[連載(3)ヨシダナギのココだけの話]アフリカでも常に“受け身” ヨシダ流コミュニケーション術

[連載(3)ヨシダナギのココだけの話]アフリカでも常に“受け身” ヨシダ流コミュニケーション術

(2020年7月30日 更新)

どうも、こんにちは。根暗フォトグラファー、ヨシダナギです。

≪目次≫

※こちらの記事は2017年2月12日に初掲載されました

 

ヨシダナギは極度の人見知りです

世の中には“アフリカに行っている人=すごくパワフルな明るい人”というイメージを持っている方が多いらしく、仕事なんかで初めて顔を合わせた人の大半は、私のあまりの物静かさに驚くようだ。「もっと“私が!私が!”って感じでよく喋る人なのかと思っていました」なんて言われるのだが、それは大きな誤解である。
私は極度の人見知りで、相手が初対面ともなれば、ただでさえ少ない口数が更にガクンと減る。なんなら、隙を狙って、その場から抜け出すことばかり考えるダメなやつである。

そんな話をしても「人見知りって言っているくせに、ナギさんはガンガン現地の人とコミュニケーションとっているじゃないですかぁ♪ それは全然人見知りとは言いませんよ☆」と、いつも信じてもらえないので、今回は私の人見知りをどうにか証明すべく、どのように現地の人とコミュニケーションをとっているのかを綴ってみたいと思う。

 

“受け身”だからこそ笑顔で

ココだけの話、私はアフリカでも基本的に最初は全く喋らないのだ。それ故に、私の旅の中で最も重要な要素は“現地ガイドとの相性”になる。

日本でも海外でもそうなのだが、私は基本的に受け身タイプ。人との距離の縮め方が三十路になった今もわからず、相手から距離を詰めてくれないと、人様とお近づきになれないタイプの人間である(それ故に、友達が極端に少ない)。
もちろん、相手が話しかけてくれたらそれに対しての受け答えは試みるのだが、普段から人と話すことに慣れていないせいか、最初はどうしても素っ気なくなってしまいがちである。相手が私の態度は関係なく、ガンガン話しかけてくれる人ならば問題ない(ただ日本ではガンガン話しかけられるのも嫌なのだが)。
仮に、素っ気ない反応しかできない私に対して、「コイツ、なんか感じ悪いな」と、即見切りをつけるような潔いタイプの現地ガイドに当たってしまった場合、もはや、その渡航は私の中では“終わった”と言っても過言ではない。
※過去に3人のガイドに初日で見切られて失敗している。

少数民族と距離を縮めるための交渉にしても、私の現地での作品撮影が成功するか否かも、全てはガイドが協力してくれてこそのもの。もしも、そのガイドに嫌われてしまったら、私は何も成し遂げることができない。
なので初対面の時は、言葉であまりコミュニケーションをとれない分、私は四六時中笑顔でいることに徹する。どんなに自分が苦手なローカルフードを与えられたとしても、現地人を上回る量を飛び切りの笑顔で頬張ってみせるのだ(それで何度、夜な夜な吐き散らかしたことか)。
アフリカ人はそんな私を見て、「コイツ、俺らとブラザーになる気があるヤツだ」と思ってくれる。そうこうして、なんとかガイドを味方につけて、少数民族の交渉を手伝ってもらうのだ。ガイドのやる気がないと、行きたい場所に行きたいと伝えても、「そんな場所は聞いたことがない」とか、こんな交渉をしてほしいとお願いしても、「そんなことは彼らには言えない」と面倒くさがられて頼みごとを聞いてもらえなくなることも多々ある。だから「ナギの頼みごとならしょうがない」と思ってもらえるように、慎重かつバカ丸出しで常に笑顔でいることに徹している(実際、私自身も普通にアフリカを楽しんでいるのだが)。

少数民族とのコミュニケーションにおいても、撮影中以外は基本、得意の受け身だ。ただ、彼らは知らない場所から訪問してきた私に興味津々で全力でぶつかってきてくれるし、彼らに憧れ続けていた私としては、ハリウッドスターがあちらから話しかけてくれているような感覚で、とても嬉しいし、興奮する(興奮のせいなのか、何故か彼らには比較的人見知りせず、等身大の自分でぶつかれている気がしなくもない)。

[連載(3)ヨシダナギのココだけの話]アフリカでも常に“受け身” ヨシダ流コミュニケーション術
出典: FASHION BOX

そんなこんなで私は地球上、どこにいても万全の受け身で静かに構えているのだ。
次回は質問コーナーになるらしいので、こちらも皆さんからのメールを万全の受け身で待っていることにしよう。

 

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ヨシダナギ/Profile

ヨシダナギProfile
ヨシダナギ
出典: FASHION BOX

(nagi yoshida)

1986 年生まれ。フォトグラファー。
2009年より単身アフリカへ。以来、独学で写真を学び、アフリカをはじめとする世界中の少数民族を撮影、発表。
唯一無二の色彩と直感的な生き方が評価され、2017年には日経ビジネス誌で「次代を創る100人」、雑誌『Pen』「Penクリエイター・アワード 2017」へ選出。「講談社出版文化賞」写真賞を受賞。
著書に、写真集『SURI COLLECTION』(いろは出版)、写真集『HEROES ヨシダナギBEST作品集』(ライツ社)、紀行本『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』(扶桑社)、エッセイ『ヨシダナギの拾われる力』(CCCメディアハウス)がある。2020年には世界中のドラァグクイーンを被写体とした作品集『DRAGQUEEN ‐No Light, No Queen‐』を発表。
近年は、阿寒湖イコロシアター「ロストカムイ」キービジュアル撮影、山形県「ものづくり」プロモーションのムービーディレクション、タヒチ航空のプロモーションビジュアル撮影など国内外での撮影やディレクションなどを多く手がける。
公式サイト http://nagi-yoshida.com/

Text:ヨシダナギ
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Web edit:FASHION BOX

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