この保険の場合、軽度認知障がいと診断された場合も認知症診断保険金の10%の一時金の支払いが。加入の際に指定代理人を決める、または任意後見人の紹介を受けられる(有償)など、判断力の低下があっても保険金をスムーズに受け取れたり、認知症の情報を知ることができるサポートがあるなど、金銭面以外の安心感も得られるのが特徴です。
保険料は、40歳で月々5,685円~、50歳で月々8,685円~、60歳で月々14,550円~/一時金500万円のプラン(保険期間、保険料払込期間ともに終身の場合)となり、早めに加入したほうが保険料は安くすむ。

お問い合わせ先:0120-201-021 ニッセイコールセンター
https://www.nissay.co.jp

・認知症・軽度認知障がいの診断確定は、【認知機能検査】および【画像検査】の両方を要します。・認知症または軽度認知障がいに対する保障については、責任開始の日から1年間は不担保期間となり、不担保期間が経過した後に保障を開始します。

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教えてくれたのは……

アルツクリニック東京院長
新井平伊先生

【PROFILE】
順天堂大学医学部名誉教授。1999年に当時日本で唯一の若年性アルツハイマー病専門外来を開設。アミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入。著書に『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(文春新書)他。

日本生命保険相互会社
河村佐織さん

【PROFILE】
商品開発部 課長補佐。新商品の企画・開発を担う。自社の経営戦略を踏まえ、社会環境やお客様のニーズ、リスク評価などあらゆる視点から分析し、新商品の検討を行う。

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illustration:Mizue Hirano
text:Ema Tanaka
大人のおしゃれ手帖 2021年6月号

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