南果歩さん『大人のおしゃれ手帖』連載「I am Here!」
『大人のおしゃれ手帖』で連載中の南果歩さんの「I am Here!」。接種が進んでいる新型コロナワクチン。南さんはワクチン接種には慎重派だったのだとか。そんな南さんがワクチン接種を決断するまでのエピソードを語ってくれました。
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【南果歩】「パラリンピックとワクチンと私」
私もワクチン接種には慎重派でした。きっとそういう方も多いと思います。
乳がんの治療をしている時に、さまざまな薬や抗がん剤が体質に合わず、苦しい思いをした記憶があったことも大きいと思います。
コロナが広がり始めた2020年の春から、対策を万全にしてきたつもりです。もちろん、みなさんもそうでしょう。
気を付けていれば大丈夫、対策をしていればコロナは怖くない。そう信じて、このコロナ禍を何とか過ごして来ました。
しかしデルタ株に関しては、そうも言っていられないという状況が、夏頃から身近に起こり始めたのです。
まずは複数の共演者の感染です。共演者の方が発熱した時に、たまたま私はスタジオに居合わせていなかったり、共演シーンがなかったというニアミス。撮影現場でも頻繁にPCR検査を実施していて、感染対策には万全を期していました。感染者が出た後もスタッフとキャストは一斉にPCR検査を受けました。その後に他の感染者が出なかったことは何より幸いでした。
もう一つは、姉一家の中で姪から義理の兄に感染し、その数日前に母と共に姉夫婦と4人で食事をしていたというニアミス。
もうすぐそこまで近づいて来ていることをヒシヒシと感じました。
義理の兄はワクチンを2回接種していたので大事には至りませんでした(これがブレイクスルー感染ですね)。姪も軽症で済み自宅療養で回復しました。
そして一番の問題は医療現場の逼迫です。これ以上医療従事者の方々に負担をかけるわけにはいきません。
とにかく自身が感染しないことと他者を感染させないことが一番ですが、今は重症化を防ぐことが最重要なのだと、慎重派の私も考えを改めたのです。万が一にも感染した時に重症化を防ぐためにはワクチン接種しかない!
ワクチン接種券は届いていたので、さっそく市町村のホームページから接種できる病院に電話を掛け、幸運にも3件目で予約することができたのです。
しかし私は、元々は慎重派ですから、ギリギリまで打つべきか否かを逡巡していました。
そこに、パラリンピックです。何の関係があるのかと言われそうですが私のなかでは繋がっているのです。大会が始まってから家に居られなかったのでパラリンピックを見始めたのは閉会の3日前。遅いスタートでしたがそれでも、車椅子バスケットボール男子の準決勝イギリス戦をライブで見て大きな感銘を受けました。
選手それぞれの障害の程度を数値化し、チームの合計を14とした上でチーム編成を決め、試合に挑みます。選手交代もその14の数値を考慮して行われ、選手はそれぞれの個性を最大限に生かし、直接ボールに絡んでいなくともチームのために身体を張り車椅子を巧みに操作してディフェンスするのです。初めて見たその試合に私は釘付けになりました。試合展開の面白さももちろんですが、チーム力を最大限に生かすために自身の役割を全うする。当たり前のことかもしれませんが、チームメイト同士の信頼関係がテレビの画面からも感じられ、あっという間に夢中になりました。これこそ社会のお手本!
他にもバドミントンの試合では対戦相手を讃える表情に、マラソンでは伴走者との関係性に、普段の生活では感じ得なかった感情が私のなかからフツフツと湧き出して、心がクリアになっていくような気がしていました。3日間しか見られなかったことは残念でしたが、3日間色んな競技と選手を見て、協力しあって今を生きるということが、どれほど素晴らしいことかパラリンピアンを通して実感できたのです。
そのおかげでワクチン接種も積極的な気持ちで受けることができました。これも巡り合わせでしょう。ワクチンだって前向きに接種すると効き目が違ってくる気がします。科学的な根拠はないけれど、身体と心は連動しているから!
ワクチン接種後にしばし待機。はやく平穏な日々が戻りますように。
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PROFILE/南果歩(みなみ・かほ)
兵庫県出身。短大在学中に映画『伽倻子のために』(小栗康平監督、1984年)のヒロインオーディションに応募、主役に抜擢されてデビュー。第62回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した、ブリランテ・メンドーサ監督最新作『GENSAN PUNCH~(義足のボクサー)』(日本、フィリピン合作映画/邦題は仮)、ダニエル・デンシック監督『MISS OSAKA』(デンマーク・日本・ノルウェー合作映画)がそれぞれ来年公開予定。
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photograph::Takashi Noguchi(San Drago)
styling:Kuniko Sakamoto
hair & make-up:Kei Kokufuda
text:Kaho Minami
(大人のおしゃれ手帖 2021年11月号)
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