社会に不安が高まっている現在、避けられるリスクには、自分で対処したいもの。今だからこそ、防犯意識を高めて、自分、家族と財産を守りましょう。防犯アドバイザーの京師美佳さんに教えていただきました。
≪目次≫
●家族を守るための心得Q&A
Q. 今の住まいは安全? チェックすべきところは?
Q. 在宅時間も増え、気をつけるポイントは?
Q. ご近所トラブルはどう対処したらいい?
Q. 防犯対策、何が有効?
●特殊詐欺への備えをチェック
●教えてくれたのは……京師美佳さん プロフィール
家族を守るための心得Q&A
******************
[Q] 今の住まいは安全? チェックすべきところは?
******************
[A1] 泥棒の目になって考える
自分が泥棒なら、このあたりの家でどこに入るか、侵入するならどの経路か、など想像を働かせてみて。強化しなければいけないポイントは、家によって異なるので、そこから対処するといいでしょう。
注意したいのは、家の情報を外部の人にもらさないこと。表札に家族全員の名前があると、家族構成がわかりますし、玄関やリビングなど外部の人が入るところのカレンダーに家族の予定が書かれていると、旅行など留守の日がわかってしまいます。水道や火災報知機の点検など、なりすましにも注意。
[A2] 便利な家ほど防犯対策
駅が近い、公園が近い、コンビニやスーパーが近いなど便利な場所の物件は、犯罪者にとっても便利です。すぐに逃げられたり、人混みに紛れ込めたりできるし、下見もしやすいはず。また、線路沿いは、電車が通るタイミングでガラスを割りやすいなどの特徴も。便利な物件ほど対策を。
[A3] 選ぶべき物件
戸建ての場合は、近所の目があるか、マンションなら管理人が常駐しているかが大切。賃貸マンションなら、エレベーターは防犯カメラが必須。管理人室でエレベーターの映像を確認できれば、防犯意識の高い物件です。カギも二重になっているかチェックを。
ストーカーに狙われやすいのはどんな人? 防犯のプロに聞く防犯対策 [Q&A]
【知っておきたい防犯対策】10項目で自宅をチェック! [防犯アドバイザー監修]
******************
[Q] 在宅時間も増え、気をつけるポイントは?
******************
[A] 予定のない訪問者に注意
警察などになりすました「アポ電強盗」や、あやしい業者の訪問には要注意。通常、点検などの場合は、事前にお知らせがきています。「火災報知機の点検です」と言われても、覚えがなければ、管理者に連絡を取ってから、家に入れるようにしましょう。「休業補償のお金を振り込みます」「感染者が出たので水道を消毒します」などコロナ関連の詐欺にも注意。
******************
[Q] ご近所トラブルはどう対処したらいい?
******************
[A] 個人で対処しようとしないこと
主なトラブルの原因は、騒音やゴミなど。トラブルを起こしている人は常識がない可能性があるので、直接苦情を言うのは危険。賃貸の場合は、管理会社から注意をしてもらいましょう。自分が身に覚えのないクレームを入れられたり、苦情から嫌がらせに発展した場合も、管理会社や警察など第三者に入ってもらったほうがいいでしょう。
******************
[Q] 防犯対策、何が有効?
******************
[A] 「音」「光」「時間」「人の目」に着目して
泥棒が嫌うのは「音(警備システムのアラーム音など)」「光(センサーライトなど)」「時間(侵入に時間がかかる)」「人の目」の4つです。
泥棒は、侵入に5分かかればあきらめるというデータがあります。カギの数を増やしたり、窓ガラスを強化して「時間」をかけさせるのは、手っ取り早い防犯強化策です。
ひとり暮らしの女性の場合は、待ち伏せ対策で室内にカメラを取り付けて、スマホで確認できるネットワークカメラが有効。そのほか、センサーライトなど、ホームセンターで数百円で買える防犯グッズもたくさんあるので、数多く備えることが、防犯の環境づくりになります。
戸建ての場合、警備会社との契約は、料金は高いですが余裕のある人にはおすすめ。お金のかからない防犯対策として、ご近所さんと親しくして不審者がいれば連絡がくるというのもいいし、庭先をきれいにガーデニングして、みんなが足を止めるようになれば、それも犯罪抑止になります。
防犯のプロが教える<痴漢にあったとき・夜道・ひとり暮らし>のNG行動とは?
プロが選んだ100均でおすすめの防犯グッズ8選! これでお家の防犯対策を
特殊詐欺への備えをチェック
□ 自分は大丈夫! 詐欺の被害にあわないと思っていないか?
□ 何でも心配して確認しながら行動しているか?
□ 家族を装う振り込め詐欺対策に、家族で合言葉を決めているか?
□ 自宅の電話は常に留守番電話になっているか?
□ 振り込め詐欺対策電話機を使用しているか?
□ 非通知拒否の設定をしているか?
□ 知らない人からの電話は確認のために常に折り返す癖をつけているか?
□ 家族の電話番号はすべて電話帳に登録しているか?
□ 友人などに相談する癖はつけているか?
あやしい電話には家族にしかわからない質問(愛称を聞くなど)を決めておくのも◎。「振り込め詐欺対策電話」は、詐欺電話に対して、警告、録音、拒否を行ってくれます。
教えてくれたのは……
京師美佳さん Mika Keishi プロフィール
防犯アドバイザー。セキュリティ会社、防犯ガラスメーカーを経て、京師美佳セキュア・アーキテクトの代表に。講演などで防犯啓蒙活動を行う。
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
text_Ema Tanaka
illustration_Nonoco Shiraishi
(リンネル 2020年7月号)
web edit_FASHION BOX, Ayaki Ando[vivace]