顔が見えないメールは言葉遣いが大事! 印象をよくする挨拶とは?

顔が見えないメールは言葉遣いが大事! 印象をよくする挨拶とは?

仕事で使うコミュニケーションツールのひとつ、メール。気軽に送れるのがいいところですが、顔が見えないやりとりのため、普段より一層、言葉遣いに気をつけたいところ。メールでよく使うフレーズを丁寧に変えるだけで、きっと印象が変わるはずです。

このコンテンツの監修者は……

【Profile】
山口謠司(やまぐち・ようじ)さん

1963年、長崎県生まれ。大東文化大学文学部准教授。博士(中国学)。テレビやラジオの出演も多く、NHK文化センター、朝日カルチャーセンター、中日文化センターなどでも定期的に講演や講座を開いている。『日本語を作った男 上田万年とその時代』(集英社インターナショナル)で第29回和辻哲郎文化賞受賞。『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)など、著書多数。

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少しあらたまった挨拶をしたいとき

顔が見えないメールは言葉遣いが大事! 印象をよくする挨拶とは?
出典: FASHION BOX

×:やりがちな言葉遣い

「いつもお世話になっております」

○:美人の言葉遣い

「平素(へいそ)より大変お世話になっております」
「平素より格別(かくべつ)のご高配(こうはい)を賜(たまわ)り、ありがとうございます」

さらにステップアップ!
「平素」を「平生(へいぜい)」と言い換えてもよい。生まれたばかりでなんの影響も受けていない状態を表し、まっさらな気持ちで常日頃の感謝を伝える言葉。

さらに丁寧で畏(かしこ)まった冒頭の挨拶文

メールの冒頭の挨拶文は、「いつもお世話になっております」が、ほとんどではないでしょうか。ビジネスで少しあらたまった挨拶にしたいときは、「平素」を遣うとよいでしょう。

「平素」の「平」も「素」も、特別なことが何もない普通のときを指す言葉です。常日頃から本当にお世話になっています、という気持ちを表します。

「お世話になっています」のもっと丁寧で畏まった言い方には「格別のご高配を賜り」がよいでしょう。「ご高配」の「配」という字は酒壺(さかつぼ)からお酒を汲(く)み出してみんなに平等に行き渡るように配るさまを表しています。「高」が表す身分の高い人が、みんなに気を配るのが「高配」です。相手がしてくれた配慮を「ご高配を賜りまして」と尊敬の念を込めて表現し、お礼を伝える言葉です。

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お世話になったお礼を伝えたいとき

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×:やりがちな言葉遣い

「いろいろとお世話になりました」

○:美人の言葉遣い

「多岐(たき)にわたってお世話になりました」
「お引き立ていただきありがとうございました」

ワンポイントアドバイス
「お引き立て」は贔屓(ひいき)された側が遣う言葉。「ご愛顧いただいて」という言い方も同じ意味で遣うことができる。

何気ない慣用句を違う表現にしてみる

「いろいろと」という表現もよく遣ってしまう言葉です。なかなか言い換えが難しい言葉ですが、「多岐」という表現を遣ってみてはいかがでしょうか。

「多岐」は、道が幾筋にも分かれているという意味です。このことから、ある事柄が多方面にかかわりをもっていることも表します。

ひとつのことだけではなく、多方面にわたってご尽力いただき、ありがとうございました、というときに遣います。

「お世話になる」は、「ご高配を賜る」を遣って、「多岐にわたりご高配を賜り、誠にありがとうございました」という言い方でもよいでしょう。「お引き立て」は、「目をかけていただいて」「特別に面倒を見ていただいて」という意味で遣う言葉です。

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あらたまった結びの言葉を遣いたいとき

×:やりがちな言葉遣い

「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」

○:美人の言葉遣い

「今後ともよろしくご鞭撻(べんたつ)のほどをお願いいたします」
「今後ともご高配を賜りたく(いただきたく)存じます」

さらにステップアップ!
「今後とも変わらぬご厚情(ご厚誼〈こうぎ〉)を賜りますようお願い申し上げます」のように、「ご厚情」「ご厚誼」と置き換えてもよい。

「ご鞭撻」「ご指導」の意味を知って遣う

メールや手紙の結びは毎回「今後ともよろしくお願いいたします」「引き続きよろしくお願いいたします」を遣っている人が、とても多く見受けられます。

あらたまった結びの言葉には、冒頭の挨拶でも遣える「ご高配」、「ご鞭撻」があります。

「ご鞭撻」は、かつては「鞭(むち)」で打って懲(こ)らしめるという意味ももっていましたが、昭和以降は遣われなくなり、現在では「叱咤激励(しったげきれい)する」という意味で遣われています。「指導」とセットにして、「ご指導ご鞭撻」という言い方がよくされます。「指導」の「導」という漢字は、棒で叩きながら進むべき道に導くことを表しています。「進むべき道を指し示しながら棒で叩いて導き、叱咤激励してください」というお願いが、「ご指導ご鞭撻」なのです。なかなか厳しい言葉ですね。

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(抜粋)

顔が見えないメールは言葉遣いが大事! 印象をよくする挨拶とは?
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書籍『美人は上品な言葉遣いでできている オトナ女子のための「語彙力」練習帳』
著者:山口謠司

イラスト/chieko
構成・編集/小西眞由美 西垣一葉(春燈社)
WEB編集/FASHION BOX
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