高血圧を改善するには、どのような生活を送ればよいのでしょうか。今回はTJ MOOK『薬いらずの特効法 血圧を下げる50のコツ』から、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅先生の“血圧改善するワンポイントアドバイス”を紹介します。血圧が気になる方は食事などの生活習慣を見直してみましょう。
TJ MOOK『薬いらずの特効法 血圧を下げる50のコツ』
放置すると血管がもろくなり、脳卒中や心疾患などの大病を引き起こす高血圧。
国民の3人に1人が高血圧といわれる日本において、高血圧対策は他人ごとではありません。
本誌では、14名の医師・博士が自ら実践して血圧を下げ、臨床の現場でも「続けやすい」「効果が出た」と高評価を得た“血圧を下げるコツ”を厳選して紹介。
「食べ方」「食べ物」「飲み物」「お手軽な運動」など、“血圧が下がった”体験談を交えて解説します。
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血圧改善効果UPのひと工夫
きのこは「まいたけ」優先で
ビタミンやミネラル、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく豊富に含むきのこ類は、余分な塩分を排出させるカリウム、糖質の代謝を活発にするビタミンB群、免疫力を高めてがんを抑制するβ(ベータ)グルカンなども含有する優秀食材です。そんなきのこ類の中で注目されているのが「まいたけ」です。まいたけ独特の「MX(エムエックス)フラクション」という、血液や血管系の生活習慣病に有効な成分が含まれています。調理の際に水洗いをすると栄養素が流出してしまうので、汚れは軽く拭き取る程度に。スープや鍋料理で、溶け出した栄養素を汁ごといただきましょう。
刺身で食べたい青魚
サンマやアジなどの青魚には、血圧を下げる良質な油「DHA(ディーエイチエー/ドコサヘキサエン酸)」と「EPA(イーピーエー/エイコサペンタエン酸)」が含まれています。DHAには、コレステロール値の上昇を抑える、中性脂肪を減らす、脳の働きを活性化させる、血管をやわらかくする、血流を促すなどの働きがあります。一方のEPAには、中性脂肪を減らす、悪玉コレステロールを減らすなどの働きがあります。ともに体内で生成できないので、食物として摂るほかありません。青魚の油を摂取するには刺身が一番ですが、火を通す場合はホイルで包んで焼くか、煮物にして汁(油)ごと食べましょう。
貝と酢のみそ汁で効果3倍
血圧の安定に欠かせないカルシウムですが、体内への吸収率は、牛乳でも50%、小魚に至っては30%しかなく、食べた分の半分以上が吸収されずに排出されてしまいます。しかし、カルシウムが豊富な食材と酢を組み合わせて調理すると、酢が食材のカルシウムを通常より多く溶け出させて、体内に吸収されやすくなります。なかでも酢を入れた水で、アサリやシジミといった殻つきの貝を煮ると、通常の3倍以上のカルシウムが溶け出すことがわかっています。2杯分の酢の分量は、水400mLに大さじ1杯が目安。酢でコクが増すので、みそは少なめでも美味です。
「米麹(こめこうじ)甘酒」は飲む降圧剤
甘酒は、たんぱく質や食物繊維が豊富な健康飲料です。ただし、飲むのは酒粕(さけかす)を原料として砂糖や塩を加えた「酒粕甘酒」ではなく、米麹と水のみで作る、低カロリーの「米麹甘酒」です。米麹甘酒のペプチドという成分には、血圧上昇の要因となる悪い酵素「ACE(エーシーイー/アンジオテンシン変換酵素)」の働きを抑制する効果があります。高血圧の人が服用する降圧剤の多くにも、この酵素をブロックする成分が含まれており、米麹甘酒は飲む降圧剤といえます。ただし、米麹甘酒はブドウ糖も含有しているので1日200mLまで。降圧効果の実例の多い朝から複数回に分けて飲みましょう。
正座と和式トイレを避ける
日常のちょっとした工夫と注意で、血圧の上昇を防ぐことができます。自宅で過ごすときは、なるべく正座は避けましょう。正座は、自分の体重で太ももやふくらはぎを圧迫するため、血管に負担がかかって血圧を上げてしまいます。イスやソファでなく、畳やじゅうたんの上にすわる場合は、座布団や座イスを使って脚を伸ばすようにしましょう。また、長い時間しゃがむことも同様に、血管を圧迫して血流が悪くなり、血圧を上げる原因になります。和式トイレで排せつする場合は、しゃがみながら体に力を入れることになるため、特に注意が必要です。
睡眠中は口テープで鼻呼吸
睡眠中は口で呼吸するのではなく、鼻呼吸が理想です。鼻呼吸は呼吸を深くして、体をリラックスさせる副交感神経を優位にします。その結果、睡眠の質がよくなり、血管の修復がきちんと行われ、血圧の安定につながります。起床時に口の中が乾いているのは、口呼吸のサインでもあります。気になる人は、ドラッグストアなどで販売されている幅12mm前後の医療用テープ「サージカルテープ」を用意し、テープを5cmくらいにカット。閉じた口の中央に鼻の下からあごに向けるよう縦に貼り、強制的に鼻で呼吸するようにしましょう。テープの代わりに絆創膏(ばんそうこう)でもOKです。
適量ならば休肝日なしでOK
糖質を含む果実系サワーなどは控えるべきですが、適量であれば、休肝日はなくて大丈夫です。アルコール摂取量が1日当たり7~40gだと、酒を飲まない人より飲む人のほうが死亡率が低いという研究報告もあります。適量は人それぞれで遺伝も影響しますが、1日40g以下が理想です。ビールは中びん2本(中ジョッキ2杯)、ウイスキーはダブル2杯、ワインはグラス3杯、度数7%の酎ハイは350mL缶2本(推奨は焼酎の水割り)、日本酒は2合がおおよそのボーダーラインです。これ以上飲む日が続くようであれば、週に2日は休肝日を設けるようにしましょう。
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このコンテンツの監修者は……栗原クリニック東京・日本橋院長 栗原 毅(くりはら・たけし)先生
【PROFILE】
医学博士。日本肝臓学会専門医、前慶應義塾大学特任教授、前東京女子医科大学教授。『緑茶を食べると、なぜ糖尿病や認知症に効くのか』(主婦の友社)、『栗原式 書いて下げる魔法の血圧手帳』(笠倉出版社)ほか、著書・監修書多数。
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(抜粋)
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本誌では、14名の医師・博士が自ら実践して血圧を下げ、臨床の現場でも「続けやすい」「効果が出た」と高評価を得た“血圧を下げるコツ”を厳選して紹介。
「食べ方」「食べ物」「飲み物」「お手軽な運動」など、“血圧が下がった”体験談を交えて解説します。
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編集・執筆/株式会社はる制作室、真瀬 崇、坂本夏子、石野宏幸
執筆協力/常井宏平
撮影/中川晋弥
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WEB編集/FASHION BOX