テレワークの推奨により、ここ最近は自宅で仕事をしている人も多いでしょう。慣れない家のデスクで長時間パソコンに向かっていれば、ついついねこ背の姿勢になってしまうこともあるはず。
パーソナルトレーナー・姿勢改善のスペシャリストである鈴木孝佳さんによると、一日のなかで座っている時間がとても長いデスクワーカーにとって、座り方は立ち方以上に重要なのだそう。今回はねこ背にならないための正しい座り方と、デスク周りの調整のしかたを教えてもらいました。
≪目次≫●坐骨の当たる角度に気をつける
●パソコンはモニターの位置が重要
●正しい椅子の高さと座り方
●そもそも座っていること自体が体に悪い！
●教えてくれたのは……
坐骨の当たる角度に気をつける
座る姿勢は、椅子に座る以外にも、正座やあぐらなどがありますが、基本はいずれも同じです。ここでは椅子の座り方を見てみましょう。
まず、両手でお尻の肉を持ち上げるようにしてみましょう。その時、両手の指先に触れる部分の骨が座骨です。この座骨が椅子などの面に正しく当たり、座骨を立てた状態で座るのが正しい座り方です。
パソコンはモニターの位置が重要
人は、パソコンを前にすると前かがみになってしまいます。これを直すためには、まずはパソコンのモニターの位置を調整することが重要です。正しく座った場合、モニターは人の目とモニターの一番高い地点がほぼ並行か、モニターが少し下になるのが理想です。
目との距離も、近すぎず遠すぎずが適切です。これは一般的に、腕の長さがちょうど適切な距離だといわれています。しかしモニターが下すぎる不適切な位置にある場合、前かがみにならざるを得ず、ねこ背になってしまいます。
正しい椅子の高さと座り方
椅子の高さも重要なファクターです。理想的な椅子の座り方は、体重のかかり方がお尻60％、足40％となります。そのためには、太ももが水平より少し下がるぐらいに椅子の高さを設定する必要があります。
椅子が高すぎると、今度は足が床から浮いてしまうので注意してください。床に足がどっしりとついていればOKです。椅子が低いと、足に体重が乗らなくなるばかりか、骨盤も後傾してしまい、体のバランスにいろいろな不具合が発生してしまいます。
椅子に座る際は、椅子のなるべく奥にまでお尻をつけた上で、腰の後ろにクッションやタオルを置くと、腰のカーブをキープすることができます。また、キーボードを打つときは肘の部分が机のへりに必ずつくようにしてください。肘が浮くと、どうしてもそこに力が入ってしまい、手首の痛みや肩こりの原因になります。
そもそも座っていること自体が体に悪い！
ここまでは正しい座り方を説明してきました。ぜひそれらを実行してほしいのですが、それよりももっと大切なことがあります。それは、そもそも構造的に見ると、人間の体は椅子に座るようにできていないということです。つまり、座りっぱなしでいることは、ねこ背に限らず人間の体に大きな負担をかけるのです。
座っていること自体が体によくないというのは医学的に見ても明確なエビデンスが出ています。しかも長時間座っているのは喫煙以上に危険とまでいわれているのです。
座り仕事をしている人は、できたら25分に1回は立ち上がって3〜5分動くようにしましょう。それから、できれば歩いてください。ストレッチと比べても、より多くのセンサーを刺激し脳に送られる情報量も増やせるため、脳の活性化という観点からも断然効率がよいからです。いきなりは難しいかもしれませんが、動くのを習慣化することで体の不調を防ぎましょう。
教えてくれたのは……
鈴木孝佳（すずき たかよし）さん
【Profile】
パーソナルトレーニングスタジオ「b{stoic（ビーストイック）」代表トレーナー
スポーツトレーナー養成の専門学校を卒業後、米国アリゾナ州に渡り約50時間の人体解剖研修を受講。脳神経学／機能解剖学／運動生理学／栄養学に基づき、アスリートやアーティストをはじめ8000人以上の身体を改善してきた、姿勢・不調改善のスペシャリスト。Twitterでのねこ背に効く10秒ほどのエクササイズ動画が2日で40万いいねと大反響を呼んだ。
（抜粋）
書籍『ねこ背を10秒で治して人生を変える！』
著者／鈴木孝佳
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編集・構成／佐藤裕二、林賢吾、斉藤健太、今井智司、山下孝子(株式会社ファミリーマガジン）
形部雅彦、大竹崇文
WEB編集／FASHION BOX
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