社会に不安が高まっている現在、避けられるリスクには、自分で対処したいもの。今だからこそ、防犯意識を高めて、自分、家族と財産を守りましょう。子どもに教える防犯対策について、立正大学の小宮信夫教授に教えていただきました。
≪目次≫
●子どもに教える防犯対策
○「人」ではなく「場所」を意識して犯罪を防ぐ
○どっちがあぶない?
●教えてくれたのは……小宮信夫教授 プロフィール
子どもに教える防犯対策
「人」ではなく「場所」を意識して犯罪を防ぐ
「子どもがひとりで遊びに行くようになると、親の防犯意識は高まりますが、そのときに誤ったメッセージを伝えている場合が多いのです」と、小宮教授。
特に「不審者に気をつけなさい」「知らない人と話してはダメ」というのは、子どもに伝わらない注意になりがち。きちんとした服装の人が犯罪者であったり、道端で2、3回あいさつした人も子どもには「知っている人」になります。
犯罪に結びつくかどうかを、“人”で判断するのではなく“場所”で判断することが大切。犯罪が起こりやすいのは、“入りやすく、見えにくい”場所です。たとえば、“木に囲まれた公園がその典型”。また、植え込みやガードレールのない通学路は、車で現れる犯罪者が子どもと直に接してしまう“入りやすい”場所です。
注意したいのは、死角でさえぎられている場所が“見えにくい”のはもちろんですが、人が多すぎる駅の周りなども、連れ去りなどが起こっていても異変に気づいてもらえない、“見えにくい”場所であるということ。
「子どもがひとり歩きするようになったら、どんな場所があぶないのか、親子で散策しながら一緒に考えるといいでしょう」
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◀◀◀どっちがあぶない?▶▶▶
日常の行動範囲の中でも思わぬ場所に危険が。“入りやすく、見えにくい”を基準に、危険度を考えて。
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【高い塀の住宅街】
VS
【窓が面した通り】
一見安全そうな高級住宅街ですが、高い塀に囲まれた家ばかりの道は“見えにくい”場所に。通りに面した窓がたくさんあって、視線を感じる住宅街は犯罪者にとって見えやすい場所になり、犯罪を抑止してくれます。
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【木で囲まれた公園】
VS
【フェンスで囲まれた公園】
日本の公園は誰でも入れるつくりが多いですが、防犯視点で考えると不十分。特に周りが木で囲まれていると、“見えにくく”危険性がアップ。海外の公園は児童以外は入れないように柵で囲まれており、大人は柵の向こうで見守ります。
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【誰でもトイレ】
VS
【男女入り口の分かれたトイレ】
男女どちらでも入れる「誰でもトイレ」は、犯罪の危険地帯です。公園ならば、男女の入り口が建物の反対側にある、商業施設なら女子トイレと男子トイレは別のルートで入るなどの場所が安全です。それ以外の場合は、親がついていって。
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【ガードレールのない道】
VS
【ガードレールのある道】
車道から犯罪者が子どもに声をかけ、車内に連れ込もうと思っても、ガードレールや植え込みがあれば、それが障害になり“入りにくく”なります。子どもには、ガードレールの外側を歩かないよう、言い聞かせましょう。
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教えてくれたのは……
小宮信夫教授 Nobuo Komiya プロフィール
立正大学文学部教授。「地域安全マップ」の考案者。自治体や教育委員会で防犯アドバイスを行う。著書に『子どもは「この場所」で襲われる』(小学館)。
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text_Ema Tanaka
illustration_Nonoco Shiraishi
(リンネル 2020年7月号)
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